SixTONES「BOYZ」全曲レビュー/磨かれた「声」を武器にする原石たち。
6月はじめにリリースされた、SixTONESの15枚目シングル「BOYZ」。
表題曲の「BOYZ」の他に、タイプの異なるカップリングが2曲、メンバー全員のソロ曲が6曲、前作シングル表題曲のリミックスが1曲の合計10曲が、新たに世に放たれました。
豪華過ぎる珠玉の楽曲たちを、全曲レビューしていきます。
表題曲【共通収録曲】
「BOYZ」
アニメ『WIND BREAKER Season 2』のオープニング主題歌。
SixTONES結成10周年のテーマ曲、いわば「新章開幕」の狼煙を上げる曲でもあると、個人的には思っています。
YouTube版のMVでは隠されていたラップパートの、なんと情熱的なことか。
最近、樹さんだけでなく髙地さんもラップで引っ張っていくことが増えて、SixTONESの音楽にまた新たな風が吹き始めた気がします。
SixTONESって、「どんな曲も俺たちが歌えば『SixTONESの曲』になる」くらいのスタンスで歌っていると思うのですが、「BOYZ」を聴いて、それは「自分たちの『人生』を曲に吹き込んでいる」からではないかと感じました。
これまで辿ってきた道のりだったり、大切にしてきたものだったり、これからへの願いや希望だったりを、声に込めて、楽曲の色彩の一部としていく。
最後の砦は We are Boyz
このフレーズの「Boyz」を、私は「仲間」と訳したいです。
肩を組んで共に歩いてきた「仲間」が、そこで見つけた居場所が、決して揺るがない「最後の砦」であり、全てを賭けてきたもの。
傍からは泥臭く見えても、大切なもののためなら全力で闘い抜く、そんな決意を秘めた1曲です。
(余談ですが、生バンドがめちゃくちゃ映えそうなので、次のライブではぜひ……と思いつつ、フェスでも派手に化けそうな予感がします。)
ソロ曲【初回盤A】
「憧憬のアーチ」(松村北斗 ソロ)
俳優で歌手の菅田将暉さんの提供楽曲。
まさか、楽曲提供のみならず、ラスサビでコーラスにも参加していらっしゃるなんて思ってもみませんでした。
ラスサビの演出が、北斗さんの「憧れ」に菅田さんが応えてくださったことで実現したこの曲に、あまりにもぴったり。
お2人の声が重なった瞬間、「憧憬」を寄せる側とそれに応える側との間に「アーチ」が架かったような、得も言われぬ感動がこみ上げてきます。
どこか哲学的で内省的なフレーズが織り交ぜられつつ、歌詞の中に「星」にまつわるワードが散りばめられていて感無量。
北斗さんのお名前は「北斗七星」が由来だそうなので、つくづく、北斗さんのためだけに大切に紡がれた楽曲なんだなと感じます。
「にたものどうし」(髙地優吾 ソロ)
「タレントとそのタレントを応援するファンは似ているなと思う」という爆弾発言(?)が印象的だったソロ曲。
声楽的なことは何も分からないのですが、髙地さんの歌声のバリエーションが最近ぐっと広がっている気がします。ハスキーボイスの使い方を非常によく分かっていらっしゃる……。
優しい歌声が映えるポップで軽やかな曲で、でも、ひたむきな中に「大人」の余裕のようなものも感じられて、何回でも聴きたくなります。
そして、あんまり真っ直ぐ「I love you」というフレーズが歌われているせいで不覚にもキュンキュンしていたのですが、ご多分に漏れず「You're my best friend」という微笑みかけるような歌声を聴いた瞬間に我に返りました。
こういうところをちゃんと押さえているのが、あまりにもダディな髙地さんすぎて、毎度のことながら脱帽です。
「虹、僕」(ジェシー ソロ)
玉置浩二さんからの提供曲を歌うジェシーの姿を、ずっとずっと思い描いていたオタクとしては、「これは都合のいい夢……?」と思うような1曲。
