【将棋】なぜ「観る将」が増えたのか?
本日も将棋の話題を・・・。
「観る将」という言葉が、昨年の流行語大賞のトップ10に食い込んで、一気に一般的な認知が広がりました。
「観る将」とは、将棋の対局を「観る」ことをメインとしている将棋ファンのことを指します。
「観る将」から派生して、「指す将」という実際に将棋の対局が好きな方を指す言葉も作られました。
ただ、これは考えてみれば変な話で、元来将棋ファンと言えば、自分たちが指して当たり前だったわけで、その人たちにわざわざ「指す将」などという名前を付ける必要はないはずです。
これはすなわち、新しい将棋ファンの形=「観る将」が、ここ最近に登場してきたという事実の裏返しを意味するものと思います。
ではなぜ「観る将」なる人たちが誕生してきたのでしょうか。
その理由の一つとして、プロの将棋の対局をリアルタイムで鑑賞できるようになったことが指摘されています。
発端はニコニコ動画での対局放送で、お馴染みの「弾幕」コメントを楽しみながら、将棋の対局を最初から最後まで、しかもプロの解説付きで見ることができるようになりました。
これは非常に画期的なことで、それまでプロの将棋を「鑑賞」するためには、TVでの将棋番組を除けば、新聞や「週刊将棋」「将棋世界」などの将棋媒体などをチェックせねばなりませんでした。
「将棋」の対局を、お茶の間に居ながらリアルタイムで中継してもらえるという、とんでもない時代に突入したわけです。
今ではニコニコではほとんど放送しなくなりましたが、代わりにAmebaTVや、各棋戦の主催者のYouTubeなどで、主だったタイトル戦はほぼ全て一局丸々鑑賞することができます。
対局を観ることのできる環境が整ったことが「観る将」誕生に大きく寄与したのです。
加えて、AI技術が進化して、プロ棋士がコンピューターに敵わなくなり、AIが人間同士の対局を「評価」する仕組みが導入されるようになりました。
それまでは棋力の高い人でも、プロの対局を観ていて優劣が全く分からないということはありました。ところが今では、AI先生が「評価値」という形で、数字で盤面の状況を明示してしまいます。
「先手番に評価値99%、後手番に評価値1%」とAIが数値化することで、観る人たちが勝負の推移を簡単に理解できるようになったのです。
「評価値」という観るための指針ができたこと、これが「観る将」増加の二つ目の理由だと思われます。
そしてもう一つ、「見る将」が定着した最大の理由は藤井聡太さんの登場です。将棋界の枠を軽々と飛び越えるスター到来は羽生さん以来であり、藤井さんを知らない日本人はもはやいない状況です。
将棋に全く興味を持っていなかった人たちを、若き天才藤井聡太が将棋界に引っ張り込み、彼ら彼女らは藤井君を応援するということで、「観る将」になっていったのです。
例えば僕は野球にはほとんど興味がありませんが、大谷翔平選手の成績だけは気になってしまい、彼のホームラン動画は必ずチェックしてしまいます。
門外漢の人間を魅了するほどのヒーローの登場は、その世界を大きく広げるものです。その意味で、大変地味な世界と思われていた将棋界にとって、藤井さんという才能が現れたことは画期的であり、その存在には心から感謝せねばなりません。
ここまでをまとめますと、「観る将」という流行語を生みだすに至った理由は、
①将棋の対局をリアルタイムで観ることができるようになった
②「評価値」によって、将棋の対局の局面が数値化されるようになった
③藤井聡太という将棋界の枠を超えたスターが登場した
というところかと思います。
僕はこの将棋ブーム到来の少し前に熱狂的な将棋ファンとなりました。その時はまだ藤井君が将棋を始めたかどうかのあたりではないかと思います。
動画中継の発展、AIの進化、スターの登場という、将棋界の大きな変革をリアルタイムで目の当たりにできたことは、大変に運が良かったと感じています。
そして、この将棋ブームは末永く続くことを願って、今日も将棋の話題を熱心に書き進めるのでありました。
