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モンゴル紀行'12 衣食住

 2012年の秋と冬に再びモンゴルを訪れた。
 1993年依頼、約20年ぶりのウランバートルは驚くほど変わっていた。簡単に言えば都市化が進んでいた。衣服、食べ物、酒が見違えるほど豊かになり、若者ははiPhoneを片手にコンクリートのビルで働き、夜はディスコや劇場で豊かさを謳歌していた。

 ここでは、1993年と2012年をまとめて、モンゴルの人々の衣・食・住について、綴ってみた。

ウランバートル観光

 2012年は都市化されたウランバートルをゆっくり観光できた。都市の中心、宮殿前のスフバートル広場もそうだが、日本と縁の深い施設が街の至る所に在る。車の渋滞、物に溢れたノミンデパートは発展の証。親日モンゴル人と触れ合ったせいか、元気な街に出会えて嬉しい。

スフバートル広場
国立劇場
ウランバートル大学
市内はいつも大渋滞
ノミンデパート
日本と縁が深いモンゴル

衣服 -デール-

 モンゴルの遊牧民は"デール"と呼ばれる伝統衣装を日常的に身につけている。

遊牧民の服装"デール"  '93

 膝丈まである長袖ロングを羽織り、腰の位置で帯を締める。
 首元は防寒のためか、日本の着物と違って閉じている。
 袖が指先よりも長く設えてあるのがポイントだ。普段は折り返しているが、冬場に手綱を掴む際には伸ばして手袋代わりになる優れもの。
 馬に跨るためボトムはズボンだ。そして足回りは革製のロングブーツで決める。カッコいい。
 寒冷地、かつ馬に乗るために考え抜かれた機能性抜群の服装である。

デールは乗馬に最適

 遊牧民が普段着ていデールは地味なデザインだが、ここぞの際の礼服として着るデールはカッコ良さから一転、とても美しい。まさに晴れ着だ。色彩豊かで、帽子も洒落ている。チャイナドレスのルーツと言われているのも納得である。

国立劇場 '93
国立劇場 '93
国立劇場 '93
トゥメンエヘ劇場 '12


 1993年当時はウランバートル市内でもほとんどのモンゴル人がデールを誇らしげに着ていたが、2012年にはすっかり欧米化して激変していた。首都の変化は服装に限った話ではないが、街を歩いていて一番の驚きは自動車の多さと人々の服装かもしれない。特に女性のお洒落具合が目を惹いて仕方ない。日本女性のお洒落とは少し異なって自己主張が強めである。欧米人のおしゃれ感覚に近いのかも知れない。

2012年 ウランバートル
2012年 ウランバートル

食べ物 -赤と白-

 モンゴル遊牧民の食べ物は、赤と白と言われる。つまり肉と乳製品である。

ヤギ肉の塩茹で ホルホグ
 豪快なお祝い料理。
 さっきまで生きていた山羊を見事に屠り、骨付き肉、キノコ、岩塩、そして焼いた石をミルク缶に詰め込んで、ただ待つ。これだけの蒸し料理だが、肉汁が滴りジューシーで実に美味い。手づかみとナイフで、骨から肉をこそげ落としながら大切にいただいた。

山羊の塩蒸し ヨーグルト

ホーショール、ボーズ
 ホーショールは、羊の挽肉を小麦粉の生地で包んで揚げたもの。肉の油が凄くて、一つ食べると腹一杯だ。
 メジャーな料理で、ボーズ(中国の小籠包のルーツらしい)と並ぶ代表的なモンゴル料理だ。
 写真右側の肉スープも力強い肉の油が効いていて、また美味い。

ホーショール 肉スープ
ボーズ、ホーショール、肉肉肉


茹で牛肉のうどん載せ
 料理名を聞いたところ「肉」と言われた。
 てんこ盛りの肉の塊の上に、分厚いラザニアのような"うどん"を大胆にオンした料理。
 美味いのは美味いが、ランチ一人分とは思えないボリュームには降参してしまった。

茹で牛肉 うどん載せ 大量!


羊のお頭
 極め付けはコレ。お祝いの席の特別に有り難い料理らしいが、私がモンゴルで唯一食べられなかった料理だ。臓物系の匂いとビジュアルには参った。

羊のお頭

 茹でた羊の頭が平皿に丸々載せられてテーブルにやってくる。頭の周りには、羊の臓物ホルモンが綺麗に盛り付けられている。料理を目の前にして、どうして良いかわからない。
 同席したモンゴル人が、嬉しそうにナイフを手にして、羊の頭を見事に捌いてゆく。骨格の構造を熟知してないとこうはいかない。流石だと感心するものの、モンゴル人には悪いが食欲はとうとうでなかった。

乳製品

馬乳酒
 モンゴルの乳製品と言えば、何と言っても馬乳酒だろう。ウランバートルのレストランでは見かけなかったが、草原に出て、遊牧民のゲルを訪ねると必ず振る舞ってくれた。モンゴル人が大好きな夏限定ドリンクって感じだ。

馬乳酒 ヨーグルト チーズいろいろ


硬いチーズ
 "93年、馬に乗って散歩中、隣を並走していたモンゴル人が自分の懐から硬いチーズを取り出して、馬上で食べ始めた。もちろん乗馬で移動しながらである。勧められて私もいただく。 
 見た目や形状は、ブロックタイプのカロリーメイトだ。
 食べると、酸っぱくて、硬くて、乾ていて、羊の香りがする。ポリポリと齧る素朴なチーズで、乳脂肪感は意外と無い。決して美味いという訳ではないが、栄養価が高く携帯可能な保存食として素晴らしい知恵だと感動した。
 はるか昔、ジンギスハーン率いるモンゴル騎馬軍は、これを食べながらユーラシア大陸を西に移動し、遂には東ヨーロッパまで制覇したのかと、感慨深く味わった。

