第24回 M&A TOP面談、まさかの「東京ばな奈が生んだ意向表明」!?
トップ面談は、最初の温かい雰囲気のまま、驚くほどスムーズに進んでいった。
お互いに聞きたいことが山ほどあったし、何より話せば話すほど、お互いの会社に対するリスペクトが生まれていくのがわかった。
質問されたことは前回とは大きく変わらなかったので、M&Aの売り手になっている経営者は下記を参考にしてほしい。
何よりも 一番驚いたのは、社員のことをしっかり聞いてくれたこと。
M&Aの話って、基本的に 「売上は?」「利益率は?」 みたいなガチガチの数字の話がメインになる。
色々大変そうなのはわかった。じゃあ進行期の売上推移は?
あーやっぱり競合等の問題で落ちているのね。
それじゃあ値引きで(笑)みたいなオチだ。
こっちが 「うちの社員は優秀で…」 なんて話をしようものなら、「それはさておき、営業利益率は?」 って即座に話を戻されるのが普通。
でも、彼らは違った。
「今いる社員さんは、どんな方々なんですか?」
「M&A後、彼らがどんな環境で働くのがベストだと思いますか?」
……いやいや、そんなこと聞いてくれるんですか!?
こういう時、HSPの俺のレーダーがフル稼働する。
「これはただの儀礼的な質問なのか、それとも本気なのか?」
一瞬で見抜けるんだけど、彼らは間違いなく 本気 だった。
つまり今いる3人の社員、そして俺の4名がどうすれば最大のパフォーマスを出せるのか?一番良い形は何かを考えてくれていた。
俺としても、M&Aのゴールは小金持ちになる
「会社を売ること」 じゃない。
「社員の未来をより良くすること」 が一番大事。
だからこそ、こうやって真剣に社員のことを考えてくれるのは、正直、心に刺さった。
「意向表明出します!」まさかの急展開!?
気づけば、TOP面談もあっという間の90分。
俺も先方の事業について深く理解できたし、先方も俺の会社についてしっかりと理解してくれていた。
全ての疑問が解消したわけではないし、確定したことなど1つもない。
ただお互いがどんな人間なのかを深く理解するには十分な時間だった。
そして質疑応答が終わり、先方の代表が席を立ち、会議室のドアへ向かう。
「今日はありがとうございました!」とお礼を言おうとしたその瞬間――
「ご納得いただけるかわかりませんが、意向表明出すので、共に前に進みたいと考えています。」
……え!?
まさかの 意向表明確定フラグ発言!!!
ちょっと待って、俺、今 「東京ばな奈で距離が縮まった」 くらいの感覚だったんだけど!?もうそんなステージに進んでる!?
俺のHSPレーダーがフル稼働。
先方の顔色や声のトーンを分析する。
嘘をついている感じはしない。
むしろ本当に前向きに考えてくれているのが伝わる。
でも、ここで舞い上がるのは危険だ。
「期待しすぎるのはよくない」
「舞い上がって失敗するパターン、何度も見てきたよね、俺」
そう自分に言い聞かせながら、ドキドキする気持ちを必死に抑えた。
だけど、 正直めちゃくちゃ嬉しかった。
意向表明!? マジっすか!! え、てか、それ何!?
「意向表明出すから!」
その言葉を聞いた瞬間、俺のテンションは 「マジっすか!!」 と急上昇。
うん、正直、、、雰囲気でね。
冷静になれ俺。意向表明ってなんだ?
よくわからんけど、悪い話ではないのは確実。
むしろ、いい話っぽい。だって、相手がノリノリな感じで言ってるし。
心なしか仲介会社の2人も喜びを隠しきれていない。
でも…
意向表明って、何?
いや、正直に言うと、
「なんか前向きな話なのはわかる。でも、具体的に何がどうなるの?」
というのが俺の本音だった。
このままだと、「雰囲気で乗り切る社長」になってしまうので、すぐにそしてこっそりと仲介会社の担当に
「すみません、意向表明って、具体的に何ですか?」 と聞いた。
すると、めちゃくちゃ丁寧に説明してくれたので、M&A初心者向けに「意向表明とは何か?」をわかりやすく解説 しよう。
あくまで初心者向けね。俺も初めてのM&Aであり、初めての意向表明宣言だったので、「これは違うぜ!」とご指摘あればコメントで優しく突っ込んでほしい。
意向表明とは? 例えるなら「交際申し込み」!
