#400 今さら聞けない「ナフサ」って何?
ポテチの袋が白黒に?
カルビーなどのスナック菓子や調味料のパッケージから鮮やかな色彩が消え、文字だけのシンプルなデザインや白黒の包装へと変更する動きが相次いでいます。
この異変の背景にあるのが、ニュースで耳にする機会が増えた「ナフサショック」です。中東情勢の緊迫化による原油や原材料の供給難から、日本国内で深刻な「ナフサ不足」が発生しています。
そもそも、私たちの生活をこれほど大きく揺るがしている「ナフサ」とは一体何なのでしょうか?
ナフサとは「プラスチックやインクの親玉」
一言でいうと、ナフサとは「石油化学製品の原材料になる液体」のことです。日本語では「粗製ガソリン」とも呼ばれます。
私たちが使う石油のイメージは、自動車のガソリンや飛行機のジェット燃料、ストーブの灯油など、「燃やすもの(燃料)」が強いかもしれません。しかし、原油を精製して取り出される成分の約10%を占める「ナフサ」だけは、燃料ではなく「モノを作る材料」として使われます。
ナフサをさらに工場で熱分解していくことで、エチレン、プロピレン、ベンゼンといった基礎的な化学成分が生まれます。これらが形を変えることで、私たちの身の回りにある、信じられないほど幅広い日用品が作られているのです。具体例を挙げると、キリがありません。
プラスチック・樹脂製品
ペットボトルはもちろん、コンビニ弁当の透明な容器、マヨネーズのプラスチックボトル、スマートフォンのケース、テレビや洗濯機の外枠ボディまで、すべてナフサが形を変えたものです。合成繊維(衣服や布製品)
私たちが着ているポリエステルやナイロン製の衣服、スポーツウェア、冬場に大活躍するフリース、さらには不織布マスクやエコバッグも、元をたどればナフサに行き着きます。日用雑貨・文房具
学校で毎日使うシャープペンシルの軸、消しゴム、クリアファイル、定規、さらには歯ブラシや、洗剤を入れるボトルもナフサから作られています。その他(インク・塗料・接着剤など)
教科書や雑誌を彩る印刷用インク、ポテトチップスの袋をカラフルに染めるインク、プラモデルの塗料、学校の机を組み立てる接着剤、さらには自動車のタイヤに使われる合成ゴムまで、あらゆる「化学の力で作られたモノ」の親玉がナフサなのです。
つまり、私たちの部屋を見回して存在する「ツルツルしたもの」「伸び縮みする繊維」「カラフルな印刷」のほとんどは、ナフサのおかげで存在しています。包装用のフィルムもインクもすべてナフサから作られているため、不足すると製品の見た目にまで影響が出ます。
なぜいま「ショック」が起きているのか?
これほど重要なナフサですが、日本はその大部分を中東からの輸入に頼っています。しかし、中東情勢の悪化によってタンカーが通るホルムズ海峡の通航が不安定になり、ナフサが日本に届きにくくなりました。
さらに、日本の製油所はガソリンなどの燃料の生産を優先する仕組みになっているため、国内でのナフサ生産も抑えられ、市場の在庫が急速に枯渇してしまいました。
原材料であるナフサが手に入らなければ、プラスチック容器も、包装を彩るインクも作れません。そのため、お菓子のパッケージを印刷するためのインクが足りなくなり、やむを得ず「デザインを白黒にしてインクを節約する」という異例の事態にまで発展しているのです。
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