30分でBL書きました!#ラストキス
お世話になっているかし子さんの仲良しさんのなみさん。
はじめましての方なのに(コメント欄で遠くから見つめていた)いきなり企画に参加させていただくことに。
さて、30分で小説は書けるのか?
私はなんとか15秒残しで書き上げることが出来ました。もちろんガチンコ30分勝負なので誤字脱字もそのままですが、楽しんでいただけたらと思います。書く方はとても楽しかったです。BL自体10年ぶりくらいに書くので、薄目で楽しんでいただけたらと思います。
<お題>ラストキス
薄暗い部室の中、俺たちは息を止めて見つめ合っていた。
他の生徒はもう帰宅している。二人の心臓の音だけが響く中、時間が止まったようにお互いしか見えない。
ここは汗臭いサッカー部の部室。高校の授業は終わって、あさってからはテスト期間のため練習が出来るのは今日の後だと一週間後になる。
こいつ――真行寺幸也(しんぎょうじゆきや)と次に会うのも一週間後ということになるわけだ。
別に部室以外で会うことも、俺がもっと積極的にこいつと絡んでいけば可能だったのかもしれないのだが――ファースト・インプレッションがあまりにも悪すぎたためにサッカー以外では上手く付き合えない。だけど、どうにも気になる存在だった。悔しいけど。
俺たちはダブルボランチという、サッカーでは割と重要なポジションを担当している。幸也は左、俺は右を守り、俺はどちらかというと守備よりの後ろ側から中盤を――そして幸也は前よりの中盤からフォワードの背後当たりを動き回る感じでプレーしている。
サッカーはどうしてもフォワードが目立つ。もしくはキーパー。
俺たちのポジションは地味すぎて、小学生時分だとあまりやりたがるヤツはいなかったが、高校生にもなるとサッカーでの重要なポジションがどこなのかということくらいは、プレイヤー経験を積んで分かってくるようになる。
幸也は足が速く、前よりとはいえ時に守備に回ることもある。俺が県大会でとんでもないパスミスをしたあの時も――幸也がいつの間にか俺の前に回ってきてスライディングすることで、大ピンチを免れた。
場所的にもペナルティエリアのギリギリで、一歩間違えたら相手にPKを与えてしまうところだったが、間一髪でスローインに逃れた。あの華麗なプレイがなければ、俺たちはまさかの予選一回目で敗退という汚名を着ることになっていた。全てはアイツのプレイのおかげだ。
そんなことがあり、幸也には一目置いていたが、気に食わないのがそのプレーを切っ掛けにアイツが女子にモテだしたことだ。
誰かが撮影していたプレーの切り抜き動画がプチバズし、よその学校の女子も幸也目当てにサッカー部を見学に来るようになってしまった。一部の浮ついた野郎どもが喜んでいたが、女子達が皆幸也にしか興味を持たないのを見て次第に冷ややかな目で見るようになっていった。
幸也はとにかく背が高く、フィジカルが強い。筋肉質でおそらく体重もそこそこあるはずなのに、脚力が早くてスピードダッシュでは誰にも負けない。
俺はサッカーを生活の糧にする気など到底無かったが、幸也ならどこかのプロチームから声がかかってもおかしくないと思うようになったのは、その年の県大会で優勝しMVPに幸也が選ばれたからだ。
気に食わないと思いつつも幸也の言動から目が離せない俺は、彼の突出した才能を気に食わない先輩達の地味な嫌がらせから、彼をかばうようになった。気付けば誰よりも早く部室に行き、良く無さそうな芽(例えば幸也の練習着が隠されていたりだとか、スパイクにいたずらされてないかだとか)を先陣を切って潰すように気をつけていた。
なんだかんだ言って俺はアイツの才能に惚れ込んでいたのかもしれない。
普段のプレイでもさりげなくカバーしてくれたり、居てほしいところにいてくれたりするポジショニングの良さがアイツの良いところだが、他の選手達はそんな彼の気遣いに気付いていないのだ。
なんだかもったいないなあと思う。
部室の隅に幸也のスパイクが隠されているのを見つけた俺は、黙ってそれを拾い上げる。汚されているだけの時がほとんどだが、たまに画鋲のようなものが入っていたりするからたちが悪い。ゴミ箱の上でスパイクを振って危険なものが無いかを確認して、手を靴の中に突っ込む。
念入りに確認した後はぼろ布でスパイクを磨いて完了だ。
「おい、なにしてるんだ」
急に部室の扉が開いて、幸也が入ってきた。中には俺だけしかいない。俺の手には彼のスパイクが……
もしかしたらこれは誤解される可能性があるんじゃ……
遅ればせながらそのことに気付いた俺は言い訳をしよう、いや状況説明をしようと思って彼に向かい合い口を開こうとした、その瞬間
両腕を捕まれて壁に押しつけられた。
185センチある幸也より15センチも低い身長の俺は、小動物のように押さえ込まれてしまった。
「何をしていたと聞いているんだ」
鋭い目で見られて、俺は黙り込む。何か言うと嘘くさくなりそうだ……と思っていると手元のスパイクに幸也の視線が動いた。
「もしかして、磨いてくれてた?」
「あ、ああ」
俺が頷くと、彼は意外そうな顔をした。
「いつも俺の靴磨いてくれてたの?」
「あ、ほら、いたずらされてないかなーとか」
「見てくれてたの?」
肯定の意味を込めて何度も頷く。と、幸也の表情がふっと緩んだ。
「そんなとこまで献身的なのかよ」
「え?」
幸也の――心なしか嬉しそうな顔が俺に近づく。あ、いや、なんだ。
何をする気だ?
幸也の顔は女どもから騒がれる程度には整っている。いや、まあどう控えめに言ってもかなりのイケメンだ。イケ散らかしている。
端正な瞳で俺の顔をじっと見つめては、その顔の表情が見えなくなるくらい彼が近づいてくる。
これ以上近くに来ると、なんかヤバい気がするぞ。
「おい、何をする気だ」
俺が全てを言い終わる前に、幸也の唇が近づいてきた。そしてゆっくりと重なる。
息を止めて耐えていた俺は、苦しくて口を開く。その口の間にぬめりとした舌が割り込んでくる。
口づけはどんどん深くなり、部室の中は俺たちの呼吸音だけが響いていた。
「俺、ずっとおまえとサッカーしたい」
幸也が赤らんだ目元で俺を見つめながら言う。
俺は何も言えずに、彼に身体を預けながらゆっくりと頷いていた。
<END>
とりあえずキスはさせましたってことで!
後ほど他の方も回遊させていただこうと思います。楽しかったです~