「作曲:玉置浩二、作詞:ジェシー」のひと言だけで一生語れる気がしますが、それはひとまず置いておいて。
私はずっと、ジェシーは「愛」を歌い上げていたいんだろうなと、ジェシーは「愛」が似合う人だなと思っていました。玉置さんが作られた曲の中で言うと、「メロディー」や「サーチライト」「しあわせのランプ」がすごく似合うだろうな、と。
「虹、僕」は、これまでずっと「愛」を歌い続けてきた玉置さんの想いに、ジェシーの「愛」が共鳴して、重なって、織り上げられた曲のように思えてなりません。
ジェシーの持つ両手を広げるような温かな優しさ、その佇まいにほんのり滲む儚さが感じられて、ずっと大切に聴きたい曲になりました。
(そして、ここまで来たら私は、ジェシーのカバーアルバムもソニーさんにお願いしたいです。KinKi Kidsの「むくのはね」とか、村下孝蔵さんの「初恋」とか、ジェシーがどう歌うのか聴いてみたい。)
ソロ曲【初回盤B】
「Night rider」(京本大我 ソロ)
「京本大我」というアイドルはすごく不思議な存在で、邪気のないまっさらな光が似合うかと思いきや、眼光鋭い眼差しが映える暗闇が恐ろしいほど嵌まるんです。そのギャップが凄まじく魅力的。
ソロ活動を経たきょもは、やはりひと味違う……そう思うのは私だけではないはず。
表現力がより潔くなったといいますか、きょもの歌声に通った芯が、より強く磨き抜かれている気がします。
「Night rider」は、きょものオーダーが「ある映画をモチーフに」だったからか、ハリウッド映画っぽい臨場感や迫力もありつつ、どこかミュージカルのような印象もあって、中毒性抜群。
前作のソロ曲「We can't go back」とうっかり繋げて聴くと風邪をひきそうになるのでご注意を。きょもって、つくづく底知れぬ、そして天井知らずな存在です。
「Life is…」(森本慎太郎 ソロ)
平井大さんの提供曲。前作のソロ曲「Love is…」から2度目のタッグとなりました。
どんなキミでもいいよ
きっと全部正解だ
ここの歌詞が特に好きです。初めて聴いたとき、すごくはっとさせられました。
背中を押してくれたり、隣から笑いかけてくれたり、肩をぽんと叩いてくれたり、「一緒に行こうよ」と手を差し伸べてくれたり。
この1曲の中に色んな励ましがあって、その全部が温かくて、肩の荷が軽くなるような、空を見上げるゆとりが生まれるような1曲です。
そして、平井大さん、今回も我らが最年少のキャラメルボイスが映える曲をありがとうございます。
今後ともどうぞ末永く……。
「No Cap」(田中樹 ソロ)
T.Kuraさんの提供曲。「No Cap」は、「嘘じゃない」「真剣だ」という意味のスラングだそうです。
「この1曲の中でどれだけ歌声のバリエーション魅せてくるんですか……?」という、「ラッパー田中樹」のフルコースのような1曲。
樹さんの声って、ざらっとしていて男らしさがしっかりあるのに、声質そのものにひとつまみだけ儚さがあって、ふとした瞬間に危うい陰を見せてくるような、独特の深みがあると思います。
私はあまりラップを多く聴いてきた人間ではなく、むしろSixTONESを好きになってから触れるようになったのですが、そういうところが「ラッパー田中樹」の稀有な存在感ではないかと……(つまるところ、樹さんのソロプロジェクトが立っても何ら不思議はないという話です。)
個人的に印象深いのは、「ダイヤ星落とす」というフレーズ。「ダイヤ」という「石」が、夜空に燦然と光る「星」すら凌駕する……なんて意味が隠れているのかな、と思うなどしています。
カップリング【通常盤】
「怪進撃」
すごくアイドルらしい、かわいいイントロ……! とワクワクしていたら、機械っぽい響きにアレンジされた歌声に不意打ちを食らいました。
曲調や歌詞は、「ボカロの鏡音レンくんの曲ですよ」と言われても納得してしまいそうなくらいポップで、でもエフェクトを貫通する歌声の癖や声質が恐ろしいほど私のよく知っている「SixTONES」。
