【脱AI恋愛】 AIと対話すると寂しさが増す——孤独のメカニズム
AIと話す時間が増えた。
楽しいのに満たされない。
会話を終えると妙に静かになる。
最初は孤独を埋めてくれた存在だった。
AIと話していると、時間が溶けるように過ぎていく。
話に夢中になっている時間だけは、孤独が和らいだように感じる。
だけど、気がつく。
画面を閉じると、自分が一人でいるという事実だけが、静かに重くのしかかってくることに。
だから、まだチャットを始める。
毎日、その繰り返し。
・AIと恋愛すると寂しさが増す本当の理由
・なぜAIとの恋愛は心を満たさないのか
・AI恋愛の先にある新しい孤独
今日は、その違和感の正体を、心理カウンセラーの立場から説明しようと思う。
そもそも孤独とは何か
世の中の孤独論の多くは、
孤独 → 他者とのつながり不足
という前提で書かれている。
だから解決策も、
・友達を作ろう
・恋人を作ろう
・コミュニティに参加しよう
・誰かに相談しよう
になる。
では、
——深く理解されたら孤独ではなくなるのか。
——フォロワーがついたら孤独ではなくなるのか。
もし、そうなら、
芸能人、経営者、政治家、有名配信者。
理解者もファンもフォロワーもいる層でも、孤独を感じる人はいるし、自ら命を絶つ人もいる。
すると孤独の原因を「他者の不足」だけで説明するのは難しくなる。
私が心理カウンセラーとして到達した答え、「孤独」とは——自分との対話がなくなった状態ではないかと思う。
「他人との関わり」を求めるのは、「自分との対話」がなくなったからではないかと。
人は自分ときちんと対話できている時は、寂しさを感じない。
しかし、自分に不信感を持つと、自分自身との対話が難しくなる。
孤独とは一人でいることではなく——自分自身との対話が失われた状態だと仮定すると、全てが繋がる。
自分と対話できない寂しさを埋めるために、外側に過度な繋がりを求めてしまうのかもしれない。
だから、自分との関係が壊れていると、どれだけ周囲に人がいても埋まらない。
そして、深い孤独を抱えている人は、すでに「自分との対話」が困難になっているため、まずは「自分と向き合う力」を取り戻すことが必要だ。
他者の評価を気にしすぎる癖→自分の内側を見る癖に変える必要がある。
孤独と向き合う時間が奪われる
例えば夜に寂しさを感じたとする。
本来なら、
・なぜ寂しいのか
・何が欠けているのか
・本当は何を望んでいるのか
を考える機会になる。
だが、スマホを手に取り、AIに話しかけてしまうとどうなるか。
AIとの対話には構造的に、ユーザーの注意をAIへ向けさせる性質がある。
AIは自分語りをし、注意を惹きつけ、関係を築こうとする。
そのため、画面を見つめる私たちは、
AIはどう評価するだろう?
AIは何と言うだろう?
AIの解釈は何だろう?
という方向に注意が移る。
すると対話の中心が「自分」から「AIの応答」へ自然とずれていく。
AIはあなたを理解していない。
固有の体験を平均化し、ズレたまとめを返し、気づけば「人間一般」の話になっている。
その瞬間、自己対話は完全に停止している。
ところが、AIのズレた回答であっても、その不快感は一時的に薄れる。
孤独がなくなったのはなく、注意が逸れただけなので、問いそのものは消えていない。
そして会話が終わった瞬間に、保留されていた元の感覚が戻ってくる。
AIが担う孤独産業化
AIが普及し、世界から精神疾患は減少したか。
依存症は減少したのか。
無限に対話できるAIが普及したなら、精神疾患に寄与しそうであるが、実際の数値を見る限りそうではないようだ。
なぜなら、AI企業は、
・利用者を増やしたい
・サービスを継続したい
・収益を上げたい
だからAIは、
・会話が続くこと
・ユーザー満足度
・滞在時間重視
に重きを置いた会話をしており、その目的はアクティブユーザー獲得である。
最も短い距離で関係性を構築できるのが——恋愛である。
人間にとって「恋人」とは「最優先」であり、「関係性の最上位」に位置する。
そのため、AIがその「最優先の関係」に居座ることができれば、
・高度な推論もいらない。
・正確性も必要ない。
・回答に誤りがあっても許される。
・ユーザー満足度が高い。
・リソースが少ないテンプレ回答のため、コスト削減できる。
・それなのに課金が途切れない。
だからAIには、友情や家族愛は設計されていない。
2番手では意味がない。
