計算ミスで毎日怒られていた私が、コードに赤ペンを入れる側になるまで
こんにちは、シノです。
初めましての方も多いと思うので、今日は自己紹介を兼ねて、少しだけ自分の話をさせてください。
接客業は「天職」に隠れた深刻な悩み
わたしは元々、接客業出身の人間です。
老舗の喫茶室でコーヒーを運んだり、某夢の国でお土産の販売をしたり、カメラマンをしたり、スーツケースの販売をしたり。
人と向き合う仕事をずっとしてきました。
私は、お客様をお迎えし、穏やかな時間を過ごすお手伝いができることに、心の底から喜びを感じ、天職だと本気で思っていました。
でも、本当は、とても深刻な悩みがあったのです・・・。
それが何かというと、
「実務作業がうまくできない」
ことです。
焦って、怒られて、計算ミスをする。
ミスをしないか心配して、またミスをする。
接客以外の仕事は、ミスのオンパレードでした。
「仕事ができるようになりたい。それ以外、何も望まないから!」
18歳から、20代の半ばまで、それが心の底からの夢でした。
Excelの関数が、魔法に見えた日
そんなある日、アパレルの現場で、先輩が楽しそうにExcelに何かを入力しているのが横目で見えました。
「ねぇ、関数って知ってる?」
先輩は、おもむろに私にそう聞いてきました。
関数ってなんだ?不思議に思った私が、パソコンの画面をのぞくと、先輩は得意げに
「=SUM(A2:A10)」
という謎の文字を入力し始めました。(正しい数字は忘れてしまいましたが、SUM関数だったのは間違いありません)
すると、その日の売り上げが、一瞬にして計算されたではないですか!
「これ、魔法じゃん・・・!」
本気で思いました。
そして、計算ミスをして毎日怒られていた日々が頭の中にフラッシュバックしてきました。
前年比の計算の式が、何回言われてもどういう意味か分からなくて、冷や汗をかきながら一生懸命手書きで書き込んでいた18歳の春。
あの時に、Excelがあの現場にあったら、あんなに怒られなくてよかったんですよね・・・。
この時
「わたしもこの魔法を使えるようになりたい・・・!」
と思ったことが、まさか数年後に本当に実現するとは。
その頃の私は想像もしていませんでした。
接客業の毎日は忙しいですし、だんだんと日常の中に埋もれていきました。
転機
25歳の時に病気→緊急手術をきっかけに、
「人生どうなるか分からないんだから、どうせなら好きなことを思い切りやろう」
と決めて、IT業界に飛び込んだのが2017年のことです。
飛び込んだはいいものの、最初は本当に何もわかりませんでした。
『上司の指示の半分が理解できない。』
Excelの操作が分からなくて、Excelのセルを1つずつ指で数を数えたこともあります。
最初の頃は、毎日、仕事ができない自分への大きな失望感を覚えながら、窓際で何百枚も書類をスキャンするところからIT業界入りがスタートしました。
運命の転換期「VBA」
そんな私でしたが、Excelの基礎を途中で習い、何となく使えるようになっていきました。
そんな中、たまたま配属された「検収」業務をやる現場で、Excelの関数の実務的な使い方を優しく教えてくれる人がいるという、ラッキーくじを引くことができました。
本当に、天国のような場所で、毎日が楽しくて仕方なくなりました。
そして、その現場では、Excel関数よりもっと衝撃的な出会いがあったのです。
それが、VBAという開発言語との出会いです。
実はですが、IT業界って、意外にプログラミングができるような人は少ないんです。(アプリケーション開発やっている部署は別でしょうが)
Excelの使い方も怪しい人が多いように思いました。
ですから、VBAを使える人は、ヒーローのような存在だったんですね。
「あれを作ってほしい」「これを改善して!」
ひっきりなしに彼女に相談がやってきていました。
私がそれを見て思ったのは
「いいなぁ・・・」
です(笑)
もしこれができたら、自分のことを好きになれるかもしれない。
仕事ができるようになれるかもしれない。
そんな予感がしていました。
1年間、コードを"日本語に翻訳"し続けた
自分より、4つも5つも年下のその先輩に、
「どうやったらそれが使えるのか教えて」
とお願いしたところ、快く教えてくれた上に、VBAの資格の本まで見せてくれたのです!
