見出し画像

海外不動産投資まで手掛けたベテラン不動産オーナーT氏が、某シェアハウス運営会社に見切りをつけるまで

不動産投資、特にシェアハウス運営において「管理会社選び」は物件の方向性と収益を左右する最も重要な要素です。しかし、表向きの利回りや入居率という「数字」だけを見ていると、思わぬ落とし穴にハマることがあります。今回は、私が最近インタビューを行ったあるベテラン不動産オーナー・T氏(50代)の実体験をご紹介します。

💡 オーナーT氏のプロフィール概要

年齢: 50代後半
経歴: 20代半ばでリフォーム業独立。現場主義を貫きながら不動産投資の世界へ。
現在の所有物件: アパート・マンションなど合計50棟ほど(関東圏)
売買方針:基本的に売らずに保有していくスタイル

20代から現場の最前線に立ち続け、不動産投資の酸いも甘いも噛み分けた圧倒的な経験値を持つT氏。これほど「現場のリアル」を知り尽くした投資家が、どうやってシェアハウスと関わっていくことになったのか。そして、現在T氏の建物でシェアハウスの運営を実質的に行っている管理会社「A社」に対して強烈な不信感を抱くに至ったのか。

普段あまり見えにくい『不動産所有者』というステークホルダーの存在とそこにある課題や悩みというのをお伝えします。


🎧“聴く”note|▶️この記事の音声要約を聴く:約5分41秒

その他の記事の音声要約集はこちら👇
🎧ながら"聴く" note|音声要約マガジン📖




■ カギを開けたら知らない家族が…シカゴで見た「地獄絵図」

T氏の凄まじい現場主義を物語るエピソードが、過去に彼が挑んだアメリカ・シカゴでの不動産投資です。

リーマンショックでアメリカの不動産価格が大暴落していた頃、強烈な円高でもあったのでT氏はアメリカでの不動産購入を検討します。
ネットで海外不動産の仲介をしているブローカーを探してやり取りをした結果、シカゴにある古いマンションを購入しました。

物件を購入し、管理はブローカーから紹介された管理会社に委託する事にしたそうです。購入からしばらくは何も問題なく、安定した収益をあげていたのですが、ある時から家賃が安定して入って来なくなりました…。
ここでT氏は現地を見に行ってみようと思ったそうです。

思い立ったらすぐ行動。
現地の管理会社と連絡を取って、シカゴに到着してからの合流。
担当者を伴って初めて購入した建物まで向かいました。
「さあ、建物の中を確認しよう」と意気揚々とドア開けたT氏。しかし、足を踏み入れて目に飛び込んできたのは、文字通りの「地獄絵図」でした。

なんと、空室のはずの部屋の中に、見ず知らずの白人の老夫婦と、無邪気に遊ぶ幼稚園児の姿があったのです。

まるで自分の家であるかのように、そこにある家具を使い、平然とくつろいで暮らしている。アメリカでも問題となっていた「スクワッター(不法占拠者)」でした。恐ろしいのは、カギを預かり、毎月管理費を受け取っているはずの現地の管理会社ですら、その事実を一切把握していなかったという点です。

もちろんT氏は海外での立ち退き手続きをやったことはありません。
当初は家賃収入の不安定な状況を確認しに行っただけだったのに、更に現地の弁護士に頼むのもかなり手続きとコストがかかりそう。
結局T氏はこの不動産の売却をする事にして、最終的に数百万単位の痛手(損害)を負うことになったそうです。

やっぱ所有者責任ってさ、なんかあると嫌じゃないですか。
すぐに売ろうとしたんだけど、なかなか売れない。
最後はタダ同然で売っちゃいましたよ。

T氏

シカゴまで物件の様子を見に行くT氏はまさに、生粋の「現場主義者」であり、不動産の裏も表も知り尽くした歴戦の猛者です。
そんな彼がいま、都内で所有している全8室のシェアハウスの管理において、強烈な頭痛の種を抱えています。


