#416 東京湾でなぜ「サンゴ」が問題に?
1.「南の海の生き物」が東京湾に?
「サンゴ」と聞くと、沖縄やグレートバリアリーフのような暖かい海を思い浮かべる人が多いでしょう。しかし近年、東京湾でもサンゴが増えていることが確認され、話題になっています。
特に千葉県の館山沖や鋸南町周辺では、「エダミドリイシ」や「エンタクミドリイシ」といった造礁サンゴの群落が広がっています。海中映像を見ると、まるで南国の海のような景色が広がっており、「本当に東京湾なの?」と驚く人も少なくありません。
2.サンゴが増え始めたのはいつ頃?
東京湾周辺でサンゴが本格的に注目され始めたのは、2000年代後半から2010年代にかけてだと言われています。以前から少数のサンゴは確認されていましたが、近年は「群落」と呼べるほど増え、定着するようになりました。
背景にあると考えられているのが、海水温の上昇です。
東京湾の平均水温は、60年で1.4度上がったと言われています。
このことで、特に冬の海水温が下がりにくくなったことで、寒さに弱いサンゴでも越冬できるようになったとみられています。
気象庁などの観測によると、日本近海の海水温は長期的に上昇傾向にあります。つまり、東京湾のサンゴ増加は偶然ではなく、地球温暖化による環境変化の影響の一つとして考えられているのです。
3.東京湾にサンゴが増えるとどうなる?
サンゴはきれいな海の象徴です。
サンゴが増えると、「海が豊かになった」「水質が改善した」と感じるかもしれません。
しかし、東京湾でのサンゴの増加は、既存の生態系に与える悪影響が懸念されています。
その理由の一つが、海藻の減少です。東京湾では「カジメ」などの大型海藻が減っており、その場所をサンゴが覆うケースが増えています。
また、サンゴと同じように東京湾に生息できるようになった南国の魚がカジメを食べ尽くしてしまうことも懸念されています。
海藻は「海の森」とも呼ばれ、アワビやサザエ、小魚たちのすみかや餌になります。もし海藻が減り続ければ、それらの生き物も減少する可能性があります。つまり、サンゴなど南国の生物が増えることで、東京湾の生態系のバランスそのものが変わってしまうのです。
さらに、海藻は二酸化炭素を吸収する役割も持っています。そのため、海藻の減少は地球温暖化対策の面でも影響があると考えられています。
4.地域によって違う温暖化の影響
沖縄では現在、海水温が高くなりすぎたことでサンゴが白化し、死滅する問題が起きています。
一方で東京湾では、これまで寒すぎて生きられなかったサンゴが増えています。同じ温暖化でも、地域によって現れ方が違うのです。
普段は見えない海の中ですが、その変化を知ることで、気候変動や環境問題をより身近に感じられるのではないでしょうか。
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