株式会社ナナホシマネジメント(Nanahoshi Management Ltd. )
初回掲載日:2026年3月19日
最終更新日:2026年4月28日
A: 株式会社ナナホシマネジメント(Nanahoshi Management Ltd.)について教えてください。
B: 同社は2022年9月設立。現在は拠点を英国に置いており、活動主体は英国法人のNanahoshi Management (UK) Ltd. です。
B:代表者の松橋理氏は2009年に早稲田大学を卒業後、日本生命保険に入社。そこで5年間、株式アナリストとして研鑽を積んだ後、ロンドンの Nippon Life Schroders Asset Management Europe Limitedに出向し、4年間ファンドマネジャー兼アナリストとして欧州株を担当しています。その間に London Business School (LBS) で修士号も取得。帰国後はストラテジックキャピタル(Strategic Capital)で約4年間、チーフ・アナリストとしてアクティビスト投資の実践を学び、現在の体制で活動を本格化させています。
A: 日本の小型企業に対して、非常に具体的な働きかけを行っていると理解します。直近の活動について教えてください。
B:日本の小型企業に対する株主提案や MBO(経営陣による買収)の価格批判などが確認されます。また、英国のファミリーオフィスが運営するファンドのために、キャンペーンや対話を行っているとのことです。直近では、以下のようなアクションが確認できます。
パソナグループ (2168)
2026年1月20日付で、取締役副社長執行役員の南部 真希也氏に対し、「創業家出身取締役としての株主価値向上に向けた意見交換のお願い」を送付。原文は末尾に記載。
ツツミ (7937)
2026年1月20日付で、取締役の柿沼 佑一氏、上村 敦氏の両名に対し、「創業家の関与と株主価値向上に関する意見交換のお願い」を送付。
HS Holdings (8699)
2026年1月8日付で、代表取締役社長の原田 泰成氏に対し、「大東銀行株式売却の経済合理性に関する疑義および資本コストに関する説明(プレゼンテーション)の実施」を再要望。
A: ESG(環境・社会・企業統治)だけでなく、「動物福祉(アニマルウェルフェア)」に触れている点もユニークだと思います。
B: わかもと製薬(4512)への提案がその一例です。同社は動物実験そのものに反対しているわけではないとのことです。しかし、国際的な基準理念である 3R Principles、すなわち、使用動物数を減らす(Reduction)、代替法を利用する(Replacement)、実験動物の苦痛を軽減する(Refinement)が守られるよう、透明性を高めるべきだと考えを表明しています。そのため、実験動物の動物別購入頭数の開示などを求める株主提案を行ったとのことです。また、ツツミに対しても、ダイヤモンド供給におけるトレーサビリティ(追跡可能性)の確保や、環境・人権リスクへの対応状況を明示するよう求めています。
A: 財務面での改善要求も見られます。
B: 例えば、現在は上場廃止となった焼津水産化学工業に対しては、PBR 1倍以上を目指すために、株主資本コストと同水準である DOE(自己資本配当率)10%相当の配当を行うことなどを求めていました。
A: 松橋氏に関しては、「アクティビスト地獄」という言葉が知られていますね。
――アクティビストには批判の声も大きい。
「正直なんとも思わない。運用者として自分の力量が試されるだけだ。あくまでパフォーマンスが重要だ。現在はESG(環境・社会・企業統治)アクティビストのような側面も持っている。非政府組織(NGO)活動投資家とは区別してもらいたいが、動物実験や児童労働の問題を株主提案のきっかけにしている」
――日本は株主提案権のハードルが低く、「アクティビスト天国」とも呼ばれる。
「最初の投資は今よりもハードル上がると出来なかったかもしれない。野村ホールディングスに提案された『野菜ホールディングスへの社名変更』など少しふざけた内容が増えるのが迷惑なのは分かるが、きちんとした株主提案が出しにくくなる制度変更は困る」
「資金の使い方や非効率なビジネスを抱える上場企業が存在するので『天国』なのだろう。改善が進み、物を言う余地がなくなり、いつか日本が『アクティビスト地獄』といわれるようになればよい。ガラパゴスといわれる日本市場が変わるきっかけになればいいと思っている」
日本には資金の使い道やビジネスの効率性に課題を抱える企業がまだ多く、アクティビストにとっては「天国」のような状況にある。しかし、対話を通じて企業の規律が高まり、改善の余地がなくなれば、いずれ日本は「アクティビスト地獄」と呼ばれるようになるとのことです。そうなれば、日本市場が真に成熟したことを意味すると考えているそうです。
参考資料①:同社がパソナグループに送付した2026年1月20日付の書簡

参考資料② 同社が株式会社東京証券取引所(上場部)宛に送付した2025 年5月14日付けの意見書(抜粋)
意見②
IR 体制の整備義務を果たさない場合、特別注意銘柄への指定を行う取り扱いを徹底していただくこと、及び改善が認められない場合は有価証券上場規程に基づき上場廃止となる取り扱いを行うことを明確化していただきたいと存じます。
理由②
上場会社として株式市場で資金調達している以上、株主及び株式投資家を無視した経営はできません。
2024新規上場ガイドブック(プライム、スタンダード及びグロース市場編にそれぞれ 共通。)によれば、新規上場時の社長面談におけるヒアリング項目として「IR活動の取り組み方針」が定められており、事実上、上場会社にはIR活動を継続的かつ組織的に行うことができる体制が既に求められています。そのため、上場後にIR体制の整備義務を果たしていない企業が存在すること自体が異常事態と捉えるべきです。
この点、 2025 年 4 月30日付「IR体制の整備義務化に係る対応・留意点について」5頁において「IR 体制が全く整備されていない場合は、公表措置等の実効性確保措置の対象となる場合があります。」と説明されています。もっとも、IR体制の整備義務を遵守させる観点から、公表措置ではなく、「(改善が認められない場合に上場廃止となる)特別注意 銘柄への指定」を徹底していただくこと、及び改善が認められない場合は上場規程に基 づき上場廃止となる取り扱いを行うことを実効性確保措置として明確化していただきたく存じます。
に対する意見』
B:松橋氏は、その後も東証に対して積極的に働きかけており、直近でも以下の意見書を提出している。


