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tarofukushima
変人式【毎週ショートショートnote】
部長が空に向かって何かを叫んでいた。
僕はその声を聞いたとき昔を思い出した。雄叫びと言ってよかった。壇上に登っていた彼は、集まっている人々の代表だと言っていた。そのあと、ぐうおおおおああああと会場が揺れるような雄叫びが響き渡っていた。そこに集まった者たちは、恐怖と同時に親近感を感じていた。人はみな、心の中に叫びたくなるようときがあるものだ。彼はそれを体現しているようであったのだ。それを見て、ある人はほほえみ、ある人は涙していた。そして、小さな拍手が起こり、それが連鎖して大きな拍手になっていた。
僕は会場を出ると、その日『変人式』に参加していた一人の髪の長いほっそりとした綺麗な女性が立っていた。
「少しいいですか」その女性が言った。
「何でしょう」
「つきあってください」
「突然ですね」
「変人ですから」
「いいですよ。僕も変人なので」
僕は心の中で、いや、表に、声に出ていたのかもしれないが、確かに叫んでいた。
あの部長のように。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※複合過去ショートショートにしてみました。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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