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腹を割るということ

住宅ローン問題支援ネット の高橋愛子です。

最近、喜多川泰さんのデビュー作『賢者の書』を読みました。喜多川泰さんの作品は、自己啓発の要素が小説の中に自然に織り込まれていて、とても読みやすいのが魅力です。
私は『運転者』という作品でこの方を知ったのですが、あまりにも素晴らしいお話ですっかり喜多川ワールドに引き込まれ、それ以来ほかの作品も少しずつ読むようになりました。

身の潔白や覚悟を示す「腹」

『賢者の書』の中に、「腹」について書かれた場面があります。
かつての日本では、「腹」は心の拠り所であり、その人の本心や覚悟が宿る場所だと考えられていたそうです。語源としては諸説あるようですが、考えてみると、「腹をくくる」「腹を立てる」「腹黒い」など、良かれ悪しかれ人が生きていくなかで使う表現に「腹」はかなり登場頻度が高く、重要な位置も占めている。武士が切腹をするのも、自らの腹を切ることで「自分には後ろ暗いものは何もない」「切っても腹から黒いものは出てこない」と、身の潔白や覚悟を示すための意味が込められていたのだそうです。それだけ、「腹」は昔から人の感情や本心を表すために使われてきたのでしょうね。

突然、「腹を割ってお話しします」と

先日、ある方からのご紹介で、不動産を売却したいというお客様にお会いしました。いつものように対面で丁寧にお話をうかがっていたのですが、なぜか、どうもその方が不動産を売却したい理由が腑に落ちないのです(これも「腹」に通じますね)。お話を聞きながら、私の頭には「本当に売却しなければならないのだろうか」「売却しないほうがよいのではないか?」という感覚のほうが強くなっていきました。
たぶん、私のそんな様子が伝わったのでしょう。話し終えて少しの間沈黙していたお客様が、突然、「腹を割ってお話しします」と、ご自身の本当のお気持ちや事情を打ち明けてくださいました。
それにより、それまでうかがってきたお話がすべてつながり、お客様が売却を決断されたい理由がよくわかりました。私自身、すっと腹落ちしたのです。

この人になら本音で相談しても大丈夫か

紹介とはいえ、初対面です。最初は私のことを信用できなかったり、本当に本音で話していい人なのだろうか、という迷いもあったと思います。それは当然ですよね。不動産売却のような人生における非常に大きな決断について、会ってすぐの相手に丸ごと委ねるのは、どんな人でも、なかなかできることではありません。
それと同様に、私のほうもそれくらい大きな決断だからこそ、表面的なお話を聞くだけではその方にとって本当に最善と思えるご提案をすることはできません。
お客様に腹を割って話していただくこと。そのために、「この人になら、本音で相談しても大丈夫」と思っていただくこと。それが、不動産の仕事において、何よりも大切なことなのではないかと改めて感じました。

特に大事にしている3つのこと

では、「この人になら腹を割って話せる」と思っていただくためには、何が必要なのでしょうか。たとえば、

・相手の話を最後まで遮らずに聞くこと。
・否定せず、まずは受け止めること。
・秘密を守り、安心して話せる環境をつくること。
・自分の目先の損得ではなく、その方にとって何が一番良いのかを考えること。
・「売却しない」という選択肢も含めて提案すること。
・専門知識を分かりやすく伝え、納得したうえで判断していただくこと。
・小さな約束を守り、誠実な対応を積み重ねていくこと。

――どれも大切なことですが、私は上記に加え、特にこの3つを大切にしながら、日々仕事をしています。

・「この人は自分の味方だ」と感じていただくこと。
・目先の利益ではなく、長いお付き合いを大切にすること。
・人としての温かさや共感を忘れないこと。

不動産業はその人の暮らしや人生に深く関わる仕事

知識や経験があるだけの相手では、人が腹を割って話してくれることは、そうそうありません。
「この人は自分の味方だ」
「否定されない」
「きちんと受け止めてもらえる」

そう感じてもらえる信頼関係があってこそ初めて、本当の気持ちや事情を話していただけるのだと思います。不動産は高額であり、不動産業は、その方の暮らしや人生に深く関わらせていただく仕事です。だからこそ、知識や経験はもちろん大切ですが、それにも増してベースになるのは「信頼」です。
私はこれからも、お客様が安心して腹を割って話せる存在でありたい。そんなことを改めて考えた一日でした。

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