逆転

眩い光を浴びながら、中央に立つ男が両腕を交差させる。鈍く澄んだ金属音が響いたあと、腕を伸ばして拳を合わせた。
地鳴りのように広がる歓声の中で、踊るようにステップを踏んでいく。
後ろに飛んで距離を取ろうとしたが、体ごとぶつかるように飛び込んでくる。
頭が目の前に迫っていた。短く刈られた金髪の髪が揺れている。
鈍い痛みが、腹を穿つ。腰が曲がり、くの字になる。視線がマットに近づいた瞬間、顔面を拳に撃ち抜かれていた。
景色がぐにゃりと揺らいだあと、尻からマットに崩れ落ちた。ゆっくりと仰向けに倒れていく。
明滅する光が揺れる景色と混ざり合う。背中がざらついている。
耳鳴りの中で、カウントだけが聴こえていた。
聞き慣れた怒鳴り声が耳に突き刺さる。
肘を立てて、拳をマットに叩きつける。頭を振って体を起こしていく。赤い斑点を白に描いた。
鼻から滴る赤い筋が唇を辿っていた。鉄の味を噛み締めてから、拳で拭う。
耳鳴りがおさまり、歓声が戻ってきた。
震える脚を叩いて、拳を胸の前に構えた。
カウントを数えていた男が離れる。
金髪の男が突進し、真っ直ぐに拳を振り抜いた。汗が飛び散り、反射しながら分散する。
頭を右に傾けていた。鋭い熱が頬に赤い線を刻んでいく。
右拳に被せるように腕を這わす。
拳に衝撃が走り、金髪の頭が後ろに弾けて戻ってくる。
右の拳を握りしめて、顎を撃ち抜いた。
ゆっくりと前のめりに倒れる金髪が、波を描いていた。弾んだ体から透明な飛沫が散った。
拳を胸に構えたまま、汗ばんだ背中が上下に揺れる。乱れた息を深く吸い込んでいく。
───鈍く澄んだ金属音に合わせるように、拳を突き上げていた。
