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備えあれば・・・憂いもあり!『地震にそなえろ!』/地震に備えろ!④

「地震に備えろ!」ということで、地震をテーマとした藤子作品をいくつか見てきた。主な流れはだいたい決まっていて、

①地震を異様に怖がる主人公
②友だちにバカにされる
③人工地震を起こすことになり友だちも怖がる

というように展開される。ここまでの記事はこちらから。


本稿はシリーズ最後の記事となるが、これまでとは少し趣きの異なる作品となっている。地震篇のオマケ的作品として軽~く読み進めてもらえればと思う。


「新オバケのQ太郎」『地震にそなえろ!』
「小学四年生」1973年4月号/大全集2巻

「新オバケのQ太郎」は、60年代に一世を風靡した「オバケのQ太郎」を1970年代にリバイバルしたシリーズ。旧シリーズとは設定やキャラが色々異なっているのだが、その一つがドロンパのキャラクターの変更である。

ドロンパはQ太郎のライバルとして登場し、意地悪な役割だけが与えられていたキャラだった(時としてツンデレキャラも見せていたが)。ところが、「新オバQ」では打って変わって、オバQを始めとするオバケ仲間から迷惑を被る立場となっており、みんなのまとめ役になっている。

Qちゃんたちを困らせる役割から、Qちゃんたちに困らせられる役割に変化を遂げているのだ。


本作ではドロンパが居候している神成さんにまで、迷惑を被るお話となっている。皆を引っかき回す役柄ではなく、すっかり引っ掻き回される役割だ。

冒頭では、ドロンパが大量の「水筒」を体中にぶら下げて歩いている。Qちゃんはそれを見て、

「そんなに水筒を買ってきて、砂漠へ遠足でもするの?」

と、ナイスなツッコミを入れる。余計なお世話だと言って、Qちゃんの質問を無視して歩いて行ってしまうドロンパ。


Qちゃんは家に帰り、ドロンパがおかしいと正ちゃんに告げる。すると正ちゃんは隣の庭で神成さんが「大穴」を掘っていると言う。神成さんとドロンパが、二人とも異常な行動を始めているようなのだ。

ちなみにQちゃんは神成さんの行動に対して、

「死体でも埋めるのかな」

と、二回目のナイスなツッコミ。

さらにおかしなことが続く。神成さんの家と間違えられて、大量の缶詰が大原家に届いたのだ。ママによると、昨日はろうそくが100本届いたという。やはり隣の家は何か様子がおかしい・・・。


正ちゃんQちゃんで神成さん家を見に行こうとすると、隣から「グラ!」という大きな声が聞こえてくる。と、同時にダダッと神成さんとドロンパが垣根を飛び越えて大原家の庭に現われ、そのままどこかへと駆け抜けていく。頭には座布団のようなものを被っていたようだが・・・。

後を追うと、ドロンパと神成さんは空き地へとたどり着いており、「3分48秒もかかっている」と神成さんが時計を見ている。ドロンパは「これで精一杯だよっ」と困った反応を見せている。


一体全体、彼らは何をしているのか。正ちゃんが声を掛けて尋ねると、ドロンパは顔を赤らめて、あっちいけと制止してくる。神成さんは「別に構わんよ」と言って、何をしているのか説明を始める。

神成さん曰く「今に必ず東京に大地震がくる。学者が言っていることだから間違えない。その時のために準備にしている」というのである。具体的に地震がくれば、電気も水道も止まり、食べ物もなくなる。そのための準備が必要というのだ。

ここまで妙だったことは、全てこれで説明がつく。

水筒 → 水の確保
ろうそく → 灯りの確保
缶詰 → 食料の確保
大きな庭の穴 → それらを埋めておく場所

さらに「グラっ」と言って、空き地へと走っていたのは、地震の後は火事になるので、火に巻き込まれないように急いで避難する訓練だったのだ。頭に座布団を被るのは、上から瓦が落ちてくるからである。

何で急に神成さんが地震モードになったか不明だが、ドロンパによると昼も夜もずっとこの調子なのだという。


なお、来るべき地震のために缶詰を空き地に埋めるというエピソードが本作の2年後に描かれた「みきおとミキオ」『大地震』にも登場する。本作が元ネタであったようだ。


さて、神成さんの避難訓練はさらにエスカレート。突然「グラ」と大声が聞こえたかと思うと、神成さんとドロンパが座布団を被りながら、正ちゃんの部屋に飛び込んでくる。空き地への最短ルートを模索していたが、どうやら部屋を抜けていくのが近道であったようだ。

さすがに人の部屋を通り道にされてはかなわない。Qちゃんがたまらず、

「そんなに心配なら空き地に住めばいいや!!」

と怒って、三度目のナイスなツッコミをするのだが、それを聞いた神成さんは妙案と思ったらしく・・・。

神成さんは空き地の土管を住まいとして、暮らし始めることに。「Qちゃん恨むぞっ!!」と困り果てるドロンパと、満足そうに空き地で晩ご飯を作っている神成さんが描かれ、本作はあっと言う間に幕を閉じる。


地震を怖がる神成さん。みんなにバカにされても全く意志を曲げないところが素晴らしい。。


「オバQ」の考察もしています。


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