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dongmu
月夜の寝ぐせ✖️武器屋の餌付け
授業参観から戻ると妻はまだ寝ていた。黒い遮光カーテンには満月のアップリケが縫いつけられ室内はいつも月夜だ。夫の気配に目を覚まし寝ぐせの髪をかきあげながら、
「どうだった?」ときいてくる。
「一人ずつ作文を読んでいた。ちゃんとできていたよ」体裁よく直しておいたからねと妻が微笑む。夫はさっきの作文を反芻する。
『ボクの両親 男の武器はお金と権力でしょうか。女の武器は美貌と涙でしょうか。ボクは違うと思います。お父さんは、お母さんに胃袋を捕まえられたそうです。でも男女は平等なので家事は公平に分担しています』
そんな内容だった。『最後の決め手になったあの子』の知らない経緯がある。近衛兵の矢が尽きぬよう翁の屋敷にややおくれて駆けつけた彼が目にしたのは既に萎えて動けなくなった現場の面々だった。まだ動ける彼を発見した彼女は素早く衣装を侍女に押し付けると彼の衣の鳩尾のあたりにつかみかかった。
「早く! こっちだ!」そのまま二人で夜に紛れて逃げたのだ。
「昼ごはんいつもの月見蕎麦でいい?」妻はのろのろと立ちあがる。
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