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第53回 破談をチラつかせる買手とzoomした件〜犯人はお前だ〜

契約後にも関わらず、破談(ブレイク)の可能性が出てきた?
改めて契約書を読み直すが、そんなことがあればまさにクリティカル案件だが。この数日は生きた心地がしなかったのも事実だ。

そして数日後、ついに買い手とZoomすることに。

俺:「……あれ?この展開、デジャヴ?」
(※ずっと不安展開が続きすぎて、もはやループ疑惑)

正直、釈然とはしてない。
だってさ、ここまで色々あったじゃん? もう軽く「戦場カメラマン」くらい心すり減らしてんのよ。

でも——起きちまったもんは仕方ない。
逃げるわけにはいかない。だから、俺は腹をくくった

もしここで破談と言われるならもはやそれまでだろう。


準備ターン:資料作成地獄、再び

まずは、きっちり資料作りだ。
もはやこの辺りは仲介会社に任せたくない。

今回のテーマはズバリ——

「中期経営計画」!!(ドドン)

俺:「1ヶ月の売上落ちたくらいで動揺すんな!未来を見ろ未来を!!」

って、声高に叫びたかったけど、
それを一枚絵にまとめてオシャンに仕上げるのが大人ってもんよね。

描いた内容はシンプル:

  • 5年後の売上目標

  • 必要人員とコスト設計

  • これからは“零細卒業式”で規模化を目指す宣言

もともと中期経営計画は不確定要素が多すぎるので
どちらかと言えば夢物語に近いような理想を語るようなイメージで作成している。

ただ今回は夢ってよりも現実的な可能性を重視してみた。

うん、冷静に考えて、夢物語じゃない。
だってこれまでだって、俺、普通に達成してきたもん。

元を正せはこれが新担当君に余計な雑談をしたことが悪いんだ。
彼のせいじゃない、俺のせいだし市場超悪化は事実だ。

嘘をついてまで進めたいわけじゃない。

資料完成。
仲介会社チェックも完了。
よし、準備は万端だ!


Zoom開始:俺のHSPレーダー、爆速起動

さぁいよいよZoom!
この場には仲介会社の代表も元・新担当も同席していた。

パソコンの前に正座してスタンバイ。(※気持ち的にね)

画面を開くと——

買い手の社長、5分遅れてIN。

その瞬間、俺のHSPレーダーが爆音で反応。

「ピーーーーー!!!!」

あれ、これは違う。
明らかに事前情報と異なる。

あれ?
空気感が違う。

買い手社長:「あ、社長!今日もよろしくお願いしますー!」

俺:「……え?」

(※事前情報から想像してた100倍フレンドリーだった件)


土下座級謝罪タイム

挨拶もそこそこに、
まずは俺、ズームだけど土下座並みの謝罪。

頭が画面からフレームアウトするくらいだ

俺:「軽率な発言でご心配を……Zoomだけど土下座してます……ッ!」

(※画面越しに床に頭擦り付けそうになる勢い)
でも冷静になぜ俺が謝罪なのかは意味がわからないが。

代表「いえいえ、何か資料作ってくれたって聞きました。」

それから、魂込めた資料を画面共有して、説明。

俺:「5年先の未来、不確かなことも沢山あります。でも俺はこの未来を一緒に描いていきたいと思っています。市場は確かに想定外の事象ではありますが、できることを一緒に考えて勝ちたいと考えています。」(必死)


意外すぎるリアクション


買い手社長:「めちゃくちゃ楽しみですね。やっぱり社長は面白いですね。クロージングの日は飲みながら語りましょう。」

正直言えば俺のHSPレーダーは「安全」を感知していた。
ただ最近の心身状態を考えれば、俺のレーダーが壊れている可能性も高いために、言葉を選びながら確認をした。

俺:「……ん?(俺はポップだなって感じた)誤解していたら申し訳ありません。社長が市場に関して懸念がある伺いましたので、足元ではなく未来の話をさせて頂きました。」

買い手社長:「市場の厳しさはTOP面談のときから聞いていましたし、契約するときも聞いましたし、少し良くなっていると期待したい部分もありましたが、想定通りだったんですね。」

俺:「……」

買い手社長:「それより社長、今うちの別事業でこういう課題がありまして、少し社長のノウハウ貸してもらえませんか?」

俺:「えっそっち!?」

まさかの——
ガチ経営相談スタート(笑)

もう俺、脳内で思わず叫んだよね。

俺(心の声):「なにこのアンジャッシュのコント的なすれ違い展開!?」

つまり買い手の社長はの言葉は行間を補うとこうだ。

「市場が厳しいなんてずっと聞いていたから、別に気してないよ。市場が厳しいけど、社長伝えたいことがあるって仲介会社から聞いたので今日時間を取ったんだよね。まあ僕も厳しい市場でもM&Aするんだから、銀行や取締役会で説明しないといけないから参考に聞いておきたかった。でも、承認も終わってるけどね。僕も社長に伝えたいことがあったのでちょうど良いと思っていました。」ってニュアンスだった。


最後に告げられた一言

仲介代表:「今日はこれを伝えたかったのです。社長、お待たせしました。すべての承認と手続きが終わりました。◯月◯日にクロージングしましょう。着金準備もできています。」

