投資とAIのメモ:Bloomberg代替のデータ企業と契約、AI時代における人間の価値再考等
月報を書こうとしていてその中に掲題の件について書いていたら、分量がNote1本分位になってしまったので別にして記事にする事にした。個人投資でグローバル株式投資をされるかたなど、ご参考までにどうぞ。
(注:因みに表紙の挿絵はGeminiのNano Bananaに描かせたものである。明らかに絵としての品質が良くなっていて驚いている。)
データとAI利活用についての諸々
グローバル投資のためのBloomberg代替のデータ企業を使う事に
従前は、例えば以下書籍等を使って投資先を選定していた。
しかしながら、上記では米国株の主要株と主なETFの知識が得られるのみである。趣味でぼちぼちとやっていたPAでのグローバル株式運用も年間で相応の損益が上下するようになって来ている事もあり、複業としてきちんと取り組む必要性を感じ始めていた。
そうした中で、欧州、アジア株等を広範に抑えようとなった際に安価な情報源がないなとは従前より感じていたのである。一方で個人で月額30万円内外するBloomberg等導入するのもToo muchである。そこで以下を導入する事にした。
上記を使う事でProプランでも月額1万円を切る位の価格でグローバル株式のスクリーニング、企業概要・財務等の把握が出来るようになった。
TIKRとChatGPTを直接API接続すると言った機能がない、スクリーニング結果の一覧や個別企業の財務を手動でExcelに落とした上でChatGPTに手渡しする位しか出来ないのが幾分残念ではある。しかしそうしたやり方でもデータはTIKR、分析はChatGPTと言う形でかなりの程度やれるようになる。個人なりに株式調査を効果的に行えるツールとして丁度良い価格・機能を提供頂いているなと感じている。
他にも以下のようなサービスも今回は採用しなかったものの気になった。Koyfinについては個人ユーザだけでなく、小規模運用会社・フィナンシャルプランナー・投資助言会社等のニーズも取りに行っているようである。
今後、使い勝手等見ながらこうしたツールにどの程度お金を使うか考える予定である。希望を述べると上記のような充実したグローバル株式データベースとChatGPTのようなAIを直接接続してあれこれ出来るようにしたいが、ビジネス上の諸々の事情から安価での開放は厳しいのかも知れない。この辺も引き続き推移を見守りたいと感じている。
株式調査用のプロンプトのテンプレート等のツールの充実
上記に関連して、株式調査用のプロンプトのテンプレート等のツールの充実も図った。
従前より株式の新規カバレッジ開始レポートを書くためのテンプレ等は用意していたものの、ChatGPT 5 ProにCFA協会、MBAやファイナンスの教科書的な内容等をもとにプロンプトを作成してくださいと依頼した上で自身なりにアレンジしたものを幾つか用意する事にした(注)。
結果、単一銘柄の株式レポート執筆、業界分析、同業数社の競合比較等を上記のTIKRからのデータとChatGPT 5 Proにより簡易に書いて貰えるようにした。
(注:AIにプロンプトを書かせるのはちょっとしたAI利活用Tipとしてお勧めなので紹介しておきたい。)
パワポをChatGPTに作成させる、凝ったデザインをGeminiのNano Bananaに作成させるなど
仕事の外でボランティア活動をする機会があり、パワポのスライドを作成する必要があった。時間がないのでChatGPT 5 Proに内容を練って貰った上で自身独自の内容等を幾らか加筆編集して、pptxファイルで出力して?と言ったら、何と出力してくれた(少し前は出来なかった気がする)。
知らぬ間に機能拡充していて驚いた。仕事でパワポ職人をする必要性は今後大幅に減るだろうと実感した。

加えて、上記のスライドをGeminiに渡してNano Banana Proに「美麗なスライド画像にして」と依頼したら下のような画像を出して来た。今までAIにこの手の出力をさせると、日本語の画像出力が字のような字でないような誤った出力になっている等多かったように思うが、日本語の画像出力が完ぺきで驚いた。

