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nice_minnow176
文学茶釜
「何ですのこれは?」
赤い角縁メガネにショートカットの小柄なオバサマが棚から持ち出した本を手に番頭さんに詰め寄る。
「こちら、文学茶釜ということでお茶をいただきながら書籍も楽しむこともできると、それは期待しておりましたのよ、それなのに」
オバサマが怒り心頭で指差すページのあちこちに赤ペンで書き込みがしてある。ペロリと舐めた指の腹でめくられた痕がある。お茶菓子のカケラが挟まっている。
「それに茶釜から出た湯気で本が全体的に撓んでいますわ、ながら読みをしてかつ自分のもののように書き込みまでするなんて」
いつも読むだけ長時間ご利用いただきかたじけないです。どれどれ、と番頭さんは手にとり、うるさい。ワシは見本じゃ。金払ってから言わんか、バ〇アの部分にぎっちりとラインマーカーが引かれているのを
「こちらでしょうかな?」と示す。オバサマが出ていくと番頭さんは本に化けたタヌキに「有難山」と言った。
400字
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