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髭は恋をする。②
髭は恋をする〇か✖️か。
ノートには謎のフレーズが残されていた。私は落胆した。自分の出生の秘密が記されていると思ったのに。
両親が事故で他界した。
「何かあったらこれを見て」と渡されたノートには他にもいくつかの走り書きがあった。断捨離の苦手な母の部屋には古いビデオデッキやVHSが大量に残っている。『髭』と書かれたいわくありげなテープを見つけたときはヤッタ!と叫んだ。
再生すると若い頃の父と母だ。街角で母の方から声をかけて、父に何か手渡している。父がそれを顔に押しつける。母がその物体をあけると中から何かが検出されて父は首をかしげる。何だろうこのやりとりは? そうだ、恋人のタカシに相談してみるか。そこで私はある事実に気づいて愕然とした。
若い頃の父とタカシが瓜二つなのだ!
「どうして?」
さらに別のテープ『クローン』も再生してみる(この言葉もノートにあった)。シャーレの培養物を顕微鏡で観察する父。
もしかして! 恐ろしい考えが閃く。タカシは父の髭から作られている? つまり私たちは兄妹だったのか?
さらに母が昔勤めていた髭剃りメーカーの『キャッチセールス』の資料も見つかった。それによるとあたかも客に剃り残しの髭があったかのように予め髭を髭剃りに仕込んでおくらしい。営業担当が女性の場合自らの髪を細かく刻んで入れるのだとか。
そのときはまだ自分が母のクローンだとは思いも寄らなかった。
590字
父は母と結婚した後もキャッチセールスの結果に疑問を持ち、独自にDNA鑑定をしていた。その副産物として私とタカシが誕生した?
思い過ごしでしょうか? 娘は母に似る。父に似た男性を好きになる。よくある話ですよね。
フィクションです。
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