■ 歴戦のオーナーが呆れた、A社の「見えない怠慢」と事なかれ主義

現在、T氏が都内にある所有物件の管理を委託しているのが独自の外国人集客ルートを持っている「A社」というシェアハウス管理会社です。シカゴの凄まじいトラブルすら笑い飛ばすT氏ですが、このA社に対しては怒りを通り越して呆れ果てていました。

経緯は、既にシェアハウスとして稼働していたこの建物をT氏が買い受けたところからスタートするのですが、元の運営者が紹介してきた管理会社が「A社」です。A社は業界でもある程度知名度がある方。紹介という事でもあるし、専門の運営ノウハウもあるのだろうという事でT氏は委託する事にしたそうです。

ですが委託してからT氏が実感したのは、現場管理の杜撰さと、「オーナーの提案すら拒絶する、A社の現場軽視の対応」でした。具体的には、以下のような実態が常態化しているようです。

① オーナーの「改善提案」を冷酷に拒絶
ある日、T氏が物件を訪れると、施錠してあるはずのポストが開きっぱなしで半開きで郵便物がはみ出していたそうです。
その下には濡れてグシャグシャになったチラシみたいなものが地面に張り付いてました。
見かねたT氏が「ポストのロック管理に問題がありそうだから私の方で何か出来る事がないか一緒に検討しましょう」と写真付きでA社に提案しました。
しかし、A社からの返答は「現場が混乱するから介入しないでください。清掃します。」という冷たい拒絶でした。オーナーが自らの手と費用で物件を良くしようとしているのに、そもそものA社の現場管理の不備は棚にあげて、自分たちの管理手順が変わることを嫌がり、現場の問題解決に消極的であったのです。

② 放置されるゴミと、オーナーの「自腹対応」
 
T氏は毎月、規定の清掃業務費をA社へ支払っているにもかかわらず、現場ではゴミの分別が一切行われず、シェアハウスの外壁には使ってなさそうなボロボロの自転車も放置されて荒れていく一方でした。
そこでT氏が幾度か丁寧に改善を求めても変わることはなく、結局T氏はA社との対話を諦めました。
現在、T氏は「月額1万2,000円を自腹で支払い、外部のご近所ワーク(地域の手伝いサービス)に清掃とゴミ分別を依頼している」という残念な状態に陥っています。

管理会社に管理費を払いながら、オーナーが自腹で清掃員を雇う。もはや、管理会社としての存在意義が崩壊しています。


■ 酷いシェアハウス運営に泣いているのは入居者だけじゃない

現場の管理が崩壊しているシェアハウスで、最も直接的な被害を受けるのは間違いなく入居者です。荒れ果てたゴミ置き場や放置された残置物は、日々のQOL(生活の質)を著しく低下させます。

しかし、ずさんな管理会社の被害に泣いているのは入居者だけではありません。

毎月安くない管理手数料を支払いながら、現場を維持するためにオーナー自らが自腹で清掃員を手配し、より良くするための提案すら冷酷に拒絶される。入居者の不満が募って現場が荒廃すれば、最終的には物件そのものの資産価値が大きく毀損されていきます。オーナー自身もまた、多大な心労と金銭的ダメージを負うことになるのです。

清掃や巡回が機能しているか疑わしいA社は、すでに自社の管理能力を超えたキャパオーバーに陥っているのではと私は考えます。
彼らには「シェアハウス運営のノウハウを蓄積しよう」という姿勢や、「入居者のQOLを向上させよう」という意識は無さそうです。
次々に外国人を入居させて空室を埋め、目先の収益さえ確保できていれば現場がどうなろうと問題ない、というスタンスなのでしょう。これは業界全体にとっても非常に危険な問題です。


■ 独自の考察:なぜ「質の悪い管理会社」がやっていけるのか?

なぜ、清掃や巡回といった基本的な管理すら行われず、オーナーの提案すら突っぱねる業者が業界に存在し続けるのでしょうか?

