遊戯王研究ノート:グーテンモルゲン青眼で「3すくみ」を作る
※この記事は遊戯王OCGの話です。
普段は数学の話が多いけど、今回はカードゲーム。
でも、ただのデッキ紹介というより、僕の中では研究ノートです。
このデッキはノリで作ったんじゃなくて、できるだけ論理(数学っぽい発想)で組んだから。
狙いは「強くなる」だけじゃない。
環境が収束していく流れそのものに、設計で介入できないか、って話。
1. 動機:Tier表が“答え”になりすぎると、ゲームが痩せる
最近の遊戯王、強い相手ほど汎用妨害を厚めに積む。
手札誘発、指名者、泡影…みたいなやつ。
もちろん競技としては正しいと思う。
でも、それがテンプレ化しすぎると、
どのデッキも「初動パッケージ+汎用妨害の束」になりやすい
何をするかより「通るか通らないか」の比重が増える
Tier表が実質ルールになっていく
みたいな閉塞感が出る。
さらに現実的な話をすると、Tier上位のカードは高くなりやすい。
高いと真似しにくい。
真似しにくいと参入障壁になる。
そして勉強量も増える。
結果として、多様性が削れて、競技人口や新規参入者にも影響が出る。
(ゲームが悪いというより、収束圧が強いと“遊び方”が単調になりやすい。)
2. もう一個の問題:手札誘発と対策が「前提」として固定されすぎる
ここも軽く触れておきたい。
強い相手ほど汎用妨害を積む。
だから対策札も固定される。
すると「正しい止め方/正しい守り方」も固定される。
この前提が回り出すと、テーマが違っても中身が似てくるし、
“対策を知ってる方が強い”というより、分岐が減る。
僕がやりたいのは、手札誘発を否定することじゃない。
「手札誘発が強い世界でも、ゲーム性が三すくみになる」状態を作れないか、ってこと。
3. 1103環境が根強い人気を持つこと自体が、ヒントだと思う
1103(2011年3月頃の制限を基準にしたレトロ環境)が根強い人気あるのって、
ただの懐古じゃないと思ってる。
むしろ「1103という遊び方が生きてる」こと自体が、
現状の閉そく感や、パターンの収束に対する反応なんじゃないか。
ここで僕が興味あるのは、1103をそのまま再現することじゃなくて、
1103が示してる“群雄割拠が成立する条件”を抜き出すこと。
4. 1103が「分布が割れやすい」理由(仮説)
カード名暗記じゃなく、構造としてメモしておく。
勝ち筋が1ターン完結に寄りすぎない(往復が起きやすい)
解決手段が汎用一本槍に寄りにくい(止め方が固定されにくい)
リソースのやり取りが見えやすい(納得感・腕の差が出やすい)
読みが固定されにくい(正解が一個になりにくい)
苦手相性が残る(万能化しないから環境がじゃんけんになる)
僕はこの「苦手相性が残る」を、むしろ健全だと思ってる。
5. 目的:遊戯王のゲーム性を「三すくみ」に戻したい
ここから本題。
僕がやりたいのは、勝率最大化じゃなくて、
遊戯王のゲーム性そのものを三すくみに変えること。
相手がどんなデッキでも、最後はだいたい
止める(妨害・無効・指名者・泡影…)
割る(除去して解決する)
無視して取り切る(OTKや短期決戦)
のどれかで解決しようとする。
この3つの方針に、それぞれ「税」をかけたい。
「好きにやっていいよ。ただしコスト払ってね」っていう状態を作る。
これが僕の言う三すくみ。
6. プロトタイプ:グーテンモルゲン青眼(モルガナイト天威原石青眼)
この目的のために作ったのが、モルガナイト天威原石青眼。
以降、呼びやすいので グーテンモルゲン青眼 と呼ぶ。
このデッキは一言で言うと、
リソース型ビートダウン。
モルガナイトでルールの前提をズラして、
昔の遊戯王みたいに「通常モンスター中心」で殴って勝つ。
7. 設計原理(僕が数学っぽく考えた3つの柱)
① リソース税:相手が動くほど手札差がつく
相手が普通にプレイしてるだけで、こちらの手札が増えやすい状況を作る。
これでリソース勝負を支配する。
② 冗長ネットワーク:止めどころを分散させる
一本道の初動を避けて、どこを止められても別ルートが残るようにする。
結果、汎用妨害の“正解点”が作られにくい。
③ 状態遷移(変換):サクリファイスエスケープで景色を変える
除去や無効に対して、盤面を別物に変換して空振りを作る。
しかもおまけのドローや再始動が乗りやすい。
8. デッキの型:三すくみ用の3分類(大枠だけ)
細かく分けようと思えばいくらでも分けられるけど、ここでは3つに束ねる。
取り切り型(展開/コンボ/OTK):通ったら早い
テンポ型(ミッドレンジ/コントロール):毎ターンちょうど良い圧で勝つ
