Geminiと「世界に1つだけのベビージム」を作ってみる
最近、生後2ヶ月の娘が一度だけ、私に笑顔を向けてくれた。顔の上に覆い被さって頭をゆっくり振りまわしたとき、ニコッと反応してくれた。
これまで私には見向きもしてくれなかったので、心底嬉しい。
人間ベビージムを気に入ってくれるなら、いっそ本物を買ってもいいかもしれない。相談すると、「いい値段するけど、すぐ飽きて使わなくなるかもねぇ」と妻。
だったら、作ってみるか。まだ、物には興味を示さないお年頃だけれど、これを機に変わるかもしれない。娘の心を動かす、自由研究だ。
「私、図工の成績は2しか取ったことないんですが、ベビージムは手作りできますか?」
Geminiに聞くと、「意外と簡単にできますよ」と、優しく背中を押してくれる。しかも低コストでできるようだ。
全く自信はないけれど、よし、やってみよう。
3DCGのもふもふモンスター
どうせやるなら、全部作ってみたい。上から吊るすのは既製品のおもちゃやぬいぐるみではなく、自分でデザインしたキャラクターにしたい。
もちろん、1からキャラクターデザインをするのは難しいけれど、Geminiならやってくれる気がする。そんなことを思いながら、いつものようにぼけっとXを眺めていると、こんなものを見つけた。
Gemini でたくさんキャラクターを作ってみました!
— Google Japan (@googlejapan) August 7, 2025
みなさんも是非、オリジナルのキャラクターを
作ってみてくださいね!作り方はリプライに! pic.twitter.com/iPECsoCJXd
3DCGのもふもふモンスターが作れるプロンプト、渡りに船だ。よし、今回はこれを拝借してしまおう。1体デザインするのに、ものの1分である。赤ちゃんは濃い色の方が見やすいので、それを意識して6体つくる。

生成AIには再現性がない。同じプロンプトを入れても、出来上がるものは微妙に異なる。逆に言うと、このキャラクターたちを使ったベビージムは、世界に1つしか存在しないオリジナル作品なのだ。
しかし、見切り発車でキャラクターを作ってみたものの、そもそもベビージムはどうやって作るのか、材料は何か、工具が必要なのか、お金はどれくらいかかるのか。まだ何も知らない。
そんなときは、DeepResearchだ。たぶん、凝ったものから手軽なものまで、ベビージムを手作りしている人はごまんといるはずなので、先人の知恵を借りよう。
【簡単に】【工具を必要とせず】【低コストでできる】という、私のわがままな要望も持ち前の包容力で受け止め、Geminiはいくつかの方法を提示してくれた。

その中で目を留めたのが、100均で売っている組み立て式のフラフープをベビージムの土台にするというもの。その他の素材もほとんど100均で揃うらしい。よし、これだ。
斜め45°の発想
なんだか楽しくなってきた。今度は、キャラクターをどういう形にして吊るすか考えよう。
紙か。いや、赤ちゃんが手で掴めないし、端っこで怪我をするかもしれない。3Dプリントか。いや、コストが掛かりすぎるし、やってくれる場所がない。
そんなときGeminiが見つけてくれたのが、印刷サービスのキンコーズがやっているセルフTシャツプリント。Tシャツを持ち込めば、店頭で好きなデザインをプリントできるというものだ。
なるほどその手があったか。普通に検索していたら辿り着かなかったかもしれない。

よし、善は急げ。布プリントに適していて、かつ赤ちゃんの肌にも優しい素材をGeminiに教えてもらい、綿100%の生地を購入。送料が高いなと思いながら注文したら、岐阜県のお店であった。

それから、Geminiと同じくらいお世話になっているCanvaで、入稿用データを作成する。これを2枚用意して、中に綿を入れて縫えば、我が子が手を伸ばしてムニムニと掴める円形のクッションのようなものが出来上がるはずだ。

オール100均軍団で建築
高い買い物ではないとはいえ、生地を買ってしまった。もう後には引けない。
妻に子供のお世話をお願いして、駅前の100均へと向かう道中、にわかに不安になってきた。ちゃんと自立するのか?フラフープはあまりに不恰好じゃないか?全然上手くいかなくて全て無駄になるのではないか?