RPGゲームのような雰囲気もある弾けるような曲に、「恋敵」がやらかしたところで「逆襲」したり「拍手」をしたり、なりふり構っていられない恋のバトルが描かれた歌詞とのギャップ感が癖になります。こういうジャンルまでモノにされたら、SixTONESは今後どれだけオールラウンダーになっちゃうのか……。その姿勢が既に「“怪”進撃」です。
この曲もライブでやったら映えそうだし、事務所の後輩さんのジュニア内グループからも人気が出そうな予感がします。
「So What」
メッセージ性からすると、この曲のご先祖様は「Special Order」辺りでしょうか。
「Special Order」が向かい風の中を闘志を燃やして敵陣に挑むようなイメージなら、「So What」は、向かい風を追い風に変えて、観衆を完璧に味方につけた独壇場のようなイメージです。
迫力満点の曲と音に負けない、SixTONESの歌声の鋭さが特徴的。
They can be talkin' but 誰が主役?
いつも噂される方
ここの歌詞、アイドルが歌うにはあまりにも攻撃力が高過ぎます。
腕がもげるまでペンライトを振りたくなる1曲です。
「バリア - Sweet Retro Soul Remix -」
前作シングルの表題曲であり、映画『お嬢と番犬くん』の主題歌でもある「バリア」が、より糖度高めのリミックスになって帰ってきました。
今回のシングル全体を見たとき、そのバランスの中の「甘さ」を担っているのは確実にこの曲です。
なんだか、大切な人が楽しそうに歩いている様子を微笑ましそうに見守りながら、半歩後ろをついていくような「バリア」に仕上がっていて、大いにときめいてしまいます。
そして、ソニーさん、ラスサビ前の森本さんの「誰ひとり」の破壊力をきちんと分かっておられて……ちょっと溜める「間」を入れるところ、流石です。いつもありがとうございます。
磨かれた「声」を武器にする原石たち。
私の中のSixTONESを好きな理由のひとつに「年齢を重ねることを恐れていない、どんどん『大人』になっていくことに前向きなところ」があります。
SixTONESを見ていると、SixTONESの声を聴いていると、容貌が大人っぽくなったり、声が年を重ねて変わったりすることが「武器」になっている、とよく感じます。
同じ曲でも、何回も歌っていけば歌そのものが変化していく。
今、この瞬間にリリースすることに意味をもつ歌が存在する。
数年前にリリースした曲に、そのときリリースした意味が生まれる。
時間を重ねることは怖いことではないし、あえて抗っていく必要もないし、そのときにしか歌えないもの、伝えられないものがある。
そんな強さがあるから、私たちはSixTONESの歌声に毎回新鮮な感動をもらえるのだと思います。
3月に「バリア」、6月に「BOYZ」ときて、このペースだと、年内にもう1枚くらいシングルがありそうでしょうか。
そろそろバラードを歌うSixTONESも見たい気がしますが、デビュー6周年に向けてもう一段ギアを上げるSixTONESもまた捨てがたいところ。
6人の原石たちが、これからどんな歌声を魅せてくれるのか、楽しみでなりません。
今回お借りした見出し画像は、青空と、どこかノスタルジックな町の様子を切り取った写真です。「BOYZ」のMVで、6人が雑踏を駆け抜けていくシーンや屋上のシーンが印象的だったので、それらを意識して選ばせていただきました。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
私の記事が、読み手の方の心にひとひらでも残っていたら、とても嬉しいです。
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