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恋花粉症@血の濃い古墳
この季節になると父上も母上も涙をこぼして嘆くのだ。わが子の出来の悪さにかって? むろんそれも無いとは言うまい。ハンカチで顔を覆う二人を目にするのが辛くなり花粉のせいだと思い込むことにした。さもないと立つ背ないし、そう思えば楽になると早いうちに気づいた自分は大したものだ。どっこい事実だった。両親とも花粉症体質なのだった。兄も姉も受け継いでいた。すると別の懸念が発生する。生まれてこの方一条の涙どころか鼻水さえ垂らしたことのない自分は果たしてあの両親の実の子なのだろうか? 進学や就職の手続きのために生まれて初めて戸籍謄本を見たら「養女」とあり愕然とするのはジュブナイル小説の定番だ。そして密かに思いを寄せるあの兄は本当は血のつながりのない異性だったのだろうか? ある夕べのこと、兄が父上に向かい私を指差して宣うた。
「あの者をわが妹とします」
「お前は変わり者だな。埴輪なんぞがいいとは」
花粉は古墳の中にまで浸透していた。
410字