つまり破談の考えなんてまったくなかったのだ。
むしろ買い手はクロージング準備が終わった事を俺に伝えたい会議だった。

市場が荒れ狂い、売上が下がり破断にしたいなんて話は一切でなかったのだ。

厳しい市場でもうちの会社を買いたい気持ちが強く、その説明責任のために、俺の話を参考にしたかったみたいだ。

そしてあまりにポップにクロージングの日程を聞くことになる。

想像していた仰々しい感じではなく、気を抜いたら右から左へ抜けてしまうくらい普通の会話の中に。

俺(心の声):「神様……ついに?」

気づいたら、
長い長い旅路のゴールが、目の前にあった。

ほんの数日後だ。

人生、何が起きるかわからない。
不安もあるし、トラブルもある。
でも——ここまできたのか。


俺の魂、ふわっと浮上

盛り上がった。むしろ盛り上がった
90分ほど経営談義や事業の伸ばし方で盛り上がり、Zoom終了。

「……え、仲介会社のあの焦りって何だったの?」

(※バグった感情を整理できず、しばらく椅子の上でフリーズ)


違和感しかない温度感

でもさ、そもそもおかしかった。

仲介会社の代表はZoom前にあれだけ言ってたわけだ。

仲介代表:「買い手代表、かなり心配してます。めちゃナーバスです。破談の可能性も高いと。もう泣きそうです。」

Zoom当日。

買い手代表:「あ、社長!今日もよろしくっす!(ニッコニコ)」

俺:「……え?」

(心の声):「なにこの温度差!?北海道と沖縄くらい違うんですけど!!」


そして元・新担当君から連絡

Zoom終わって放心してたら、スマホに電話。

新担当(元):「本当に申し訳ありませんでした。」

まずは一応、謝罪。

そして、彼、勝手に会議の総括を始めたんだ。

新担当:「市場の厳しさで買い手代表も狼狽えてましたけど、辞めたろう社長(※俺ね)の資料説明で超安心してましたよね!期待めっちゃしてましたよね!やっぱり破談悩んでましたよね。今日の会議は成功してよかったです。利益の話出てましたね。」

……

………………

…………………いや、どこの世界線の話してんの???(震え声)


ははーん、見えたぞ

俺:「(心の声)なるほど、犯人はお前だったか。」

新担当くん、君ね?

もう完全に推理完了。

  • 君が「ヤバい市場です」と買手にざっくり報告。きっと雑談ベースだろう。ただ伝え方はかなり下手なはずだ。

  • 買い手代表、「大変ですね。取締役会や銀行でどう説明しようかな。」と返事した。M&Aすること自体は決まってるし決めてるから、そんな市場であっても、合理性があり自分の周りを納得させたいって意味合いだ。

  • 新担当くんはそれを「取締役会や銀行に説明がつかないと頭を抱えている。破談レベルの危機」って変換して仲介会社の代表に報告。
    おそらく買い手と売り手の経緯や背景を知らなかったんだと思う。だって議事録読めば何度も出ていた話だから。

  • 代表、震えながら俺に緊急連絡。おそらくクロージング前ということもあり珍しく冷静ではなかったんだと思う。

この流れ、完全に見えた。そして俺、人生初の【M&A版 名探偵コナン】になったわけ。

実際に文章で書いたらこうとしか伝えられない。
ただ、その人の目の動き、所作、伝え方で内容は全く変わるでしょ。

「それヤバい」なんていい例じゃないか?

良い意味でのヤバいのか、本当に悪い意味でのヤバいなのか。
文章では、上手に補足しなければ判断できない。
でも会話だとなんとなくわかるよね?

ビジネスだと意外とこんなトラップがある
先方の言葉を理解できなかったために、
この珍事は起きた。


でも冷静に考えたらヤバすぎる

俺(心の声):「いやいやいや、たった数分の雑談から大騒ぎって、小学生の伝言ゲームかよ!!」

新担当だってM&A業界では10年以上の経験があると言っていた。つまり30代で1番心身ともに充実しているビジネスマンなはず。

それがこのレベルなんだよね。

ほんとね、
仲介って、というかビジネスマンって「言葉を正確に伝えるプロ」じゃないといけないんだよ。
ビジネスってそういうことが本当に大切なんだよ。

今回の件、まじで一歩間違えたら破談だったかもしれない。

買手がリアルに不安になる可能性だってある。俺がそんな相手とやりたくないと自暴自棄になる可能性だってあった。俺にだってこの7年会社を引っ張ってきた自負があるからな。

実際に俺、クロージング前に突如「全キャンセル」されたら、たぶん枕濡らしすぎて干し柿みたいになってたよ?

それに冷静ではあったが、この数日は生きた心地がしなかったのも事実だ。

こうしてnoteに書きながら心を整えていたのもある。


新担当君に足りないスキル

そして俺は気づいた。

これは俺がHSPだから過敏に反応してるわけじゃない。

新担当君が、
単純に——

相手の言葉をちゃんと「正しく受け取って」「正しく翻訳して」「正しく伝える」練習をしてなかっただけだ。

シンプルなスキル不足。
小学生でも「先生が言ったことそのまま伝えましょう」って習うレベル。

結論:
平和だったのは買い手だけ。まさが裏でこんな事になっているとは知らなかっただろう。


そして、俺は悟った

起きたことは、もう仕方ない。
人生で感じたことのない傷を負った。

イライラしても、怒っても、もう過去には戻れない。

だからこそ——

「ああ、仕事ってやっぱり持続性が大切なんだな。」

信頼って、一瞬で積み上げられるものじゃない。
でも、一言で崩れることはある。

常に期待を超える続けることが大切なんだ。

今回それを、身をもって学ばせてもらった。

でも、こうして色んな出来事を経て、
少しずつ、たしかに、俺は前に進んでる。

もうすぐ、クロージング。

そして、もうすぐ——

新しい旅が始まる。

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