《記号とシンボル》 #8 日本の国章 「菊花紋章」
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菊花紋章

日本政府・内閣 - http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/2956399, CC 表示 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=81364345による
菊花紋章(きくかもんしょう、きっかもんしょう)は、キク科キク属のキク(菊)を図案化した菊紋のうち、特に花の部分を中心に図案化した家紋のことです。菊花紋(きくかもん、きっかもん)、菊の御紋ともいいます。単に菊紋(きくもん)という場合は、葉・茎・花を組み合わせたものや、それらのいずれかを図案化したものも含みます。
十六八重表菊( じゅうろくやえおもてぎく)は、皇室の紋章として知られています。転じて日本の事実上の国章としても用いられており、大日本帝国憲法や日本国憲法の原本を納めた箱の蓋にも刻まれています。 八重は「重なった構造」を意味しています。また、1926年以来、日本の旅券に刻まれているのは十六一重表菊(じゅうろくひとえおもてぎく)です。

「日本国旅券」の文字は篆書(てんしょ)。
Muttley - Self-published work by Muttley, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1725490による
概要
古くから紋章として多く使用された花は蓮華(れんげ/ハス)であり、飛鳥寺をはじめ、飛鳥時代の各地の遺跡からさまざまなデザインの蓮華文軒丸瓦( れんげもん のきまるがわら)が出土しています。

Source: 奈良国立博物館
観賞用のキクは奈良時代(710年〜794年)に中国大陸から伝えられました。梅・竹・蘭とともに四君子(しくんし:蘭、竹、菊、梅の4種を、草木の中の君子として称えた言葉)とされています。
『万葉集』(759年頃)には詠まれておらず、『古今和歌集』(905年頃)や『源氏物語』(1008年頃)などに登場します。平安時代( 794年〜1185年)には、陰暦9月を菊月(きくづき)と呼び、9月9日を「重陽(ちょうよう)の節句」「菊の節句」として、菊花酒を飲む「菊花の宴」「菊花の杯」により邪気を払い、長命を祈りました。菊の文様も吉祥文様(きっしょうもんよう:縁起がいいとされる動植物や物品などを描いた図柄)として好まれ、装束に用いられました。
鎌倉時代(1185年〜1333年)には、後鳥羽上皇(ごとばじょうこう)が菊を自らの印として愛用しました。後深草天皇・亀山天皇・後宇多天皇がこれを継承し、慣例の中で菊花紋、特に32弁の八重菊紋である十六葉八重表菊が皇室の紋として定着しました。
江戸時代には、江戸幕府によって厳しく使用が制限された葵紋(あおいのもん:徳川家康および徳川将軍家の家紋「三つ葉葵(みつばあおい)」が有名)とは対照的に、菊花の図案を用いた和菓子や仏具などが作られるなど、菊の紋は各地に広まりました。

Mukai - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=29952908による
図案
菊花紋は古くから、公家や武家の家紋、店舗の商標などとして多く用いられ、豊富な種類が図案化されており、変種も数多く存在します。主に、花弁の数、花弁の重なり(一重または八重)、表と裏(蕊(ずい、しべ)があれば「表菊」、萼(がく)があれば「裏菊」)、その他の意匠(輪郭を浮かせた「陰菊」、円形でなく菱形にした「菱菊」、水流をあしらった「菊水」、尾形光琳が考案した「光琳菊」、半円形に割った「割菊」「半菊」、井筒・井桁・文字・菊葉などと組み合わせたものなど)によって表現されます。
ただし、文献によって表現の仕方に違いがあります。とりわけ皇室・皇族関係の紋には、花弁の数に「弁」や「葉」(十六弁〔太政官布告〕・十六葉〔皇室令〕)といった単位が付けられることがあります。
例えば、花弁が10枚であれば「十菊」あるいは「十葉菊」、12枚であれば「十二菊」あるいは「十二葉菊」と呼ばれます。花弁が一重であれば「一重菊」、複数重なっていれば「八重菊」や「九重菊」となります。中心に蕊が表現されるなど表向きのものは「表菊」、萼を表現するなど裏向きのものは「裏菊」と呼ばれます。これらを組み合わせて、例えば16の花弁で裏向きの八重菊であれば、「十六八重裏菊」(十六葉八重裏菊)と表記されます。

