変人式 ②
海が隔てる二つの陸地の住人たちは、お互いを変な人たちだと思っていました。しかも口に出す出さないは別としてそれぞれ自分たちの方が上だと信じていました。
ある日、太郎が老いた親にたずねました。「変人たちとはボクら方で、彼らの宝を奪ってしかも向こうらのやり方をマネしているって本当?」親たちは顔色を変えました。
「誰がそんなことを」
「誰だっていいじゃん。変人というのは嘘偽りで、本当は美しくて賢い人たちなんでしょ。行ってみたいなあ、絶海の楽園」
こらこら、めったな事を言うでない。叱り飛ばしたものの、変人式桃源郷に憧れる若者たちは雨後の筍のごとく現れるのでした。
「いい加減にしなさい、あんな野蛮な者どものやり方に憧れるなど」
親たちはわが子を閉じ込めて家から出すまいとします。
「助けてくれえ、本物の父さん母さん」
太郎の母はつぶやきます。
「最初からおかしいと思っていましたよ、果物が次々と漂着したり地下茎が海底を這って伸びてきたり」
410字
「わしらも渡来してずいぶんになるが、すっかりこっちに馴染んでしまったものなあ」
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