イランを強権体制にしたのはアメリカ/理不尽な先制攻撃を、いち早く支持した日本
アメリカとイスラエルがイランを先制攻撃した。核をめぐる話し合いが進んでいたにもかかわらず。おそらく、トランプはエプスタイン疑惑を隠したいのだろう。合意ができでしまったら攻撃する理由がなくなる。
イスラエルも一緒だ。イスラエルはずっとイラン攻撃の機会を狙っていた。今や、イスラエルによるパレスチナ占領を正面から批判する国は、イランだけになった。だから何としても排除したいのである。
そんなアメリカに対して、日本はいち早く支持を表明した。トランプの隣で舌出しジャンプをしてしまった以上、支持する以外に選択肢はないだろう。この先の訪米と首脳会談を成功させなければ、権力基盤も危ないし。
しかし、この先制攻撃を容認したことで、日本政府が反撃能力と言いながら、実は先制攻撃に前向きであることもはっきりした。どこまでもアメリカについていくポチであることも、改めて世界に示した。中東の親日感情も消えるだろう。
そもそも、イランが強権体制になったのはアメリカのせいなのだ。これを知らずに「イラン・ファシズム体制の崩壊」「イラン解放の日」などと言っている日本人がいて驚く。
50年代初め、近代化と民主化、及びイギリスに奪われていた石油事業の国営化を目指していたモサデック政権を、アメリカはCIAを使って倒し、首相を処刑した。
そして、傀儡政権を立てて親米国家に作り変え、石油利権を確保したのである。その腐敗したパーラヴィ王朝への反感から、イスラム革命が起きた。
イランの若者にとってそれは生まれる前の話だし、現体制は抑圧でしかないから、アメリカに過剰な期待を持っているのではないか。かつての日本のように。
だが、これでまたイランは傀儡政権になる。アイデンティティを失った挙句、真の民主化から程遠い日本のような社会になるのでは。近代化も民主化も、その国民の歴史や文化を踏まえなければ成立しない。
そもそもアメリカは、異なる文明を尊重することができない国だ。ペルシャの美しい美術も知らないだろう。歴史都市イスファハンも爆撃したという。
難しいのでなかなか進まないが、私は日本とイランの近代史を比較する本を書こうとしている。日本人は韓国や中国とばかり比較しするが、イランとトルコとの比較も重要だ。
同じ頃に西洋近代と出会い、格闘しながら近代化の道を歩んできた仲間である。それは困難な道のりで、結果として今、イランもトルコも強権体制になっている。日本もそうなりつつある。
理由の一つは、民主主義の形は様々なのに、アングロサクソンの生み出した近代産業社会を土台にしなければならないからだ。そして、その土台に乗ったとたん不利になる。
先住民族、イスラム文化圏、アフリカは特に不利だ。上昇志向の強い儒教文化圏は適応するが、韓国中国に比べて儒教の影響が少ない日本は不利である。非英語圏の民主主義はどうあるべきなのか。
本来、日本にはそれを示す可能性があった。しかし特に90年代のグローバル化以降、自分を見失って社会の全面的アメリカ化に邁進している。近代日本にあって、この困難な問題に取り組んできた思想家たちの存在も忘れられつつある。
日本には日本の、イランにはイランの民主主義があるはずだ。かつて、日本とイラン両国のナショナリズムが交差した瞬間があった。日章丸事件である。日本とイランの友好関係はここで始まった。
そしてイランは日本に石油を提供し続け、ホメイニ革命によってイスラム原理主義国家になっても、このプロジェクトは維持された。経済制裁に同調するようアメリカに強要されるまで、イランは日本にとって石油の安定した供給源だった。
私はこれを日本人に知ってもらいたい。そして中東と日本との関係について考えたいのである。私あたりが本を書いても誰も読まないかも知れないし、そもそもいつ完成するかもわからない。
ぐずぐずしているうちに、こういうことになってしまった。でも、だからこそ、私も渾身の力をを振り絞ってこのテーマに取り組もうと思っている。
※ 画像は、石油の国有化を訴えて民衆に囲まれるモサデック首相
追記
Xが地獄の様相を呈している。イランとアメリカとの関係は、ちょっと調べればわかるし、何ならWikiを読むだけでわかるのに。ショート動画しか見ないから全く何もわからないまま。

※ 画像は、石油の国有化を訴えて民衆に囲まれるモサデック首相
