綿100おばちゃんと私の、遥かなる友情
綿100おばちゃんと私は、古くからの親友だ。
久しぶりにいっしょに買い物を楽しむ、私の幼馴染でもあるその人は、目にかけた商品を片っ端からタグチェックしていた。
「だめ。これは綿49%。残念ながら不合格です…」
そう言って、彼女はタグをそっと元にもどす。

証拠品として提供いただいた。
「綿100%を私は求めてるのよ……!」
そう熱く語る彼女は、そのまま流れるように無印良品へと私を誘導する。
「しいもに、ぜったい似合いそうなスカートがあったの! 私はまぁ、はけないけど……」
そう言って、彼女はそこに連なるスカートの、最後の一色を手にしてみせる。
「ほら。きれいでしょ、緑! 私は白か、黒かなあ。なによりですね、お客さん、これは綿100%なんですよ!!!」
親友は目を輝かせて言った。
「やば。綿100おばさんキタwww」
その勢いを見た私は思わず、彼女をそう名付けた。
綿100おばちゃん(かわいく言い直す)と私は、その日おソロのスカートを買った。私は緑。彼女は黒。綿は100%。
素材にこだわる彼女の言うことは間違いないだろう。彼女は試着したが、私は試着せずにそれを彼氏面しながら見守った。
「めっちゃいいじゃん」
「いいよね!? だってお客さん、これ、綿100%ですから!!!」
私の名づけた綿100おばちゃんを徹底してくるあたりが、私に笑いと確実な安心感をもたらす。
ちなみに綿100おばちゃんは私が言うのもなんなのだが、とてもかわいい。これ以上綿100おばちゃんを連呼してもなんのはなしかわからないので、訂正しておくのがいいだろう。
小学校から彼女は、いちごが大好きなので、いちごとする。
実はnoteをはじめてすぐのときにも、彼女との話を少し書いている。
そして先日も、私はその親友いちごとのエピソードを、noteに書いた。
彼女とは小学校からの親友だ。
好きな人を手紙で教えあったり、A4サイズのノートにびっしりと文字をつめこんだ交換日記も何年も交わしていたし、お休みの日には一緒にプリクラを撮ったり、彼女のでっかいおうちで何度もお泊り会をした。
とはいえ、彼女と私は似ているかというと、まったくの真逆だと思う。
きっちりしっかり、真面目な長女のいちご。
のらりくらり、なるべく楽したい末っ子の私。
学級委員で活躍しクラスを牽引するいちご。
なるべく目だたずに、めんどくさいことは避けたい私。
いちごや生クリーム、服もかわいいものが大好きないちご。
服装は、誰ともかぶらない、とにかく目立つものが好きな私。
ただ好きな人の趣味はわりと似ているのか、小学生のときにはよく好きな人がかぶり、喧嘩もしたっけ。だけど結局、いつもいっしょにいた。ストレートにしっかり言葉を伝えてくれる彼女といっしょにいたことで、普段内気な私も、言葉を外に出す勇気をもらった。そのおかげで私は、ずいぶん明るい性格になっていった。
ありがてえなあ。
そんな彼女は、今は結婚し地元を離れてしまった。車を飛ばせば会えない距離ではないけれど、気軽な近さでもない。だからこそ、毎年この時期には夏休みで実家の神奈川にもどってくるので、そこでいつも会っている。
ふと先日、彼女に連絡したら、じゃあ明日会おうよ!となった。
「いちごと会ってきてもいいかなあ」と言うと、
「いちごちゃん家ならじゃあ、泊ってくれば?」と夫が提案してくれた。
いちご一家は家族でフッ軽Family(フットワーク軽い系家族)なので、
「え。全然いいけどwwww」となり、速攻で、ドキドキ☆いちごの実家お泊り会!(母オンリー)が実現したのだった。
普段、子どもに振り回されて、自分の買い物もろくにできない私たち。
このふたりきりの時間では、お互いに好きなものを心行くまで堪能できる。
「これはおすすめ! めっちゃよかったよ」
「え、これかわいくない? どっちがいいかな」
「これ! めっちゃ、しいもっぽい!」
そんな、女子同士の買い物を楽しむのも、年に数回のお楽しみだ。
無事にスカートやお目当てのアクセサリーを手に入れ、我々はバルへと移動する。