しかし、それは杞憂だった。材料を買ってきて組み立てると、フラフープの土台はどっしりと地に足をつけて立っている。交差させた半円のフラフープ同士を結束バンドで結び、4つの足には、ぶつかり防止クッションを小さくカットして巻く。作業時間は約5分である。
ちなみに、結束バンドやぶつかり防止クッションを使うというのも、Geminiが提案してくれたアイデアだ。

意外とちんまりしていてかわいい。

感動のTシャツプリント
2日後、岐阜からはるばる生地がやってきた。一度洗濯をして、しわくちゃになった布にアイロンをかけて、プリンターに入る大きさにカットする。そして、USBに画像データを入れて、準備完了だ。
翌日、都心にあるキンコーズの店舗へと向かった。

朝早かったこともあり、店内には私以外にお客さんはいない。おもむろに布きれを取り出し、Tシャツプリントをしたいという私に、心なしか店員のお姉さんは困惑しているように見える。
ごくり。Tシャツ以外はちょっと…というパターンだろうか。
小学生のとき、父と一緒に飛び込みでベイブレードの大会に参加しようとしたら、申し込みがないと参加できませんと言われ、大泣きしながら帰ったことが、ふと脳裏をよぎる。
「あ、大丈夫です。でも当日お渡しならご自身でお願いします」
ほ、助かった。お姉さんは丁寧に、一つひとつ手順を説明してくれる。セルフサービスなのに、1枚目はほとんど作業してもらったようなものだ。よし、もう1枚はなんとか自分で頑張ろう。
といっても、やり方は至って簡単3ステップ。



思ったより、かなり鮮明に印刷されている。最後にもう一度アイロンをかけて、インクを乾かしたら完成。これぞDIYの醍醐味という感じがして、とても楽しかった。

作業時間は10分程度。料金は2枚で3,300円。
生地、100均で揃えた部品と合わせると、いつの間にか安めのヘビージムなら買えそうな金額になっている。しかし、これは他に一つとないオリジナル。プライスレスなのだ。大丈夫、大丈夫。
家庭科の授業以来の。
布を持ち帰り、そのまま縫製作業にピットイン。たまに手芸をしている妻に道具を借りて、やり方を聞く。
「玉結びってどうやるの?」
「YouTubeでも見て調べなよ」
手厳しい。しかし、こっちには相棒がいる。助けを求めると、Geminiはすかさず動画のリンクを送ってくれた。

玉結び、玉止め、まつり縫い。スマホの画面とにらめっこしながら、中学校の家庭科の授業以来、15年ぶりに針を手に持ち、縫いすすめていく。
お、楽しい。手芸って、こんなに楽しかったっけ。私の奥底に眠っていたA型の血が騒いで、スイスイと針が動いていく。
しかし隣を見て愕然とする。妻が作ったものに比べて、私のものは縫い幅が広い上にまばらで、縫い代の線がだらしなくはみ出ている。
残りは4つ。妻が寝ている間に上手く仕上げて、驚かせよう。
23時にミルクをあげて、0時を過ぎてから針を握る。いい感じだ、そう思った途端、糸が絡まって抜けない。なんとか最後まで来たと思ったら、糸が短すぎて玉止めができない。
Geminiにヘルプを求めると、「糸が短すぎたときの玉止め」という動画を出してくれる。しかし、針に糸が通せない。延々と繰り返される動画のナレーションを聞きながら、深夜にひとり、発狂した。
後日、やっとのことで完成した6体分の円形クッションを妻に渡して、最後の仕上げをお願いし、ゴム紐とカラビナで繋いでフラフープの棒から吊るす。

で、できた。予想以上に大変だったし、思いのほか費用も掛かってしまった。しかし、これは紛れもなくこの世に一つしかないベビージム。娘が笑ってくれれば、楽しそうに遊んでくれれば何の問題もない。
早速セットしてみる。ユラユラと微かに揺れ動くもふもふの怪物たちの中で、娘は宙を見つめて微動だにしなかった。

Geminiと妻に助けてもらいながら、初めて挑んだDIY。今はまだ、6体のモンスターの群れの中で呆然としている我が子も、じきに興味を持ち始め、ケラケラ笑ってくれるはず。きっと、そのはず。
何より、Geminiと一緒にベビージムを作っていく過程で、新しい扉をいくつも開くことができた。大人になって忘れていた感情を思い起こすことができた。
娘と、そして妻に、どうやって笑ってもらうか。これからも研究し続けたい。
