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来月の支払いが不安な社長へ。ファクタリングに手を出す前に、絶対に確認すべき5つのこと

1. 「ちょっとした違和感」が始まりの合図

ある朝、銀行の担当者からの電話の応対が、以前と少しだけ違うように感じた。

別の日、長年つきあいのある取引先から、急に支払いサイトを短くしてほしいと言われた。

来月の給与日が近づくたびに、預金残高をもう一度確認している自分に気づいた。

それぞれは、些細なことかもしれない。でも、夜、ふと考える。

「うちの会社、もしかして、まずいのかもしれない」

もし今、あなたがそんな違和感を抱えているのなら、この記事は最後まで読んでみてほしい。

その違和感は、たぶん正しい。そして、その違和感に気づけた今のうちに動けば、まだ守れるものは多い。

私は元銀行員として15年、事業再生屋として10年、これまで累計300件以上の中小企業の事業再生に伴走してきた。その中で何度も思うのは、「もう少し早く相談してくれていれば、もっと選択肢があったのに」ということだ。

絶望期に転落してからではなく、その手前で動いてほしい。

伝えたいことは、そういうことだ。

2. なぜ多くの社長が、ここで判断を誤るのか

「来月の支払いが不安」という段階の社長は、まだ「自分で何とかできる」と思っている。だから、外部に相談するのを後回しにしてしまう。

そして、そこから絶望期へと転落していく社長には、共通する判断パターンがいくつかある。

まず、親族や知人からお金を借りる。「ちょっと貸してくれ」と頭を下げる。一時的にしのげるかもしれない。けれど、それで根本問題は解決していない。借りたお金は、いずれ返さなければならない。そして、家族関係や友人関係に、ひびが入ることもある。

次に、ファクタリングに手を出す。「便利な資金調達手段」と謳う業者からの営業電話に乗ってしまう。1社目はまだいい。問題は、それでも資金が回らず、2社目、3社目と使い始めた瞬間に起きる。

取引先への支払いを遅らせる、ということもある。これは信用に直結する。一度信頼を失えば、取り戻すのに長い時間がかかる。

個人カードのキャッシングに手を出す社長もいる。法人と個人を切り分けて経営しているはずが、ここで一気に混ざってしまう。

どれも一時しのぎだが、すべて「次の月」にツケが回る。気づいたときには、自転車操業から抜け出せなくなっている。そして、ようやく弁護士のところに相談に行く頃には、選択肢が極端に少なくなっている。

これが、警戒期から絶望期への、典型的な転落のパターンだ。

3. 確認①:本当に「資金が足りない」のか

「来月の支払いができない」と感じている社長と話すと、意外なことに気づくことがある。

本当に資金が枯渇しているわけではないケースが、結構あるのだ。

たとえば、売掛金の回収が遅いだけ、というケース。決算書を見ると黒字なのに、手元現金がないという状態。これは、回収を早めるか、運転資金を一時的に確保すれば、根本問題は別にある。

固定費が異常に高い、というケースもある。売上は出ているのに、人件費・賃料・リース料などが利益を食い潰しているパターン。これは、固定費の見直しで改善できる。

元銀行員として、決算書と試算表と資金繰り表を3枚並べると、その会社の本当の状況が見えてくる。「資金が足りない」という感覚と、数字上の事実は、ずれていることがある。

だから、まず確認したい。本当に資金が足りないのか。それとも、別の問題が「資金不足」として見えているだけなのか。

自分で把握できないなら、客観的に診断できる第三者に見てもらうのがいい。これは恥ずかしいことでも、能力が低いということでもない。経営の規模が大きくなれば、社長一人ですべての数字を把握するのは、もともと無理がある。

4. 確認②:銀行は本当に「断った」のか

「銀行に追加融資を断られた」と思っている社長の中に、もう一つ、見直してほしいケースがある。

伝え方を間違えているだけ、というパターンだ。

銀行員には、融資を承認できる前提条件がある。一定の収益性、返済の見通し、担保や保証——これらを満たさないと、組織として動けない。これは銀行員の意地悪ではなく、銀行という組織の構造的な制約だ。

「困っているから貸してほしい」という伝え方では、銀行は動けない。動こうにも、稟議書を書く材料がないからだ。

一方で、「事業計画と返済原資を示して、リスケや借換を提案する」という伝え方なら、扉が開くことがある。あるいは、「3ヶ月だけ返済を猶予してほしい、その間にこういう対策を取る」という具体的な提案なら、銀行員も上に持って行ける。