"93年 お酒事情
 ビール、ワイン、ウイスキーなどの定番アルコールには、ほとんど出会えなかった。ロシアの代表的なウォッカも一般には出回っていない。お酒に限らず、物資全体が不足していたからかもしれない。現地での噂だが、こうした嗜好品は、現地通過トゥグルグでは買えないようだ。ウランバートルのあちらこちらで、トゥグルグをドルに交換して欲しいと、モンゴル人が観光客に群がっていたのを思い出す。
 ただ、ツアー最終日、ウランバートル市内の立派なホテルでの晩御飯では、缶ビールを贅沢に飲むことができた。

'12年 お酒事情

 2012年、ウランバートルはすっかり豊かになっていてた。
 お酒の主役は、"ビール"と"ウォッカ"だ。
 銘柄はあまり覚えていないが、ゴビやチンギスといった単語が絡む銘柄がたくさんあったと思う。
 ビールで始まる宴会も、徐々に盛り上がり、いつの間にかアルコール度数の高いウォッカ(モンゴル焼酎)に切り替わり、とことん酔っ払う。その結果、夜のウランバートルは、グダグダに酔っ払ったモンゴル人がフラフラしている。体格抜群の男たちが夜中に酔って暴れているので結構治安が悪い。
 一方、レストランや土産物屋には置いていなくて、モンゴル人が密かに楽しんでいるお酒がある。馬乳酒だ。ウランバートルで暮らすモンゴル人の中には、草原の遊牧民が夏場限定で作っている馬乳酒を直接手に入れて、嬉しそうに飲んでいる人々がいた。私が出会ったモンゴル人の運転手は、2リットルのペットボトル容器に入れた馬乳酒を車に積んでいて、赤信号で停止した隙にゴクゴクと飲んでいた。

モンゴルビール
モンゴルウォッカ

その他

 他、私がモンゴルで食べて飲んでみて、印象に残ったものはコチラ。

干し肉入りラーメン? ' 93年
 草原の野っ原で、インスタント袋ラーメンの乾燥麺と羊の干し肉をお湯で戻したものをいただいた。おそらくキャンプ食なのだろう。ジャンクなのかもしれないが、干し肉の塩気が効いていて、私はとても美味しかった。

黒パン ' 93年
 ウランバートルの高級ホテルでは、貴重なパンが食べられた。酸っぱくてボソボソして重たい黒パンだ。おそらくライ麦のパンか。昔のテレビアニメ"アルプスの少女ハイジ"に登場する黒パンを思い出しながらワクワクして食べた。一般に人気のあるふわふわパンの真逆みたいな黒パンだが、羊肉に飽きた胃袋には貢献度の高い食材である。

ピロシキ ' 12年
 場所は定かでは無いが、ウランバートルの北部に行くとロシア系の人々が暮らす町があって、そこで美味しいピロシキを頂いた。ロシア人の容姿をしている大きなお姉さんが一人で営んでいる小さな商店で作り売りされていた。飾り気無しの庶民のピロシキが嬉しかった。もちろん旨かった。

ボルシチ ' 12年
 こちらは、ウランバートル市内にあるロシア料理の高級レストランで頂いたボルシチ。初めてのボルシチ、色と味にギャップがあって不思議な感動を覚えたが、洗練されていて美味い。テーブルクロスや皿、それに店員さんの衣装のデザインがロシア、東欧の雰囲気があって素敵なお店だ。'93にはなかった豊かさを感じるひとときである。

ボルシチ
ロシア料理店にて

火鍋 '12年
 ウランバートル郊外のレストランで火鍋に挑戦した。モンゴルの羊肉火鍋はとても歴史が古く、現代の中華火鍋の源流と言われている。極寒のモンゴルで"火"の鍋が好まれて発展したのは納得である。
 この店で衝撃だったのが、注文の際、店員さんに、英語のワン、ツー、スリーが通じなかったことだ。現地のモンゴル人には日本語や英語は通じない、ロシア語なら通じる、と言われてはいたが、まさかOne two threeまでとは驚いた。勝手な思い込みである。世界は広いぞ。

火鍋

住まい -ゲル-

 遊牧民は移動式テントを住まいとしている。モンゴルではゲルと呼ぶ。中国ではパオである。
 外観は白一色で、緑の草原によく映えて美しい。木の骨組みにフェルト生地を丸く張って、ロープで固定されている。屋根は緩やかに尖っていて、てっぺんには円柱の煙突が飛び出ている。可愛らしいフォルムだ。
 屋内に入ると、朱色の世界だ。木の骨組み部材が鮮やかな朱色に塗られていていて、なんとも落ち着く華やかさだ。内空間は思ったより広く感じる。床には絨毯が敷かれており、土足なのに快適である。
 円の辺縁にぐるっとベッドが配置され、中心部にストーブと机が置かれている。

遊牧民の住まい ゲル '93
ゲルの内装 '93

 '93年、草原に珍しく、貴重な木造を使った住宅もあった。ソ連の人の建物らしい。

珍しい木造建物 '93

 2012年。遊牧民のゲル。
 ゲルの屋根には、太陽光パネルが設置されている。横付けされている車は、ハイブリッド車だ。片手に持つiPhoneは最新機種である。社会の変化にちょっと驚いたが、よく考えてみると、ソーラー発電や携帯電話などの無線テクノロジーは、有線インフラが難しい大草原で暮らす遊牧民こそ最適かもしれない。

ゲル組立て中 '12
現代の遊牧民ゲル '12


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