建築家の思考ノート #01|建築家は白い紙を前に、最初に何を考えているのか
はじめに
「建築家の思考ノート」を始めます
設計図は、完成すれば見ることができます。
建物も、完成すれば誰でも訪れることができます。
でも、その建物が生まれるまでに、建築家が何を考え、何に迷い、
どのように一つひとつ判断しているのかを知る機会は、あまり多くありません。
このシリーズでは、図面の描き方を解説するのではなく、建築家の頭の中で起きていることを、できるだけ言葉にしてみようと思います。
もちろん、実際のプロジェクトには守秘義務があり、すべてをお見せすることはできません。
だからこそ、この場所では、実務の中で培ってきた「考え方」や「設計への向き合い方」を中心に、少しずつお話ししていきます。
設計に興味のある方はもちろん、建築を専門としない方にも、建物を見る目が少し変わるようなシリーズになればと思っています。
このシリーズでは、プロジェクトの始まりから完成まで、建築家がどのような思考で設計を進めていくのかを、一歩ずつたどっていきます。
1. 白い紙は、まだ建物ではない

白い紙を前にしていると、何も考えていないように見えるかもしれません。
けれど、実際にはその時点で、建築家の頭の中ではすでに多くのことが動き始めています。
プロジェクトが始まった瞬間から、頭の中はほとんどフル回転しています。
打合せの帰り道、食事をしている時、電車に乗っている時、夜眠る前。
机に向かっていない時間にも、その建物のことを考えています。
もちろん、紙に向かいながらアイディアを練ることもあります。
線を引いて初めて見えてくることもあります。
けれど実際には、机に向かう頃には、もう半分くらいは頭の中で建物が立ち上がっていることが多いのです。
白い紙は、始まりではあります。
しかし本当の設計は、その紙に線を引く前から、すでに始まっています。
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建築家は白い紙の前に座る前から、すでに設計を始めています。
では、その最初の一歩は何でしょうか。
実は、最初に描くのはスケッチではありません。
まず建築家は、その敷地に眠っている情報を一つずつ読み解くことから始めます。
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