継戦型(リソース/ビート):受け切って手札差を積み上げる
モルテンゲ青眼はこの中の 継戦型(リソース型ビート)。
そして重要な観察が2つある。
僕のデッキは ミッドレンジ(テンポ型)に弱い
でも 典型的なメタロックは効きにくい(青眼を通常召喚できるし、特殊召喚せずとも戦える)
9. そして、苦手相性は残す(ここが大事)
僕のデッキは、魔法罠を大量に積んだ昔っぽいデッキに弱い。
でもそれでいいと思ってる。
万能にした瞬間、また最適解になる。
最適解になると、また収束する。
三すくみにしたいなら、苦手があるのは自然。
10. 実装:グーテンモルゲン青眼 v0.1(公開レシピ)
ここにデッキレシピを貼る。
追試・改造歓迎。むしろそこから亜種が生まれることを狙ってる。
【グーテンモルゲン青眼 v0.1】公開レシピ

【メイン40】
■モンスター14:青眼の白龍×3/青眼の亜白龍×1/青眼のジェット・ドラゴン×1/青眼の混沌MAXドラゴン×1/瞳の魔女モルガナ×2/妖精伝姫-カグヤ×2/ネオ・カイザー・シーホース×2/原石竜アナザー・ベリル×2
■魔法22:融合強兵×3/究極融合×2/青眼龍轟臨×3/光の霊堂×1/竜の霊廟×1/原石の皇脈×1/原石融合×2/原石の穿光×1/天威無崩の地×2/時を裂く魔瞳×1/死を謳う魔瞳×2/咎を擁く魔瞳×1/表裏一体×2
■罠4:天威無双の拳×2/白き龍の威光×2
【エクストラ15】
■融合9:青眼の究極竜×3/真青眼の究極竜×1/究極竜魔導師×1/ブルーアイズ・タイラント・ドラゴン×1/偉大なるダブルキャスター×1/スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン×1/青眼の双爆裂龍×1
■シンクロ2:エンシェント・フェアリー・ドラゴン×1/覇王龍ズァーク-シンクロ・ユニバース×1
■エクシーズ1:藍眼の銀龍×1
■リンク3:青き眼の精霊×3
締め:このデッキでやりたいこと(まとめ)
この「グーテンモルゲン青眼」は、妨害を積み上げて先攻で固めるデッキではない。
モルガナイト(魔瞳)で前提をズラして、相手の想定している“現代遊戯王の勝ち方”を外しにいく。
やってることは単純で、
無崩+非効果(青眼)+ジェットドラゴンなどで相手に手数を要求する
こちらは大量ドローと回収で手札が減らない
除去されそうなところは融合系/表裏一体で逃げる
返しに究極融合/原石融合で盤面を“融合変換”してもしなくても、連続攻撃で殴って終わらせる
妨害で止めるというより、受け切って、厚い手札で押し返す。
だから相手が汎用妨害を積めば積むほど、こっちが得をする場面が増える。
ここから先の亜種や研究が生まれる方が、この遊び方として面白いと思うから。
もし回してみた人がいたら、感想や改造案をぜひ教えてほしい。
「グーテンモルゲン青眼」は、たぶんまだ伸びる。
今後の研究(ここから先が面白い)
この構築はまだ“完成”じゃなくて、試験運用の段階。
今後は、例えばこんな観察をしていきたい。
「無崩が引けた試合」と「引けない試合」で勝ち筋がどう変わるか
表裏一体の“逃げ先”をどこまで最適化できるか
墓地の太り方(霊廟1枚でも足りるのか/2枚が必要か)
1103的なデッキ/現代的なデッキ、それぞれに対する戦い方の言語化
最後に:このデッキの“設計思想”だけ触れて終わります
今回のデッキ構築は、ネットワークの冗長性(カード間の関連性の多様さ)というコンセプトが入ってて、それは研究で理解が進んだら、いつか記事を書く予定です。
このデッキを作ってて一番面白かったのは、カード単体の強さじゃなくて、
カード同士のつながり方の方だ。
言い換えると、
「Aが止められてもBに逃げる」みたいな一本道じゃなくて、
いくつも枝分かれしたルートがある状態。
たとえば
レベル4が全部リンク1につながる
墓地に落ちても役割が残るカードが多い
盤面が崩れても“融合変換”で別の形に作り直せる
受け札を撃ってもドローで次の札が補充される
こういうのを、僕は(勝手に)
「ネットワークの冗長性」って呼んでる。
カード間の関連性が多いほど、相手の妨害が“致命的でなくなる”感覚がある。
ただ、この話をちゃんとやろうとすると、普通に数学っぽくなるので……
今回は深掘りせずに、ここで止めておく。
そのうち、
「ネットワークの冗長性で遊戯王を分析すると何が見えるか」
みたいな記事を、別で書く予定です。
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