いちごと地元で会う時に必ず行っている場所。カウンターの席に案内されたのは初だったかも。

いつも、いちごがイイ感じに盛れるアプリで撮影してくれるので、アプリとか上手に使えないしいも、大変助かる。
私たちの話題は、たいてい子どもや家族のこと。
かつてはそれが、好きな人や、ハマっている漫画やアニメのこと、興味が出てきた性にまつわる、あんなことやこんなこと……だった。
彼女とはなんでも話せて、多くの感情を共有してきた。
今や話題のメインは変わっても、彼女との会話は尽きないし楽しい。
そんな存在がいて、改めて、ありがてえなあ。と思う。
いろんなことがあったけれど、ここで話すとロングラン上映待ったなしなので、自重しておく。またの機会に。
いちごの実家に移動し、お風呂を共にしてから、二次会を開催。
「しいもちゃんが来るって聞いたから冷やしておいたわよ~」と、いちごママがシャンパンを冷やしておいてくれる。

普段私が山賊持ちするようなものとは格の違う、深い味がした。
チーズをむさぼりお酒を交わし、昔のあんなことやこんなこと……を、いちごママも交えて話す。
「5児は大きくなったの?」と聞かれ、私は家族写真を見せた。
「はあ。素敵。なんかもう……泣けちゃうねえ……これ、私に送って!」
いちごママは、LINEで送った私の家族写真を、孫を見るのと同じほどの温度で、ニコニコ見つめていた。
いちごママは、それも本当に偶然なのだが、私の父と元々知り合いでもあった。父のお葬式には、家族で来てくれたっけ……。だから、余計にかもしれない。
お客様用の、とても寝心地のいいお布団。誰にも蹴られずに、しんとした部屋でそっと眠りに落ちた。
翌朝は、早めに起きたけれどまだまだ眠く、ゴロゴロとしていた。いちごが先にリビングへと降りていったけど、そのまま、ゴロゴロ、ゴロゴロ。普段、布団でまどろんでいる隙もないものだから、すっかり自分の実家のようにくつろぐ。
昔は、私が先に起きて、勝手にリビングに行って、いちごおばあちゃんと朝ごはんを食べてたっけ。なんて思いながら。
朝の7時。
リビングにのんびりと降り立つと、昨日は眠っていて会えなかった、いちご家長女ちゃんと次女ちゃん、夫くんがお出迎えしてくれた。
「しいもちゃん!」
年に1回くらいしか会えないので、あまり覚えてはいないんだろうけれど。ちゃんと名前を呼んでくれるあたりが、女子だなあ。
そしてさっそく、いろんなものを見せてくれる。
「しいもちゃんのこと、描いたよ~」
「ママにもらった、ネイル~!」
「おうち作ったの。入ってもいいよ~!」
はあ。
レディたち、なんてお遊びがお上品なのかしら……!
そのあと一緒に見たYouTubeも、どこかの若いギャルYouTuberで、うちとは世界が違うなあ、なんて思って眺めていた。かわいいなあ。

