【シェアハウス入居者インタビュー#6】ノマドワーカーのSNSコミュニティに旧態依然とした闇がありそうな話
■ はじめに
シェアハウスのリアルな日常や、そこに住む人々の人生観をお届けする入居者インタビュー。 今回は、将来の海外移住を目標にノマドワーカーとして活動する20代前半の女性Fさんにお話を伺いました。
場所や時間にとらわれない「しがらみのない自由な働き方」に憧れてフリーランスとして生きていこうと決めた彼女。
当社のシェアハウスへ転居する前に利用していたシェアハウスは、SNSでノマド的な働き方を発信しているインフルエンサーが運営していたシェアハウスです。
そこで彼女が体験した事はあまりにも俗人的な運営状況と、20代の女性の向上心につけ入る搾取の様な構造でした。自由なライフスタイルのはずが、なぜ真逆とも言えるパラドックスを孕んでしまっていたのか...
SNS時代が抱える問題の一端が見えてきました。
入居者Fさんのプロフィール
■ 概要 ■
年齢・性別:20代前半、女性
職業: フリーランス(Web制作、SNS動画制作)
目標:当面は世界を巡りつつ、将来的にはどこか海外へ移住すること。
入居の経緯:前運営者のハラスメント的な対応や、不透明な管理体制に疑問を持ち、転居を決意。費用的に安めで女性が安心して入居できるシェアハウスを探していた
入居した弊社のシェアハウス:品川区のシェアハウス
賃料:38,500円(光熱費・共益費・その他全て含む)
弊社のシェアハウスに決めた理由:noteとLLC-HOUSEのサイトを見て問題なさそうな運営会社だと思ったから
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■ 「人脈」繋がりで選んだシェアハウス

中校生の頃から留学経験があり、将来的にはノマド的なライフスタイルを確立して世界中を回りたいというビジョンを持つFさんは、SNSで有名なノマド系インフルエンサーと繋がる事で、自分の成長にプラスになると思いSNS経由でとあるワークショップに参加します。
そこでワークショップの中心人物である起業家を名乗る30代の男性インフルエンサーA氏と出会いました。
彼は界隈でもそこそこ認知されている人物で、様々な国を自由に動きながらSNSで自身の情報発信をしていました。
また、彼は全国に同じ志を持った仲間が集えるシェアハウスを日本国内で複数箇所運営しているらしく、ちょうど引越し先を探していた彼女にとっては、ノマド界隈の人達とリアルで交流が出来るまたと無いチャンスだと思って、中野にあるシェアハウスへ入居したそうです。
物件は男女共同のシェアハウス。女性のドミトリー(相部屋)。光熱費込みで月額4万5千円という条件は、彼女にとっては「順調なスタート」に見えました。実際にこのシェアハウスに入居して同世代の仲間と交流出来る事は、モチベーションの向上に繋がるものだったようです。
しかしその充実感は、徐々にオーナーに対する不信感とコミュニティから排除されたくない思いとの板挟みで徐々に薄れていきます…。
■ 不信の始まり|あったはずの「約束」が無かった事に

Fさんが入居して3ヶ月くらい経った頃、次の海外旅行に行く為の費用が貯まったので一区切りして、A氏に退去の申し出をしました。
すると、A氏から次の申し出があったそうです。
「海外に行ってる間は家賃要らないから荷物置いてていいよ。また戻っておいでよ!」
A氏は彼女に「海外滞在中の家賃を免除して荷物も置いて良い」と特別に優遇をしてくれました。彼女は親切なオーナーの厚意に感謝して、その提案を受けて海外に行く事にしました。
およそ3か月程度で、南アフリカから北上してヨーロッパを回るというルートを経て帰国。A氏のシェアハウスへ戻ってしばらくは何事もなく過ごしていたそうです。
しかしある日、A氏からの飲みの誘いが若干強引だったことを彼女が嫌気して、断ったことをきっかけに関係性は一変していきます。
それまで親しげに接してくれていたA氏は、彼女と会話もしなくなり、A氏が入居者ほぼ全員に参加を呼び掛けた飲み会にも彼女は誘われる事が無くなったそうです。
そしてついに金銭トラブルが発生します。
なんと、彼女が海外旅行に行っていた期間分の賃料をA氏は要求してきたのです。
オーナーA氏:Fさん、未払いの家賃があるので払ってください
Fさん:私家賃払ってますけど…
オーナーA氏:海外に行ってる間の家賃もらえてないので払って
Fさん:えっ?でもそれって払わなくていいって言われたと思うんですけど
オーナーA氏:ん~そんなこと言ってないと思うよ。未払いだから払ってね
どうやらこのシェアハウスは、「契約書が存在しない」という致命的な欠陥があったみたいで、口約束で契約が締結されているようです。
(※ちなみに口頭での契約も法律上は成立します:諾成契約※)
せめてLINEなどの記録に残るものでお金に関するやり取りが残っていればよかったのですが、その時の約束も口頭でのみ行われたもの…。
彼女はA氏がノマド界隈でも影響力がある人物なので、これ以上反論して後々ノマドワーカーのコミュニティから排除されるような事態は避けたいと思い、渋々A氏の請求に応じて全額支払いをしたそうです。
■ 『影響力』という力が生み出した歪み

