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文学茶釜【毎週ショートショートnote】

「茶でもしばくか」

「部長、どうしたんですか。急に」

「いや、急にお茶が飲みたくなったんだよ」

「コンビニで買ってきますか?」

「そんなのは茶じゃないよ」

「え、じゃあどんなのがいいんですか?」

「『文学茶釜』にするか」

「え、ぶ、文学茶釜ですか?何ですか?それは」

「まあ、ついてきな」

部長はそう言って部下を連れて、会社の社長室の横にある茶室へ入った。

「これだよ。会社のものなんだが、これがすごいんだよ。まあ百聞は一見に如かずだからな」

部長は慣れた手つきで水差しを持ち、茶釜に水を入れた。

火をつけてお湯が沸騰してくるとチリチリと音が聞こえてきた。

そして、そのチリチリという音は次第に大きくなった。

チリチリチリチリチリチリチリ

茶室には沸騰する音だけが静かに満たされていた。

「ここからだぞ。耳を澄ましておけよ」

部長が獲物を狙うような鋭い眼光で言った。

そのとき、沸騰する音が微かに変化してきた。

チリチリチリ、チリヌルヲワカ~

「な!」

「……」


(410字)


たらはかに(田原にか)さんの企画に参加させていただきました。

※月末の仕事がまだ残っておりまする。


*この記事は、以下の企画に参加しております。



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