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同窓会を断ったけど、友達には会いたい

職場の同窓会の連絡が来た。
都内ならともかく、遠方でやる。わざわざ行くことになる。

断った。
バイトがあるから、という今のところたぶん嘘じゃない理由を書きながら、自分で自分に「バイトかよ」と突っ込んだ。
そこそこ華やかな世界の人たちに向けた言い訳として、なんだか情けないと思った。

しかし、それ以上に、面子を思い浮かべて、会いたいと思えなかった。
まあ、働いていた頃から、そういう場にいても疲れてしまうだけだったけれど。

連絡してくれた友達を含めて、仲良くしていたみんなには会いたい。
みんな東京だから、声をかけて調整すればいつでも会える。

会いたい、いつでも会えると言いながら、わたしはなかなか会おうとしない。

わたし以外のみんなは、なんだかんだで仕事で連絡をとったり顔を合わせたりする。機会があればご飯くらい行ってるのだろう。
だから、わたしを含めて会うなら、土日のどこかでわたしが会おうと言わないと実現しない。

会おうとしない理由は明確で、仕事を辞めてしまったわたしは、何となく会うのが複雑だからだ。

みんな、もともとあの世界に興味があって、仕事について思うところは山ほどあっても、あの世界にいたくないわけじゃない。

わたしは、絶対に嫌だと思っていた分野だった。
働いている時もうんざりしている時間の方が圧倒的だったし、解放されて安堵した。
興味を持てる部分も間違いなくあったけど、トータルすると苦痛な部分の方が多く、魂が削れた。
でも、たまに苦しくなる。キャリアを生かして即戦力、みたいな話になると、どうしてもあの世界しかないのだから。

みんな立派な管理職で、組織を背負った立場にいる。
みんな優秀でいい子。そういう人が出世する。そして大変な目に合う。仕事ができず、いい人でないほど、楽に業務を終えている。そういう世界だ。
いい人の顔を続けてそういう目に合うのを、わたしはひどく嫌った。幸い、管理職にならない言い訳をする環境と才能に恵まれ、それをうまく使って逃げた。

仕事を辞める前から、管理職コースから自ら離脱したわたしは、彼女たちに会うのがどことなく微妙だった。
コンプレックス、と言えばそうなのだろう。
若い頃は同じ立ち位置だった…いや、わたしの方がほんの少し上と言えば上だ。思えば、働き始めた時期はわたしが一番早いじゃないか。
途中まで同じだった。そこから、みんなは管理職となり、わたしは管理職を徹底的に避ける布陣を組んだ。

管理職同士の話にたまについていけない。
意味がわからなければ、「それってどういうこと?」と聞き返せるし、みんなもちゃんと答えてくれる。
けれど、管理職にしかわからない感覚で「本当に色々あるんだよね」と言われると、みんなは「色々」が共有できていて、わたしだけわからない。
長年経験した色々、広範囲の業務の色々、人間関係の色々、簡単に大声で言えない色々。そんなものが多すぎて、出来事も感情もいちいち説明しきれないのだ。
わたしを仲間外れにするとか秘密にしたいというわけじゃない。それはよくわかっている。

特に仕事を辞めてしまってから、話せることが減ってしまった。
仕事をしている間は、仕事の話をすれば良かった。あとはみんなの管理職の話、家族の話を聞いて、旅に行った美味しいものを食べた的な女子トークをすればよかった。
今のわたしが何かを語っても、遊んでいる自由人でしかない。決して楽じゃない毎日をみんなが送っているのを知っているから、ぺらぺらと話せやしない。

あの世界が本当に好きじゃない。もともと好きじゃなかったんだ。
そんなことを言っても、「そうなんだね」と受け止めてくれるけど、それ以上に共感できるものはないだろう。
だってみんなはあの世界が好きで、じゃあ梢ちゃんはどうしてその世界に入っちゃったの?という空気になる。その理由を親だと語っても、育ちのいいみんなには、さらにピンとこない話になるのだろう。

HSPだとかスピリチュアルがどうとか、ここで書いていることを口にしても、絶対にみんな珍獣を見る目になる。

転職したと言いきれず、だらだらと書いたものと写真を投稿してると言ったところで、それが何になるのだろう。
そういう趣味があったんだねと新鮮に思ってはもらえるけど、それがわたしの本質とはみなされない。お金になること、あるいはお金にならなくても明確な形や痕跡を残して、初めて人は認めるものだと思うから。

つまり、本当のわたしだと思っているわたしは、みんなが思っているわたしと乖離しすぎている。
だから、働いていた頃とあまり違わないわたしの顔で、そうして昔と同じようにわたしが場を回して、無難な時間にしてしまいそう。

それでも、みんなには会いたい。
面白くて、一緒に笑えて、共有した時間があって、そして優しくて。

また会おうよ。
戻って来たかったらいつでも戻ってきてね。
みんなはそう言ってくれる。

みんなと同じ世界にいたいような、でもそれはわたし基準じゃないと思う。

せめて、今はこれをやっているんだって胸を張って会えるように、こうして暗中模索している。

今年こそ忘年会しようね、声をかけるよとLINEを返して、それまでに語れる何かを用意しないと、と思ったりしている。







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紫葉  梢​ いつかあなたにお還しします😌