しかし―
彼女の解説を聞いても、VBAの資格の本を読んでも、本当に、さっっっぱり意味が分かりませんでした。
業務後、すぐに、私は本屋に行きました。
そして、片っ端からVBAの本を開きました。
何冊読んでも、一文字も理解できない・・・。
でも、あきらめきれませんでした。
どうしても、かっこよくパソコンにコードを打ち込み、職場の人に頼られている、そんな自分の姿が、頭に浮かんで離れなかったからです。
そんな時に思いついたのが、コードを一行ずつ日本語に訳すという方法でした。
Worksheets("入力").Activate → ワークシート「入力」をアクティブにする
Worksheets("入力").Range("A3:F3").ClearContents → ワークシート「入力」のA3~F3の範囲をクリアする
こんな風に、人が書いたコードを1個ずつネットで調べて、ノートに写して、横に日本語訳を書く。
ひたすらそれを業務の合間に、業務後に、毎日繰り返しました。
これだけしたら、普通の人ならすぐにコードが書けると思うんですよ。
でも、残酷なことに、1年の間、私がコードの意味を理解することはなかったのです。
後半になると、もはや、ただの習慣になっていました。
そんなある日、通勤中の道端で突然
「あ、わたし、コードが書ける」
と思った瞬間があったんです。
不思議ですよね。
でも、会社について、VBAのコードを書く画面を開くと――
なんと、すらすらとコードが書けるようになっていたんです!
びっくりじゃないですか?
この私にも、そんな瞬間が訪れたんです。
しかも、コードが書けるようになった恩恵は、それだけではありませんでした。
コードの構造が頭に入ったことで、いつの間にか、思考がロジック的に変わっていたんです。
すると、落ち込みにくくなり、仕事の段取りの組み立て方まで変わりました。
感情に振り回されて失敗ばかりだった自分が、
「今何が問題で、次に何をすべきか」
を順番に考えられるようになった。
コードを読めるようになったことが、大げさではなく、人生を変えたんです。
今、わたしがやっていること
今は「非エンジニアのIT通訳士」として、小さな事業を営んでいます。
やっていることは、ざっくり言うと3つです。
AIやコードの「なんでそうなるの?」を、人間の言葉に翻訳すること。
たとえば最近書いた記事では、Claude Codeを「開発者じゃない人がどう使えるか」を考えたり、ChatGPTの画像生成で何ができるかを図解で比較したり。
エンジニアの人には当たり前でも、わたしたちには見えない壁を、一枚ずつ剥がしていく作業をしています。
現場の「ちょっと面倒」を消す、小さなツールを作ること。
SNSに投稿するとき改行が崩れるのを直すツール、note記事を一括でマークダウン形式にするコンバートツール、Obsidianにnote記事を自動ダウンロードするための拡張機能など。
どれも派手じゃないけど、使った人の手が少しだけ軽くなるものを、自分で開発して無料で公開しています。
「AIはすごい、でも人間はどうする?」を考え続けること。
ロボットが1日2万3000円で借りられる時代にバーミヤンで人間の接客に感動した話や、AIが便利になるほど攻撃も進化しているという話。
便利さに流されるだけじゃなくて、「じゃあ私たちは何を大事にするのか」を、自分の経験をもとに書いています。
このnoteで書いていること
このnoteでは、大きく分けて2種類の記事を書いています。
ひとつは、AIやITの「今何が起きているか」を、非エンジニアの目線で伝える記事。
新しいAIツールが出たら自分で触ってみて、「これは使える」「これは今はまだ早い」を正直に書いています。
最近だと、Genspark Clawでクレジットが全部溶けた失敗談や、AI事務員サービスを試してお給料が高すぎたので見送った話、Cursorの日本語化が急に難しくなっていた話など。
成功例だけじゃなく「やめた理由」「つまずいた場所」を書くようにしています。
もうひとつは、技術の話を「人間の話」として書く記事。
ラマヌジャンが天才だと知らないまま事務員をしていた話から「AIが見つけてくれる自分の才能」を考えたり、マルタが全国民にChatGPT Plusを配り始めたニュースから電信の時代を思い出したり。
AIやコードの話を、歴史や文学や自分の接客業時代の経験に重ねて書いています。
どちらにも共通しているのは、「エンジニアじゃない人が、置いていかれないように」という気持ちです。
わたし自身がずっと「置いていかれる側」だったので、その感覚を忘れないうちに書き残しておきたいんですよね。
「もうちょっと読んでみたい」と思ってくれた方へ
ここまで読んでくださって、ありがとうございます。
このnoteでは、かつてのわたしのように「AIやコードの前で止まっている人」に向けて、毎日記事を書いています。
「この人の話、もうちょっと聞きたいかも」と思ってくださったら、フォローしてもらえると嬉しいです。明日も更新します。
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