「迷った時には変化を選べ」は本当か?
とある経営者の方が、若い従業員からの質問に答える形で、以下のような回答をしていました。
質問:意思決定で迷ったときはどのように考えるか
回答:情報が少なくて判断できない場合は、足りない情報を得る。本当にわからない場合には、迷ったら変化する方を選択する。
この回答の前半は誰もが頷けるように思いますが、問題なのは後半です。
「迷った時には変化を選ぶ」という発言は、この経営者の方の専売特許ではなく、ビジネス論などでしばしば見かけるものです。
ビジネスでは、変わりゆく世の中を見定めて、その変化についていくことが求められるので、こういった言説は正しいように聞こえます。
ただ、僕はどうしても「変化」至上主義が、ストンと心に落ちないのです。
なぜなら、変化せずに頑固に原理原則を貫き通すことが大事な場面だってあると思うからです。
置かれた状況によって、変化しなくてはならない時、変化をしてはならない時の両方があるのではないでしょうか。
なのに、画一的に迷ったら変化する方を選べというのは、僕にはある種の思考停止に見えます。
変化するのかしないのかは、その都度自分の頭で考えて結論を出さねばならいません。迷っている時間が勿体ないとか言い出す人もいますが、迷える時には大いに迷えばよいのではと思います。
また、敢えてこの言説に対抗するのであれば、僕は以下のように考えるようにしています。
それは、「迷った時には前に進むことを選べ」ということです。
変化と言っても、実は後ろ向きの変化かもしれないし、まっすぐ進めないから仕方なく変化を選ぶことだってあるかもしれません。
そうではなくて、前に進むことを優先する。これも一つの思考停止の型ですが、何でもかんでも変化を選べということよりは、世の中の実態を捉えていると考えています。
少し余談ぽくなりますが、僕が大好きな大相撲では、「変化」は否定的なニュアンスが含まれます。真っ向勝負できないから変化する、力勝負で勝てないから変化する、といった文脈で批判されます。
もちろん、小兵力士が大型力士と当たる場合に、考えた取り組みをしなくてはならないということで、変化せざるを得ないことがあります。
しかし彼らは、真っ向勝負を避けているというよりは、あくまで前向きに変化を捉えます。安易に勝つため、ではなく、勝ちをもぎ取るために変化相撲をする、ということなのです。
変化至上主義的な発言を見聞きすると、「本当かよ」と毎回突っかかりたくなるのは、僕が好角家だったからなのかもしれません。