意向表明(Letter of Intent、略してLOI)とは、
買い手側が 「あなたの会社に本気で興味があります!」 という意思を正式に伝える書類。
ざっくり言うと「ラブレター」みたいなもの。例えが古かったら申し訳ない。
たとえば、婚活をしていて、気になる相手がいるとする。
最初は軽い会話(=トップ面談)から始まり、「この人、いいな」と思ったら、いきなり結婚を申し込むのではなく、
「真剣にお付き合いを考えています!」 と気持ちを伝えるよね?
そう、それが 意向表明書。
つまり、これは 「あなたの会社と本気でM&Aを検討したいです!」 という正式な意思表示のステップ。
で、この意向表明の書類には、以下のような内容が含まれる。
意向表明書に書かれること
✅ 買収価格(仮)
「だいたいこれくらいの金額で考えてますよ!」というざっくりした価格。
この時点では 確定ではなく仮の金額 だから、あくまで目安。
✅ 買収のスキーム(方法)
株式譲渡なのか、事業譲渡なのか? 「どういう形でM&Aするか」 を示す。
(例:会社を丸ごと買う or 事業の一部だけ買う など)
✅ デューデリジェンス(DD)の実施について
買収前に行われる「企業の健康診断」みたいなもの。
ここで 「この会社、本当に買って大丈夫?」 を徹底的にチェックされる。この結果次第では買収価格が大きく変わることもあるらしい。
✅ 独占交渉権(これが大事!)
意向表明が出ると、通常 「この買い手と一定期間は独占交渉する」 というルールが適用される。
つまり、他の企業とは並行で話せなくなる可能性がある。法的な拘束力はないとの事だが、気持ちの良い商談になるように注意は必要だ。
✅ 買収後の経営体制やロックアップの有無
「M&A後に元オーナーがどのくらい関与するのか?」の話。
ここで 「すぐ引退OK」なのか、「数年間は残ってください」なのか が決まる。
ロックアップであれば雇用形態や年収等の経済条件が記載される事が一般的らしい。もしこの記載のない意向表明であればエビデンスとなる名言や追記は必要と感じた。後々トラブルになるからね。
意向表明を受けると、どうなるの?
意向表明を受けると、次のステップとして デューデリジェンス(企業調査) に進む。
つまり、会社の財務や法務、人事、取引先との関係などを 細かくチェックされる ことになる。
これが、婚活でいう 「結婚を考えたら、お互いの家族や経済状況を知る」 みたいなフェーズ。
ここで問題がなければ、最終的な契約へと進んでいく流れだ。
「意向表明=ゴール」じゃない! ここからが本番!
俺は説明を聞いた後、 「うぉぉ、ついに来た!」 とさらにテンションが上がった。
だって、なんか「正式に選ばれた」感があるじゃん?
でも、仲介会社に冷静に言われた。
「ここからが本番ですよ?」
…ですよねぇぇぇぇ!!!
そう、意向表明は 「付き合いましょう」 みたいなもので、
このあとデューデリジェンスや契約交渉という 「結婚準備」 が待っている。
そしてただの社交辞令の可能性もあり、所詮はまだ帰り際の口頭ベース。
つまり、ここからが 「M&Aの本当の戦い」 なのだ。
「どうでしたか?」仲介会社からの問いに俺の答えは…
意向表明の説明も聞き、無事に2社目とのTOP面談が終わり、先方の代表は仲介会社の担当と共に部屋を後にした。
おそらく担当者が先方代表にヒアリングをしているのだろう。
「実際にどうですか?本当に意向表明出しますか?」などを話しているに違いない。
なぜなら俺も今、同様の状況だから(笑)
俺の元には、仲介会社の担当者がやってきて、こう聞かれる。
「社長、どうでしたか?」
俺は一呼吸置いて、ゆっくりと答えた。
「ご縁をいただけるなら、一緒にやりたいと思いました。」
それが俺の、偽らざる 正直な気持ち だった。
この意向表明が本当にいただけるのか、どうなるかはわからない。
そしてその意向表明には買収価格も記載してあるので、もしかしたら「さすがにそれはないっすよー!」と感じるような金額提示かもしれない。
また逆に猛烈に高い金額をあえて記載して独占交渉権を得ようとする悪どい会社もあるようなので、それはそれで注意をしなければいけないと思った。
でも、少なくとも 「本気でお互いを理解しようとする相手と話せた」 というのは、大きな一歩だった。
とりあえず待つしかない。
これが現状できる俺の全てだった。
そして待っている間に
またもTOP面談のオファーが来た。
俺のM&Aの旅はまだまだ続く――。
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