MM理論とは何か?
資本コストやWACCを学んだ後にでてくるのがMM理論です。
WACCを学んでいるとき、
👉 借入を増やすと資本コストは下がる
と学びました。
しかしMM理論は、借入を増やしても企業価値は変わらないという理論です。
1. MM理論の出発点
MM理論が扱っているのは、
👉 企業が、借金、株式をどの割合で使うか
という問題です。
これを "資本構成" といいます。
2. 命題I(法人税なし)
まず一番有名な結論から。
資本構成を変えても、企業価値は変わらない
命題 Iの主張は、法人税がない世界では、
👉 資本構成を変えても、企業価値は変わらない
というのがMM理論の第一命題です。
つまり
借金100%でも
株式100%でも
半分ずつでも
企業価値は同じ。
なぜそう言えるのか
理由はこうです。
企業価値は「事業が生み出すキャッシュ・フロー」で決まる
のであって
それをどう分けるか(負債か株式か)では決まらない
という考え方です。
つまり、
企業の左側(資産)が価値を生む
右側(負債・資本)は分け方にすぎない
という整理になります。
3. 命題II(法人税なし)
借入を増やすと株主資本コストは上昇する
次に第二命題。
👉 借入を増やすと株主資本コストは上昇する
とされます。なぜか?
理由はリスクの増加
借入が増えると
利息の支払いが固定化する
株主の取り分は不安定になる
つまり、株主のリスクが上がる から、その結果、
👉 株主はより高い期待収益率を要求する
これが、株主資本コスト上昇の理由です。
だから何が起きるのか?
借入が増えると
負債コストは低い
でも株主資本コストは上がる
結果、"WACCは変わらない"
これが命題 I と整合します。
4. 法人税がある場合
利息の節税効果
実際の世界では、支払利息は損金参入できる
つまり、
👉 借入には節税効果がある
命題I(法人税あり)
法人税がある場合は、"借入を増やすほど企業価値は高まる"
とされます。なぜなら "節税効果(タックスシールド)が生まれる" からです。
企業価値の式(法人税あり)
レバード企業価値 = 無借金企業価値 + 節税効果の現在価値になります。つまり、
👉 借金は企業価値を押し上げる
という結論になります。
5. 借金は無限に増やせばいいのか?
理論上はそうです。でも現実は違います。
現実には破綻コストがある
借入が増えすぎると
倒産リスクが高まる
信用不安が生じる
取引条件が悪化する
つまり、 "財務危機コスト" が発生します。
現実の最適資本構成
現実の企業は、"節税メリット"と"財務危機コスト"のバランスで資本構成を決めます。
これが「トレードオフ理論」です。
6. DCF・WACCとのつながり
MM理論は、実はWACCの理解を深める理論です。
法人税なし → WACCは一定
法人税あり → 借入増でWACC低下 👉 企業価値が上がる
だから、資本構成は企業価値に影響するのか?という問いに理論的に答えているのがMM理論です。
✅ 自分用のまとめ
法人税なしでは資本構成は企業価値に影響しない
借入が増えると株主資本コストは上がる
法人税があると借入は企業価値を高める
理由は利息の節税効果
現実では破綻コストとのバランスが重要
