ぼくはもう学生じゃない

 ぼくはもう学生じゃない。大学を卒業して4月から会社員をやっているのだからそれは当たり前すぎるほど当たり前の話なのだが、そういう客観的事実的なことじゃなくて、「ぼくはもう学生じゃないんだなあ」と実感する場面が溜まってきたので、せっかくだからそれをnoteにぶちまけちゃおうっていうのが今回の試みです。すばらしい企画ですね!(はあ?)

 社会人になってから1か月ちょっと。ぼくが「ぼくはもう学生じゃないんだなあ」と感じる場面はいくつもある。


一、もう学割が効かない

 ぼくには大学2年の時から交際している彼女がいる。首都圏の大学の放送サークルの懇親会で知り合った。ゲイなのに彼女がいるっておかしいだろ、しかも2年10か月も付き合っているっておかしいだろと思われるだろうが、それをいちばんおかしいと思っているのはぼく本人なのでご安心ください(?)。

 さて、ぼくと彼女は休日にお出かけするとき(それを世間ではデートと呼ぶらしい)、美術館だとか映画館だとかによく行く。3月までのぼくらは大学生同士だったので、美術館や博物館には学生料金で入れた。映画も学生料金で観れた。ところがである。4月からどちらも社会人になったことで、ぼくらは美術館だとか博物館だとか映画館には「一般」の料金を払わないといけなくなった。もう学割は効かないのである!

 そんなの当たり前すぎるほど当たり前の話だし、入館時に受付にいちいち学生証を提示しないでいいのは楽といえば楽なのだが、いかんせん経済的ダメージは大きい。例えばぼくらは4月になってからの初めてのデートで横浜美術館の『おかえり、ヨコハマ』という展覧会へ行ったのだが、観覧料として1人1,800円を支払わないといけなかった。まあ、『おかえり、ヨコハマ』の観覧料は学生でも1,500円するんだけどさ……。映画館だって一般料金は2,000円だし、なんていうか、日本の大人って大変ですね。

 ただですな。ちょっと考えてもらえれば分かると思うけど、学生が社会人になったからっていきなり財布に余裕ができるはずはない。世間では初任給が大幅アップしたという話もあるが、あんなのは一部の企業の話にすぎず、ぼくはいかにも新入社員らしい薄給でやらせてもらっています。そういう人間としては、美術館や映画館の窓口で料金を支払う時に「ぼくはもう学生じゃないんだなあ」と実感するというわけだ。


一、もう彼女がパンをくれない

 彼女つながりの話でいうと、ぼくの彼女は学生時代に横浜のパン屋さんでアルバイトしていた。その話は「ぼくの彼女はパンをくれる」という記事に書いた(懐かしすぎる)。デートの時、彼女はしょっちゅう売れ残りのパンを持ってきてくれた。万年金欠学生にとってこれは非常にありがたいフードバンクである。ぼくがゲイなのに彼女と別れなかったのはこのパン無料提供サービスがあったからだと言っても過言ではない(嘘です)。

 しかし。彼女も大学を卒業してこの春から社会人になったことで、すなわち彼女がパン屋さんでのバイトをやめてしまったことで、ぼくはもう彼女から売れ残りのパンを恵んでもらえなくなった。……まあ、普通に買いに行けよって話なんですけどね。実際この前、デートの帰りにお店に連れて行かれたので購入しましたし。ただまあ、もはや彼女から売れ残りのパンが渡されることはないという事実! 彼女のかばんの中から売れ残りのパンが出てくることはないという事実! この事実を噛みしめる時、ぼくは「ぼくはもう学生じゃないんだなあ」と実感するのである。


一、もう学生のノリについていけない

 ぼくは大学3年の時からインカレの放送サークルをやっている。社会人を含むサークルなので「インカレ」どころか「イン社学」サークル(?)になってしまっているのだが、まあ、要は、大学の放送研究会を通じて知り合った仲良しグループみたいな感じです。

 先月(4月)中旬、この放送サークルの定例会があった。「定例会」とは名ばかりで実際にはただのお花見、「お花見」とは名ばかりで実際にはただの公園飲みである。3月末の追いコンで会ったばかりのメンツなのに、顔を見た瞬間にものすごく懐かしく感じた。まるで前世での知り合いに再会したような……って言ったらさすがに大げさだけど、でも、「昔の知り合い」に会ったような感覚に一瞬なってしまった。

 まあ、話しているうちにそんな感覚はなくなって、いつもと変わらない感覚になったんですけどね。ただ、阿久澤(3年男子)と井上公輝(3年男子)が「学食のメニューが値上がりした」「うちの大学にはがっかりだ」「値段を上げるならせめて味を向上しろ」と話しているのを聞いた時、ぼくはまた変な感覚になってしまった。もはやぼくはこの話題には場違いな人間であると感じたからだ。

 そうか。もうぼくは「うちの大学がさあ」とか「学食がさあ」などと現在進行形で語れる人間じゃないんだ。やはりこれも当たり前すぎるほど当たり前の話だし、別にそれが切ないとか悲しいってわけでもないのだが、でも、もはやぼくは阿久澤と井上がナチュラルに醸し出す「学生のノリ」についていけない。ついていったとしても浮いてしまう。そのことをサークルの公園飲みの場で悟らされて、ぼくは「ぼくはもう学生じゃないんだなあ」と実感したというわけだ。