シェアハウス業界の最前線から見ると、その根本的な原因は「業界特有の集客構造とコスパの悪さ」にあると考えています。

通常の賃貸物件であれば、入居者の募集から契約までは「仲介会社(町の不動産屋さん)」がメインで行います。しかし、シェアハウスの場合は、自社サイト、自社SNS、ポータルサイトなどを駆使し、運営会社自らが直接集客を行っているのが実情です。

では、なぜ集客業務が仲介会社に分散・効率化されないのか?理由は明確です。

・仲介会社にとっての「うまみ」がない
シェアハウスは一般的なアパート(ワンルーム等)よりも賃料帯が低いため、成約時の報酬単価も著しく低くなります。仲介会社からすれば、労力に見合わない「非効率な案件」なのです。
貸主(オーナー)側のコスパ悪化
通常の賃貸契約は2年サイクルですが、シェアハウスの平均入居期間は約1年程度です。サイクルが短い分、これを仲介に依存してしまうと都度退去のたびに客付けのコストが発生し、その間は家賃収入はありません。

つまり借主を除く、「貸主側」と「仲介側」の双方にとって、コスパが悪い構造になっているのです。

この構造的な問題により、業界全体でオペレーション(客付けや管理)の質が上がりにくくなっています。結果として、「自社で集客して、とりあえず部屋を埋めればいい」という、A社のような質度外視でも強気な姿勢の事業者がやっていけてしまうのが、この業界の大きな課題と言えます。


■ 「対話」なき管理に未来はない。私たちが大切にしていること

T氏は、現在の状況を根本から打破するため「A社を切って、新たに女性専用物件としてリニューアルするのはどうか?」とも考えているそうです。
A社の対応の一部始終を聞いて、私たちは改めて「管理会社のあるべき姿勢」について考えさせられました。

私たちLLC-HOUSEは、自社の現在の運用が「絶対の最適解」だとは決して思っていません。 オーナー様からのご提案や、近隣の方々からのご相談があれば、都度フラットに検討し、運用を柔軟にアップデートしていく。
地域やオーナー様個々には、それぞれ独自の考え方や事情・背景があります。
それらを理解し、踏まえた上での運用でなければ、独特な運用形態であるシェアハウスへの理解や共感を得られないと思っているからです。

もちろん、すべてのご要望にお応えできるわけではありません。
出来ないことははっきりと「出来ない」とお伝えします。
しかし、重要なのはそこからです。「なぜ出来ないのか?なぜやらないのか?」について、弊社なりの考えや根拠をしっかりとご説明し、結論を一致させる。このコミュニケーションの積み重ねこそが、最も重要だと考えています。

「現場が混乱するから」と一方的にシャットアウトするA社のような荒い業務方針では、オーナー様や地域との信頼関係は決して築けません。

利回りや入居率といった「利益至上」を追求するスタンスも事業として1つの姿でしょう。そこは完全には否定しません。
ですがもし「歪み」が発生した時、それを修正できる能力があるのかは十分に問われなければなりません。事実、自分達が良ければそれで良いくらいの狭いコミュニティ運営を行った結果、オーナーや周辺住民から拒否される形でシェアハウス運用が出来ずに撤退する事業者もいます。

弊社は様々な方々の声にも耳を傾けていく姿勢を大事にして業務を行っていこうと思います。

ここまで読んでいただいてありがとうございます!
記事を見て気に入った方は"スキ"や"コメント"、"シェア"いただけますと励みになります!

💬 あなたの「知りたい」をお寄せください
記事に関するご質問、シェアハウス運営の日々に関するご質問、シェアハウス業界に関するもの、その他ビジネスの課題など、幅広く受け付けています。LLC-HOUSEに関して気になる事などお待ちしています!


《こちらの記事はこのマガジンに収録しています》
今そこにいる入居者、運営者との対話。 生の声に耳を傾けることで見えてくる「暮らし」の深層。インタビューや寄稿形式の記事を中心にまとめます。


🌐note記事サイトマップ》
他にもシェアハウス運営の実記録や、WEBマーケティング関連の情報も盛りだくさんです。あなたに役立つ情報が見つかるかも。


🏠《LLC-HOUSE公式はこちら》
東京を中心に、家賃月額3万円台〜のシェアハウスを20棟以上企画・運営しています。10年以上の運営実績があり安心・安全なシェアハウス運営を心掛けています。



いいなと思ったら応援しよう!