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【実例】シェアハウスの入居者トラブルはどう対応すべきか?──「適性診断」で根本解決する独自の管理手法を公開

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シェアハウス運営において、避けては通れない永遠の課題。それは「入居者トラブル」です。 価値観の違い、生活リズムのズレ、あるいは共有部での小さなルールの認識の甘さ。これらが火種となり、時に大きな揉め事へと発展することは、他人が一つ屋根の下で暮らすという特性上、ある程度は避けられない側面があります。

問題が起きた際、多くの運営会社はどう対応しているでしょうか。 「当事者同士で話し合ってください」と丸投げするか、あるいは「注意喚起の貼り紙をする」「当事者を強く叱責する」といった、いわゆる「ペナルティ」や「感情論」に頼った対症療法を行いがちです。

弊社、LLC-HOUSEのアプローチは根本的に異なります。 私たちは、トラブルの裏側に潜む「見えないパーソナリティ」を客観的に可視化し、属人的な判断を可能な限り排除した仕組みで解決を図っています。

なぜ杓子定規な管理対応なのではなく「適性を見る」のか。これはかなり前から取り入れていますが、業界内で取り入れている事業者がいるとは全く聞いたことがありません。

今回は、弊社の契約書に実際に組み込まれているその真意と、独自のアプローチ、そしてそこから見えてきた本質的な課題について、現場のリアルな実録として公開したいと思います。


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1. 契約書に込めた真意

弊社のシェアハウス借家賃貸借契約書には、「契約期間中の適性判断」という独自の条項が存在します。

(契約期間中の適性判断) ※甲は弊社、乙は賃借人※
甲は、乙が物件運用に関する指示改善命令に従う意思があるか疑念が生じた場合は、日時を設定し、甲の営業所にて共同生活における適性の有無を判断する面談を行わなければならない。面談を経て、乙に契約を遵守する適性がないと甲が判断した場合、契約終了の協議を行う。

この条項についてご説明します。 これは単なる罰則規定のような条文ではありません。シェアハウスにおける共同生活の中で、賃借人が問題行動や他の入居者との揉め事を起こした場合、運営者側は当然のこととして改善を促します。

しかし、起きた事案の程度や内容が、「賃借人当人が共同生活を想定したうえで発生する可能性が非常に低いと通常思われる行動・言動」を含んでいると運営者が判断した場合。つまり、「普通の感覚ならシェアハウスでそんな行動はとらないはずだ」「注意しても同じベクトルで摩擦が起きる」という強い違和感を覚えた場合に発動するプロセスです。

この時私たちは、その事案が「単なるうっかり」や「軽い過ち」ではなく、「賃借人のパーソナリティによって発生してしまった可能性」を診断します。その人に共同生活上の適性がそもそもどの程度あるのかを、客観的なデータとして可視化させるための取り組みが、この条文の本当の目的なのです。


2. オフィスで行う「セルフチェック」と専門医への誘導フロー

では、具体的に「適性を可視化する」とはどういうことか。

弊社では、上記のような強い違和感を伴う問題に関係した当事者に対して、弊社オフィスにて面談を実施します。その際、単に「なぜあんなことをしたんだ!」と事情聴取や詰問をするのではありません。
ADHD、ASD、自閉症、双極性障害、適応障害、統合失調症、HSP、MBTIなどのセルフチェック(簡易検査)を、賃借人ご自身に行っていただきます。

チェックの結果、何らかの特性の「兆候」が見られた場合、私たちはその人にレッテルを貼ったり、憶測での断定をすることはしません。次の段階として専門医のところで診断を受けてもらうというフローに進みます。

専門医の診断結果として該当する特性があった場合、賃借人にはそのまま専門医と連携しながら、共同生活への適応ができるよう取り組んでもらいます。ご自身の特性を正しく理解し、医学的な知見に基づいた対処法を学びながら生活を改善していくプロセスです。

しかし、もし専門医が「この方の現在の特性や状況から見て、シェアハウスでの共同生活は難しい」という判断に至った場合。 その状態で無理に契約を継続しても、ご本人にとっても、他の入居者にとっても、運営側にとっても、誰一人として良いことはありません。そのため、弊社は契約期間中であっても、当然のこととして柔軟に契約解除の申し出に応じます。

