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mute_liger1076
古墳症【毎週ショートショートnote】
「あなた、私たちもう無理よ。別れましょ」
「どうしたんだよ。急に」
「私たちもうダメなのよ」
「何がダメなのか言ってくれないとわからないよ」
「これのせいよ」わたしは手の甲を見せた
「こ、これは?」
手の甲には古い扉の鍵穴のようなアザができていた。
「これは『古墳症』っていう1000万人に1人の奇病だって」
「古墳症……」
「あなたは古墳好きでしょ?一緒にときどき古墳に行くけど、それが原因みたいなのよ」
彼の驚いた顔を見ながら、わたしは話し続けた。
「最近は古墳に行くとこの前方後円墳型のアザがうずいて、夜になるとものすごい痛みで……耐えられなくなってきたの。でも、あなたのことが好きだから、ずっと黙っていたの」
「そんなことになってたんだね。じゃあ、俺は古墳に行くのをやめるよ。古墳の趣味もやめる」
「えっ。でも……」
「古墳よりもお前の方が大事だから」
「あなた……」
「お前……」
すこしうずきだした前方後円墳を、わたしはそっとやさしくなでた。
(410字)
たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。
※仕事のピークは越えつつあります。
*この記事は、以下の企画に参加しております。
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