Mukai - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6746146による

Mukai - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6746095による

Hakko-daiodo - 投稿者自身による著作物 http://hakko-daiodo.com/kamon-c/cate0/kiku/kiku13.html, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=72842482による

Mukai - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6793262による

Mukai - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7012762による

source: きもの365
光琳菊(こうりんぎく)は、江戸時代の画家・尾形光琳が描いた菊の図案を簡略化・様式化した吉祥文様です。円形の輪郭に点を配したモダンなデザインが特徴で、長寿を祝う「万寿菊」とも呼ばれます。主に秋の和菓子(練り切りや餅)や着物、工芸品の意匠として人気があります。

天皇・皇室・国の機関の菊紋

Philip Nilsson - Inspired by File:Japan coa kiku.png, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=499747による
菊紋のうち、八重菊を図案化した「十六葉八重表菊」は、天皇および皇室を表す紋章です。一般には「菊の御紋(きくのごもん)」とも呼ばれます。
親王などの皇族によるこの紋の使用は、明治2年(1869年)の太政官布告((だじょうかんふこく:明治初期に政府(太政官)が出した公式の命令・お触れ)によって制限されました。
その後、1926年(大正15年)の皇室儀制令(大正15年皇室令第7号)第13条により、「十四葉一重裏菊」が皇族の紋章として定められました。
各宮家の紋は、この「十四葉一重裏菊」や「十六葉一重裏菊」に独自の図案を加えたもの(有栖川宮家・伏見宮家など)や、「十四葉八重表菊」を小さな図案として用いたもの(秩父宮家・三笠宮家・久邇宮家など)となっています。

source: Kamon DB

DCyokohama - 『有栖川宮総記』に掲載のものを参考に投稿者が描画, CC 表示 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=110751782による
使用例
1947年(昭和22年)に皇室儀制令が廃止されたため、菊花紋章を天皇・皇室の紋章、または日本の国章として定める現行の法令は存在しません。
しかし、慣例として、菊花紋章は天皇・皇室の紋章として、また日本の国章に準じる紋章として用いられ続けています。
日本の在外公館の玄関には、戦前から引き続き菊花紋章の浮き彫りが飾られています。また、日本国が発行する旅券の表紙には、「十六一重表菊」をデザイン化したものが使用されています。
さらに、国会議員の議員記章には「十一菊」の図案が用いられています。

Asanagi - 投稿者自身による著作物, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=19512327による
そのほか、菊花紋は日本の勲章の意匠にも取り入れられており、菊は桜と並んで国花に準じた扱いを受けています。
菊花紋章は、日本の国章に準じた扱いを受け、法的には国旗に準じて保護されるため、これに類似した商標などは登録することができません(商標法第4条第1項第1号)。
国際的にも、十六八重表菊は工業所有権の保護に関するパリ条約第6条の3に基づき、1967年に同条約加盟国へ通知されており、これらの国では商標登録が認められていません。
また、旭日章(きょくじつしょう)は司法機関の紋章であり使用が制限されている(軽犯罪法による規制)ため、探偵業者が権威を示す目的で自社の表章として用いる例があります。

Mononomic (talk) 18:48, 25 January 2009 (UTC) - File:Asahikage.png, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5790303による
漫画家の魔夜峰央(まや みねお)は、かつて作品の背景に菊の花をあしらった模様を頻繁に描いていましたが、それが菊花紋章に酷似していることに気付き宮内庁に問い合わせたところ、「できれば使用を控えてほしい」と言われたため、その後は描くのを控えるようになったと語っています。
自民党のシンボルは、「陰十四菊」の中央に“自民”のモノグラム。

Ocdp - based on the flag at beginning of this video: https://www.youtube.com/watch?v=A1dWB08XUu8, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=106201930による
また、日本会議(にっぽんかいぎ:日本の保守系政治・宗教団体)の紋章も、「陰十四菊」の中央に桜花をあしらったもの。
仏教の一宗派である日本天台宗は、十六菊の中央に三つの星をあしらった紋(三諦章)を宗章としています。

source: KAMON DB
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参照
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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%8F%8A%E8%8A%B1%E7%B4%8B%E7%AB%A0
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