一、もうお酒を飲まないとやってられない

 ぼくには高校生の時から「下校時に自動販売機でドリンクを買う」という習慣がある。いや、必ずしも毎日ってわけじゃないですけどね。電車に乗って自宅の最寄駅に着いて、駅から自宅までの途中にある自販機で缶飲料を買って飲む。それがぼくの2~3日に一度のルーティンだった。

 高校生の時も大学生の時も、ぼくが決まって飲むのはジュース類だった。高校1年の一時期には果肉入りジュースにハマったなあ。いや、あれは果肉じゃなくて果肉的な何かにすぎなかったのかもしれないけど……。大学生になってからはコンビニでミルクコーヒーを買うこともありましたね。ただ、普通のコーヒーはダメ。別に「飲めない」わけじゃないけど、ぼくの舌はコーヒーにしっくりこないおこちゃまなのです。

 社会人になってからのぼくは、会社帰り、JR蒲田駅前のセブン-イレブンで「アサヒ スーパードライ」350mlを買ってしまう。1缶だけだけど。身体はそこまで疲れていないはずなのに、「飲まなきゃやってられない」みたいな感覚になって買ってしまうのだ。うちの部署は上司や先輩がほとんど飲みに誘ってこないし、同期の小菅もソバーキュリアスを気取って普段は禁酒しているからな。小菅と帰りにご飯を食べることはあるけど、その時はぼくも相手に合わせて飲まないようにしているから、平日のぼくは基本的には一人で酒を食らうしかないのです。

 ただ、こんなことを毎日やっているのは身体にもお財布にもよくない気がするので、先々週ぐらいからは買わないようにしている。ぼくの父親(ぼくが15歳の時に家を出ていった男性)が一人でお酒を飲むと性格が微妙に変わるひとだったので、ぼくも一人で飲んだらヤバくなる種族なんじゃないかという気がするし。それで自制心が働いてるっていうのもある。

 その代わりにと言ってはなんだけど、この前、「カルピスソーダ グレープ」というやつ(昔発売されたやつの復刻版らしい)が自販機で売っていたので買った。これが思っていた以上に美味しい。ついでに言うと「いちごオレ&カルピス」も美味しい。というわけで、ぼくは平日夜はだいたい飲カルしてます。社会人になってなんでビールからジュースに戻ってるんだよって笑われそうだが、まあ、この1か月間の飲酒遍歴を振り返る時、ぼくは「ぼくはもう学生じゃないんだなあ」と感じるのである。


一、もう長文のnoteを書けない

 社会人になってからのぼくは長文のnoteを書くのが億劫だ。いや、もうここまでで十分に長文じゃねえかとツッコまれそうですがね、いつものぼくのnoteはもっともっと話が長いことで有名でして(どこの誰に?)。いまのぼくには長文のnoteを書く体力がない。いや、気力がないのかな。気力も体力もないということか。

 実際、いざnoteを書き始めたら長文になってしまうことが自分でも分かっているから、この2~3週間、ぼくはそもそもnoteを書く気にならなかった。頭の中では「あんなこと書きたいな」とか「こんなこと書こうかな」というのが浮かんではいるんですけどね。例えば……って、それは今後のお楽しみとさせていただきますね。うん。そう考えると、やっぱりいまのぼくに欠けているのは気力でなく体力なのかもしれない。

 どうしていまのぼくは「長文のnoteを書く気にならない=noteを書く気にならない」のか。どうやらそこには体力不足が関係しているようだけど、本当のところはよく分からない。うーん。なんでなんだろうなあ。そこら辺をしっかり分析して、『なぜ働いているとnoteを書けなくなるのか』という新書でも出そうかしら。売れる気配がまったくしませんけど。そもそもの話、3,712文字を書き連ねておいて「長文を書けない」もクソもないだろうけどさ(言葉遣いが汚くて失敬)。


 ぼくはもう学生じゃない。それは当たり前すぎるほど当たり前の話だし、別にそれが切ないとか悲しいとかいう話でもない。ただ、「自分がもう学生じゃない」という状態にまだ慣れていないなあとは感じる。仕事自体には慣れてきても、まだ自分自身の立場はふわふわしているっていうか。うん。いまのぼくは「社会人になったばかりの元学生です」というのが正確な状態のような気がする。

 ただまあ、ぼくがぼくであることは子どもの頃からずっと変わりない。そしてなんだかんだできっとこれからも変わらない。自分の状態がどうとか立場がどうとかいうのは後付けの話だ。自分の本質とは何か、自分を自分たらしめるものとは何なのか……とかいう話を始めたらまた長文になるのでやめます。なんだ、やっぱりぼくはまだまだ長文書けるんじゃん、やっぱりこいつは相変わらず話が長えな、ということがはっきりしたところで今日のところはお開き。でもまだちょっと寝るには早いから、マンションの1階の自販機で「いちごオレ&カルピス」買ってくるかあ。

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