契約で縛り付けて苦しい生活を強いるようなことはせず、お互いにとって最適な環境への移行を最優先にする。これが私たちの最適化プロセスのスタンスです。


3. 運営サイドが最も警戒すべき人物とは

ここまでのスクリーニングの仕組みを構築・運用していく中で、私たちが「最も問題視している属性」が明確になってきました。

それは、オフィスでの診断結果で「何も兆候がない」と出た人物です。 いたって正常な状態であり、認知の歪みも、医学的な特性も認められない。それなのに、共同生活の秩序を乱すような事案が発生したわけです。

これはどういう状態でしょうか。私はこれを、刑事事件における心神喪失と責任能力の判断と同等だと認識しています。 事件を起こし、心神喪失を主張している人物が、精神鑑定の結果、責任能力が「あり」だと認定されるケースです。

例えるならこういう事です。

夜中、人も車もいない道路で「自分なら行けるだろう」と自己判断し、法定速度を大幅に超えて猛スピードで走行している。そこに不意に出てきた人をはねて死亡させてしまった。このケースで、後から「心神喪失でした」「特性のせいでわかりませんでした」と訴えても到底無理があるでしょう。ルールを認識し、状況を判断し、ブレーキを踏む能力は十分にあった。つまり責任能力は十分にあり、有罪となります。

シェアハウスにおいてもこれと全く同じ構図です。
診断結果で「正常な状態」と出た人は、ルールを守る能力も、他者への影響を想像する十分な判断能力も持っているにも関わらず、「シェアハウス内で他の入居者を巻き込んで事故(トラブル)を起こした」ということなのです。

特性による「能力の欠如」ではなく、明らかな「故意」または「著しい過失」による行為。これこそが、コミュニティにおいて最も警戒し、厳格に対処すべき事案だと私たちは定義しています。


4. 賃貸借契約に「教育」は含まれない。だから私たちはくどくど説教しない

診断結果で「兆候なし(正常)」と判定された賃借人。改善を促したにも関わらず、結果としてオフィスまで呼び出される事態に至った彼らに対して、弊社はどう対応するのか。

結論から言えば、弊社は一切の説教や強い叱責を行いません。

理由は極めてシンプルです。賃借人は法的にも責任能力が担保された「成人」であり、現状で人格がしっかりと形成されていると判断されるからです。

賃貸借契約の関係性において、説教や叱責にあたる「社会通念の教育」は含まれていません。 賃貸人である私たちに彼らの人格や道徳を教育する義務はありませんし、反対に、賃借人も私たちから教育される義務などないのです。ここは学校でも家庭でもなく、対等なビジネスの契約関係に過ぎずそれを越える事は賃貸人の越権行為であり、管理権の濫用でもあるからです。

そこで、弊社ではそういった「十分な判断能力があるのに自らの意思で暴走する賃借人」に対しては、速やかに「1人暮らし」をするよう要請し、契約解除の協議に移ります。

1人暮らしであれば、当然自分の部屋で好き勝手に何かをしても、物件内で他の入居者を巻き込む事はほぼありません。騒音を出せば自分が近隣から苦情を受けるだけ。共有部の使い方で揉める相手もいない。すべてが自己責任の範疇で当然その責を負うことで完結するためです。

弊社は、契約締結時の事前説明でも、賃借人に対して必ずこうお伝えしています。 「職業にも向き不向きなどの適性があるのと同じで、居住形態にもある程度の適性が出てきます」と。

相手の人格を真っ向から否定して感情的に追い出すのではなく、「あなたは十分な判断能力を持つ大人ですが、シェアハウスという居住形態にはミスマッチでしたね」という客観的な事実として着地させる。これが、最もクリーンな解決策だと考えています。


5. 独自の取り組みから見えた本質:結論「善意な人」だった

この「適性判断から専門医への誘導」という独自の取り組みを続けていく中で、私自身、問題の本質へアプローチできていると実感する大きな気づきがありました。

それは、オフィスでの診断で「兆候あり」となり、専門医の受診段階まで行った方々のその後の反応です。

私はてっきり、専門医の受診を促す段階や、その後のフィードバックの段階で「失礼だ!」「納得いかない!」と紆余曲折や反発があるだろうとも想定していました。しかし、実際には、誠実に取り組んでくれました。

