あと、何回逢えるんだろうな。
何光年も離れた暗闇の中で、
たった一人で目覚めるような。
そんな孤独が、この広い宇宙にはあるらしい。
ベランダから見上げる夜空の先で。
名前も知らない星のどこかで、誰かが僕と同じように「会いたい」と。
心に「孤独」を抱えて生きている。
月明かりは、淡い光を振りまいている。
凝り固まった心がじんわりと解けてゆく。
「あと、何回逢えるんだろうな。」
ふと、故郷にいる家族や友人の顔が浮かんでくる。
スマホに保存された大切な人達の笑顔。
共に過ごした時間が、
今の僕を支えてくれている。
最後に会ったのはいつだっけな。
「また今度ね」
そう手を振り合い、それぞれの世界へと帰ってゆく。
話し足りなかったことや、伝えきれなかった想い。
あの頃の自分と今の自分を重ねて。
溢れてくる思いで満たされて、心が少し痛むけれど、
それでいいのだ。
───僕はいつまでも『心を動かしていたい』
おじいちゃんになっても。
足が思うように動かなくなっても。
過ぎてゆく季節の中で、
あなたの顔が皺々になっても。
いつまでも、新鮮な気分で、
胸を一杯にしていたい。
家族や友人と逢いたくなるのは、
映画を観て、小説を読んで、音楽を聴きたくなるのは、
毎日感動していたいから。
今走る理由も、山小屋に泊まる理由もそう。
人間には素敵な「感情」という機能が備わっている。
逢いたくなる気持ちも、
離れたくない思いも全て。
感情が揺さぶられるから。
傷つくためにあるのではない。
優しさに気付くために、優しさを理解するために。
誰かの心を撫でるために感情はあるのだ。
───この無限に広がる宇宙の中で、
「またね」って言える相手がいる事が、もう奇跡なんだ。
手を離したら、もう2度と会えない人がいる。
運命には逆らえない事がある。
自分の命を、身体を犠牲にしてでも、
守りたいと思える人がいる。
自分が傷付くとわかっていながらも、
手を差し伸べる。
動機はいたってシンプルだ。
自分よりあなたの未来に寄り添いたいから。
僕も誰かにそんな風に想われたいから、素敵な人間で居続けようと思う。
───あぁ、この世界は広すぎるな。
果てしなく続く銀河に、
ポツンとある地球。
そして、
大半を占める海洋に、
ポツンと浮かんでいる島国にて。
僕はあなたと、生きていきたい。
ベランダから、
そんな思いを馳せていれば、
くしゃみがでそうになった。
何のアレルギーだろうか。
鼻の奥がムズムズとする。
もしかしたら、
誰かに想われているのかもしれない。
それなら、僕の想いも風に乗って飛んでゆけ。
そうすれば、
世界中が、
温かなくしゃみで一つになるはずだ。
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