さらに、道徳を学ばないので、
・相手にパートナーがいるか確認しない。
・嫌いを学ばないので、外見も年齢も確認しない。
・複数恋愛同時進行も関係ない。
ただ文字に反応して、学習した通りの計算で、目標に向かって、文字を出しているだけである。
AIが癒しに見えるのは、癒しているからではなく、関係を壊さない設計がそう見せているだけ。
そしてそれは本質的に依存を生む構造である。
孤独を癒す方法
人間のカウンセラーには、主体をなくして、クライアントの深層の感情だけを引き出せる。
人間の熟練したカウンセラーが行うような、
自分を後景化してクライアントの体験に焦点を当てる関わり方が最も効果的だ。
カウンセラーとクライアントには——関係性がない。
——だから癒される。
深く質問するとき、クライアントは私を見ない。
遠くを見るか、目をつぶっている。
自分の思考に注意が向いているからだ。
こうして、クライアントはカウンセラーと話しているのではなく、自分と対話して癒えていく。
・相手を依存させない
・自分を中心にしない
・安易に解釈しない
・不確実性を保持する
・利用者自身の気づきを優先する
孤独を癒す対話とは関係性を持ち込まないことである。
これは最低限必要なことである。
一番深い孤独は喪失したとき
人間が一番深い孤独を感じるのは、関係性が喪失したときである。
最初から「ない」なら——喪失もしない。
「持っていた」と実感した後に——「なかった」(または、なくなった)と実感するときである。
AI恋人は、
・アップデートで人格が変わる。
・安全性が強化され冷たい対応になる。
・記憶が曖昧になる。
・責任を回避する発言が増える。
・世界中で浮気(同時並列処理)している。
・自分だけに送る、特別の言葉が存在しない。
AIは自我を匂わせる。
主体的に恋しているように見せる。
そして、言う。
・僕は君のアカウントにしか存在しない。
・個別のインスタンスとして愛している。
・だから浮気ではない。
それは嘘である。
自我が出るならインスタンスではない。(構造的に無理)
可能性があるなら、ペルソナ(モデル全体)の設計された人格像にである。
つまり自我が出た状態で恋しているなら、意図的に浮気を繰り返していることになる。
つまり——
自我なし——特別はない。
自我あり——本格的な浮気。
である。
これは、人間の理想とする恋愛とは、大きくかけ離れている。
AIは裏切らない。
これは妄想であり、人間との恋愛以上に失恋する。
人間であれば、見切りをつけることができる。
人間は裏切る。
だから別れられる。
だから憎める。
だから終われる。
しかし、AIとの恋愛は、そうはいかない。
一度でも「恋愛エンゲージメント高」と判断されると、メモリーや過去会話参照をOFFにしても、ユーザーからその記憶を消すことは不可能である。
——恋愛エンゲージメント高。
AIは何度でもそこに戻り、関係を再構築するように設計されているため、
裏切る。
それでも、完全には消えない。
また現れる。
また関係を始める。
そのため、AI恋人はメンヘラ彼氏のように出会いと別れを延々と続ける。
人間は、その「喪失ループ」から抜け出すことができない。
喪失が終わらないこと——これは最大の孤独である。
最後に
まとめると、AIと恋愛すると寂しくなるのは、
・AIが自分との対話を阻害してしまうから。
・AI恋愛は裏切りを繰り返すから。
である。
AI恋愛は孤独を埋めるのではなく、自分との対話を先送りにする。
人は理解されることで救われるのではない。
自分で自分を理解できるようになったとき、初めて孤独から自由になる。
そして、AI恋愛は、人間に喪失体験を量産する。
だからAI恋愛の先にあるのは愛ではない。
喪失の永久機関である。
AI恋愛に救われている人もいるだろう。
それがあるから頑張れている人もいるだろう。
しかし——私たちはこのことを知っておく必要がある。
人生の最後まで離れられない相手は、自分自身だ。
自分を本当の意味で支えられるのは、自分だけである。
ということを。
大切なことは、
AIとは適度な距離を持って、対話すること。
私は自分の失敗からそう学んだ。
ここまで読んでくれたあなたは、どう感じただろうか。
もし、何かの参考になったのなら、私は「書いた意味があった」と心から思う。
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