後日、当事者に直接話を聞いてみたところ、こう言いました。

「結果的に、うまくいかない原因と解決方法がわかってよかったです・・・」

自分の特性を突きつけられたことを怒るどころか、むしろ前向きに受け止めていたのです。この事実が意味することは非常に重大です。

つまり、シェアハウスで問題を起こしてしまった人物(特性があった人物)は、決して「悪意」によって他者を攻撃したり、ルールを破ったりしていたわけではない、「善意の人物」だったということです。

彼らは今まで生きてきた中で、人間関係や集団生活が「なぜかうまくいかない」という漠然とした生きづらさを抱えていた。それは、その原因と対処方法がわからなかった"だけ"なのです。

客観的な指標によって自分の特性を知り、医学的なアプローチで改善方法やそのコツさえわかれば、彼らは当然のように周囲に協力してくれる、ごく普通の認識を持った人物たちでした。
「ルール違反だ!」と感情的に叱るのではなく、「仕組みで原因を紐解く」ことで、彼ら自身の人生にとってもプラスになるアプローチができた瞬間でした。

【補足コラム】
ちなみにこれらの特性は、決して「ごく稀な特別なもの」ではありません。
弊社が適性判断の指標としている特性やメンタル不調は、統計的に見てもどのコミュニティにも必ず一定数存在する、ごくありふれたものです。
・発達特性(ADHD・ASD等)
文部科学省の直近の調査(令和4年)によれば、通常学級に在籍する小中学生の約8.8%(11人に1人)に発達障害の可能性があるとされています。
・精神疾患・メンタル不調
厚生労働省のサイトでも、統合失調症は「約100人に1人」が発症する珍しくない病気と明記されており、双極性障害や適応障害を含む精神疾患の総患者数は国内で600万人を超えています。
・HSP(非常に敏感な気質)
心理学者エレイン・N・アーロン博士の提唱によれば、全人口の**約20%(5人に1人)**がこの気質を生まれ持っているとされています(※HSPは医学的な疾患ではなく気質です)。

これらの特性を持つ方がいるのは「異常なこと」ではなく「統計的な必然」です。 だからこそ、トラブルを個人の「悪意」や「性格の不一致」として片付けるのではなく、客観的な指標に基づいた「環境とのマッチング」というシステムで解決する仕組みが必要不可欠なのです。


6. おわりに:見えないものを可視化し、コミュニティの心理的安全性を守る

シェアハウスにおけるこれらの課題の最大の要点は、これらの「パーソナリティ的な問題」が見た目や数度の会話、あるいは入居前の段階では安易にわからないという側面にあります。

だからこそ、弊社では独自の診断を導入し、分析して対応していくことで、当事者への解像度を圧倒的に深めています。特性に応じた適切な対応ルート(専門医との連携、あるいは退去協議への移行)を論理的に分岐させることで、シェアハウス管理者側のミステイク率(対応のブレや感情的なこじれ)を劇的に低減させているというわけです。

ここまで踏み込んで、行動デザインや心理的アプローチを契約書の条項や運営マニュアルに組み込んでいるシェアハウス事業者は、おそらく他にはいないと思います。将来的にAIエージェントなどに一次対応を任せる際にも、この「感情的な差配に寄り過ぎない分岐アルゴリズム」はそのまま強力な運用フローとして機能します。

この取り組みについては批判されうる要素にもなるかと懸念していましたが、昨今では世間でもパーソナリティや多様な特性に対する解像度が上がってきているからなのか、むしろ契約者の方からは「なるほど」「ここまでロジカルに対策をしているなんて、すごく丁寧ですね」と、好意的に受け入れられています。
教育関係者の方からも非常に良い評価をくださる機会がありました。

真面目にルールを守って生活している入居者にとって、「運営が合理的で、確固たる仕組みを持っている」という事実は、そのまま居住空間の心理的安全性に直結するからだと思います。

私たちはこれからも、「入居者を管理する」という傲慢さからの業務ではなく、「見えないものを可視化する仕組み」を磨き続けることで、皆様に安心で快適な住まいを提供していきたいと考えています。


共同生活の適正判断フロー図


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