銀行員時代、私自身も、伝え方が違えば融資できたのに、と思った案件が何度もあった。社長は「断られた」と感じていても、銀行員は「あの伝え方では支援したくてもできなかった」と感じている、というすれ違いだ。

銀行の人と話すときは、相手の組織内で何が求められているかを知っておくと、対応が変わる。「断られた」と感じる前に、もう一度、伝え方を見直してみる価値はある。

5. 確認③:ファクタリングに手を出す前に、知っておくべきこと

ファクタリングそのものは、悪いものではない。

ただし、「使い方」と「種類」によって、社長の命運が分かれるのも事実だ。

高金利型のファクタリングを連続利用すると、ほぼ必ず自転車操業に陥る。最初の1社で月の資金繰りをしのげても、その手数料分が次月に重く乗ってくる。それを埋めるために2社目を使い始めた瞬間が、絶望期の入り口だと、私は思っている。

元銀行員として、そして事業再生の現場にいる立場として、ファクタリング業者の手法もよく見ている。中には誠実な業者もある。けれど、追い詰められた社長の足元を見るような取引も、現実にはある。

一方で、適切に設計されたファクタリングは、再生フェーズで強力な武器にもなる。資金繰りの一時的な穴を、健全な範囲で埋める道具として使うなら、有効な選択肢だ。

私自身、関連会社でファクタリング事業もやっている。ただしこれは、第二会社方式での再生をサポートしている取引先に限定した、健全な資金調達の手段としての位置づけだ。

大切なのは、手を出す前に立ち止まることだ。「いま、ファクタリングを使うべきか」を、第三者の視点で診断する。それから判断しても、遅くはない。

6. 確認④:第二会社方式という選択肢を、まだ早い段階で知ってほしい理由

第二会社方式は、よく「弁護士に断られた絶望期の社長のための最終手段」と思われている。

確かに、最終手段として機能する場面は多い。しかし、もっと早い段階で知っておくと、選択肢が大きく広がる手法でもある。

まだ手元資金があるうちなら、より柔軟な再生プランが組める。取引先との関係を完全に切らずに済む可能性も、早い段階のほうが高い。自宅を守れる可能性も、まだ動ける時期のほうが選択肢がある。

「ファクタリングを使い倒した後の第二会社方式」と、「資金繰りが苦しくなってきた段階での第二会社方式の検討」では、選択肢の幅がまったく違う。

第二会社方式は、最後の手段としてだけ存在する選択肢ではない。経営者にとっての「カードのひとつ」として、早めに知っておくのが理想だと思う。

知っておくのと、知らないままでいるのとでは、決断のタイミングと幅が、まったく変わってくる。

7. 確認⑤:一人で判断しないこと

経営者は、孤独になりがちな立場だ。

特に資金繰りの話は、家族にも従業員にも、なかなか相談できない。「会社が危ない」とは、配偶者にも従業員にも言いにくい。一人で抱え込んで、夜、机に向かって電卓を叩く——そういう社長を、私は何人も見てきた。

でも、一人で判断するのは、いちばん危険だ。

客観的な第三者の視点を入れるだけで、見える景色が変わることがある。「自分の頭の中だけで考えていた選択肢」が、実はもっとたくさんあったと気づくこともある。

弁護士、税理士、銀行員出身者、経営コンサルタント——それぞれ違う視点を持っている。誰に相談するのが正解、というよりも、自分の状況に合った相手を見つけて、話を聞いてもらうこと自体が、第一歩になる。

大事なのは、「相談する勇気」を、まだ動ける段階で持つこと。

絶望期に行ってからでは、選択肢が狭まる。

8. まだ動ける今のうちに

「来月の支払いが不安」という違和感は、正しい。

その違和感に気づけた今こそ、行動できる最後のチャンスかもしれない。

数字を客観的に見直す。銀行との伝え方を変える。ファクタリングを安易に使わない。第二会社方式という選択肢を知っておく。一人で抱え込まない。

この5つを、できるところからでいい。動いてみてほしい。

まだ多くの選択肢が残っている段階で、動くこと。それが、絶望期に転落しないための、唯一の方法だと思う。

諦めるのは、まだ早い。

というよりも、まだ何も諦める必要はない。

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