FさんがA氏に対して不信に思った点は他にもあるそうです。
シェアハウスの他の入居者から聞いた話によると、A氏は「仲の良い女性の家賃を安くしている」のだそうです。
もはやこれは、対等な賃貸借契約ではなくオーナーの個人的な好き嫌いやコミュニティのヒエラルキーによって生活基盤が左右されるという、極めて不健全な構造です。
私の知る限り法人運営のシェアハウスではこういった事例はなく、個人運営のシェアハウスはこういった裁量で賃料にバラつきがあると聞いています。
実際にはA氏の真意はわかりません。
ですが、入居者それぞれの賃料に差分が生じていて入居者は合理的な説明と納得を求めているのだと思います。しかしFさん同様、他の人達はコミュニティの繋がりでこのシェアハウスを利用しているので、不満はあるものの直接A氏に対して説明を求める事はしない空気になっている状況のようです。
■ 更なる不可解な点も
Fさんが気になった事が他にもあります。
そのシェアハウスの光熱費明細が現地に届くようなのですが、光熱費の請求名義が近隣の飲食店になっていたという点です。
記載されてある飲食店は、Fさんや他の入居者がA氏に誘われて何度も行った事のあるA氏行きつけのお店で、そのお店のオーナーはA氏と友人です。
収益事業としてシェアハウスを運営しているはずなのに、経費の出口は他業者の名義。税務申告や法的な責任の所在が極めて不透明であり、売上の隠蔽など、コンプライアンス的に極めて危うい運営がなされていると疑われても仕方がありません。
私が個人的に思うのは、「はたしてA氏は本当に起業家なのか?」という点です。
■ 気を付けるべきポイント
シェアハウス業界にいる者として言えるのは、他のシェアハウス運営者の中にはコンプライアンスの意識が乏しそうなところがあるのは事実です。
今後皆さんがシェアハウスを探すにあたっては、以下のポイントに最低限注意しておく事をおすすめします。
・契約書の締結のない賃貸契約は後々トラブルになるので契約しない
・書面による契約が行われた際に必ず控えをもらう
・契約内容に関するやり取りは記録に残す
■ まとめ|SNSインフルエンサー界隈の前時代的な構造的問題を断ち切れるか

今回、彼女から聞いた体験談は、単なる「悪質なシェアハウスのトラブル」という枠を超え、現代のノマドクラスタが抱える構造的な欠陥を浮き彫りにしています。
彼らが追い求めているのは、場所や時間に縛られない「しがらみのない自由」です。しかし、SNSで発信力のあるインフルエンサーを頂点とした閉鎖的な界隈において、その自由は皮肉にも「権力者に気に入られるか否か」という、最も前時代的なしがらみによって制限されています。
ここで起きているのは、単なるルーズな経営ではありません。界隈という狭いコミュニティの中で、「人脈」という衣を纏って、そこに集まった若者の人生や仕事や暮らしを、便宜を武器にコントロールする。上位の権力者が下の立場の者から搾取する構造が、あからさまに存在しているのです。
「フラットで自由な働き方」を標榜しながら、実態は昭和のムラ社会以上のような理不尽なヒエラルキーが支配する。この「SNS時代の新しい搾取構造」は、見過ごすべきではない新たな問題です。
彼女が当社のシェアハウスへと転居し、これまでのノマドコミュニティとも良い距離感で関わっているそうです。以前のような理不尽な干渉から解放された今、彼女のビジネスは純粋にスキルと実績で評価される場所へとシフトしました。
もしあなたが「自由な働き方」を夢見ているのなら、ぜひ心に留めておいてください。 「人脈」や「特別な界隈」を謳う者ほど、あなたの時間を、そしてあなたの尊厳を、安く買い叩こうとしているのかもしれません。その環境がビジネスとして、あるいは人間関係として対等かどうか。その違和感に蓋をせず、自分を守るためのルールを何よりも優先してください。

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