小学生のいちごに、本当にそっくり。

ネイルしつつ器用に仕上げる次女ちゃん。
夫くんも当然、結婚前から紹介されて知っているので「ヤッホー」と軽いノリで再会。
昨夜いっしょに飲むはずが、寝かしつけから生還することができなかった彼は、うちの夫と雰囲気が似ている。ほんわかしていて、いちごいわく「他人に害を与えない系男子」。昔から男に苦労してきたいちごにとって、彼はベストだと、紹介してもらった当初から思ったっけ。
夫同士を会わせて「やっぱり……似ているわね……」と言いながら、ふたりを並べて写真を撮るのが私といちごの恒例行事でもある。次回はそちらも実現させたいところだ。
夫同士は同業者で息も合うのか、たまにしか会わないけど平和にお話をしてくれる。自分の愛する人と、親友の愛する人が楽しく話をしているのを見ると、なんだか心が癒されるのだ。
朝は、レディたちと遊びつつ、座っているだけで出てくるおいしいごはんをいただき。いちごと新聞のコラムのクロスワードをやる。お昼くらいには帰ろうかなあ~なんて言いながら、だらだら過ごす。
あれ。ここ、やっぱりアタシの実家?
「いちごちゃん、ほら、また数独あるよ」
いちごおばあちゃんがそう言って、いちごに今度は新聞の数独を渡す。
「やる! 私、先週から、数独できるようになったから!」
いちごはそう言って、一生懸命、私にも数独のルールを教えてくれる。なるほどねえ、なんて言いながら、ちっとも頭に入ってこない。
むずい。こういうのむり。
ぼーっと眺めている隣で、一生懸命いちごは、数独の問題にトライする。その横で夫くんが、タブレットとスマホ、計4台を使って、器用にゲームする。(オタクの極み)
私はレディたちとお遊びしながら、たまに「しいもちゃんこっちおいで」と言われて、おばあちゃんのところにいく。

「上手だねえ」と言って、私はいちごおばあちゃんの作品を収める。
いつまでも変わらないなあ。と思っていたいちごおばあちゃんも、腰を痛めてすっかり歩くことが少なくなったらしい。昔から、せわしなく、家の中を右往左往していたけれど、今はホームポジションから滅多に動けなくなったそうだ。
私は、自分のばあちゃんになかなか気軽に会えない分、いちごおばあちゃんにすっかり感情移入してしまう。
「おばあちゃん、体操教室がんばってね。また歩いて、歩いて。いつまでも、元気でいてよ」
私はいちごおばあちゃんの手を握って、そう言った。ありがとうねえ、と、いちごおばあちゃんは言い、あったかい手が、ぎゅう、と握り返す。
「ほら。しいもちゃんも、数独とかやんな。これあげるからね」
いちごおばあちゃんはそう言って、手土産に小雑誌を持たせてくれた。
数独をがんばるいちごの横で、ぽかんとしていたのが、きっとバレていたんだろう。

けっこうおもしろいけど、
ごめん、数独やってないよ。
1時間近くしっかり集中して、いちごが数独を解ききった頃。
私はいちご実家をあとにした。
「またおいでねえ。子育て、がんばるんだよ」
「うん。ありがとう。おばあちゃんも、歩いてよ~」
いちごおばあちゃんの背中を何度もさすって、私は言った。
「は~い、こっち見て~」
玄関で私と娘家族の写真をスマホにおさめて、いちごママは「ばっちり」と笑った。
「しいも、またいつでも、すぐに連絡して! 会おうね!」
いちごとその家族は、私が改札を通って、その姿が見えなくなるまでずっと、手を振っていた。
私の人生って。
総評するとどんな人生なんだろう。
もちろんそれは、自分にも、誰にも評価されないし、するべきものでもない。することに別に意味もない。
だけど私は、確信して宣言しておきたい。
彼女と、その家族に出会えたことが、私の人生において、とってもスペシャルで、素晴らしいことなんだと。
そして、なんというか……
同じ時を過ごせることは、きっと私たちの
運命だったと信じたい。
いちごは、どう思っているかな。
どうか私も、いちごにとっての、「綿100%」でありたい。そしてあわよくば、「いちご100%」にもなりたい。
彼女の誇るべき親友として、その自分のタグに恥じないオンナで、あり続けていきたい。
そう思っている。

米がついたのを、長女がとってくれてる。
そして足の指は短い。
よく見ると、長女の足の指の方が長い…

右がしいもです。
「まぢ」って、まぢで使用してたんだ。。。
時代。。。
P.S
素敵な時間を捻出してくれた夫。こどもたち。
さみしいけれど、ママを送り出してくれた長女ちゃん、ありがとう。
明日はまた、みんなで旅行。楽しもうね。
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