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雨乞い難民 ①

 メグミが地域で唯一のスーパーの衣料品売り場で店番していると見慣れない客が声をかけてきた。来店するのは村人ばかりなので余所者は目立った。彼が目立った理由はそれ以外にもあった。既視感だ。以前から知っていたような。「こりゃ珍しい物だな」
客が指差す先には高齢者が手にする杖状の物があった。三角に折りたたまれた生地が幾重にも巻きつけられ細いベルトでとめられ小さなボタンがループにかかっている。
「滅多に売れません。夏場になると気怠く感傷的な映画音楽が流れます。貧しくて野心的な青年が富裕層の友人を手にかけてその男になりすますというストーリーです。私たちはそれを合図に「杖」を倉庫から出して並べるのです」「一本ください」
「ありがとうございます」紫外線の心配はなさそうなのに。
「これが本来の用途だよ」男が飛ばした下駄の鼻緒を下向けに落としティッシュをおひねりにして紐をつけてぶら下げると不思議なことが起きた。空から水滴が落下しだしたのだ。

410字

「お父さん?」
メグミの記憶が蘇った。父は幼い頃に雨男狩りに遭い外国に亡命したと教えられていたのだ。
「これからはドレスに茶髪につけまつげの演歌歌手の持ち歌が合図だぞ」


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