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セミにハープは似合わない

買い物に出ようと思って窓の外に目をやると、雲行きが怪しい。
さっきまで青空だったのに。

天気予報を見ると、もうすぐ雨でしばらく止まないらしい。
自転車でさっと出かけてこようと思っていたから、気分が落ちた。

何もない日なら、少しは運動と思えるけど、今夜はがっつりフィットネスだ。体力は温存したい。

でも、仕方ない。
雨傘を片手に玄関ドアを開けた。
もう、銀色の雨がしとしと降り注いでる。

買い物を済ませてストアのガラスドアから外を見ると、今度はくっきりと青空が広がっている。
なんやねん。こういうのに振り回されるのが苦手だ。
HSPだからか、臨機応変に気分を変えられない。

表に出ると、水たまりに次々と波紋ができている。
お天気雨だ。
ますます、なんやねんだった。雨か晴れか、どっちなんだ、はっきりしてくれ。

青空の下で、雨傘を広げる。

小学3年くらいの頃、新しい傘を買ってもらった。
水色で、スヌーピーが描かれていた。とても気に入り、うれしくって、晴れの日でも何となくさしていたら、母に注意された。色が剥げちゃうよ、と。
珍しく、母の発言は正しかった。数日後に傘を広げてみたら、可愛い水色もスヌーピーも掠れて薄くなっていて、泣きたくなった。

そんなことが頭をよぎり、さすがに今時の傘なら、1回くらい太陽の光を浴びたって平気だろうと思った。
何より雨が降っている。色が剥げようが、わたしの使い方としては正しい。

路上にむわむわと湿気が立ち込める。
夏らしい暑さとは違う、どこか不気味な空気の中を歩く。
何となく、今の日本みたいだなと思った。晴れの日の雨のように、反するものが共存し、これまでにないよくわからない空気が立ち込めている。

途中の川に、カメがいた。
写真を撮りたかったけれど、荷物があってできない。
何となく、今の自分みたいだなと思った。余計な荷物で思うように身動きがとれない。

マンションに向かう途中、遠くの空のコントラストが眩しかった。
純白の雲、銀色に光る雲と、底抜けに澄んだ青い空。
この世の中には、美しいものがある。
ますます、今の時代みたいだなと思った。

家に入ると、つけっぱなしのCDから倍音豊かなハープが流れていた。
外からはセミの声。
このふたつって、似合わねえな。
けど、不思議と静かな気持ちになった。









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紫葉  梢​ いつかあなたにお還しします😌