うーんすごい。企業におけるパワポ職人の仕事・作業は今後無くなるのだろうなと言う事を強く予感させる内容であった。
AI時代における人間の価値再考
AI時代の株式調査
今年の初めに上記のような記事を書き、ChatGPTのレポート執筆能力の可能性を称賛していたが、既に当時対比でもChatGPT 5Proの性能は格段に上昇しているように感じている。ネット上で開示資料等を調査して過去の財務データ等もかなり適切に取得してくるし、分析内容も妥当感がある。
上記のような記事もあるので、IS,BS,CFの財務三表がきちんと循環しているフルのDCFモデル等もAIが作ってくれる日がそう遠くないうちに来ると個人的には考えている。
また、IQ自体で言えば最新のChatGPT 5 Proは既にIQ140程度まで到達していると言った議論もあるし、AIは既に東大理三にも合格可能と言った話もある。単純に地頭で勝負すると既に過半の人間よりAIの方が優秀である事になる。そうした中で人間側がどこに付加価値を見出すのかと言うのは考える価値のある事柄であると感じている。
恐らく投資調査プロセスにおける財務モデルやレポート執筆、Webを用いた情報収集等のタスクはAIが自動で行う方向だろう。また、上述の通りプレゼン資料作成もAIの仕事になるだろう。
一方で、最終的な投資の意思決定と意思決定に対する責任を取る事は人間の仕事だろうとも思われる(顧客や自身のおカネの収益・損失に対してAIは責任を取ってくれない)。
「どのようなデータをAIに読み込ませられるか」「AIが出してくる調査分析結果を人間側が適切に評価・解釈してアクションにつなげられるか」の勝負になる面もあるかも知れない。この点を鑑みるとAI時代にこそ逆に取材等によるアナログな情報収集活動の重要性、ある分野についての長年の現場の土地勘等が再評価される可能性はあると考えている。
最早人間側の知能やドメイン知識量の限界、AIが出力する内容の人間側の評価能力の限界がボトルネックになりつつある事も感じている。そう考えると、AI時代こそ人間側も継続的に学び続けて、ボトルネックを少しでも解消する、AIの足を引っ張らずに最大限パワーを利用出来るように鍛錬していく必要があるのではないかとも感じる。
その他、エンゲージメント活動等の企業に能動的に働きかけていく活動、一般的な教科書やWeb・調査レポートや論文等には落ちていない独自性の高いアプローチの開拓等が人間の役割になるのかも知れない。
AIが独自のトレードアイデア、科学的発見が出来るようになった際のあり得る世界線
「独自性の高いアプローチの開拓等が人間の役割になるのかも知れない」と先に書いてはみたものの、「独自性・新規性の高い理論やアイデアの発案は人間、AIは過去データを大量に学習しただけ」的な発想と言うのは人間側からするとすがりたくなるステレオタイプであるしそうあって欲しいと願う類の紋切り型のコメントかも知れないなとも個人的には感じている。最近思うのは、お絵かきとか調査分析とか創造的で面白い事ばっかりAIがやってくれて、人間側はドブさらい的なラストワンマイルをやる事になりがちだなとも思うのである。
科学的な新発見等もAIで可能になる見込みである等の発言・報道等もある。これが実現する段階になると、独自性・新規性のある投資・トレードのアプローチ自体もAIが考案・キャッチアップしていく事になるのかもしれない。
この段階まで行くと月額3万円そこらでAI企業は先進機能を開放したがらなくなる可能性も考えられる。千億円単位の利益を産むトレードアイデアや数千億円の利益をもたらす新薬開発案を考えてくれるAIを月額3万円で開放する事は考えづらいようにも思われる。OpenAI、Google、Anthropic、xAI等がプロップトレーディング企業や新薬開発企業になり利益を独占する世界線も考えられる(その位しないと、現状の巨額AI投資のROIが立たないようにも思われる)。また、資金力のある大手HFや製薬会社も各々の領域専門AIの独自開発を進めると言ったシナリオもあり得るかも知れない。
こうなると、個人や小規模企業は札束パワー面・AI開発力に勝るAI企業大手と正面から戦う事になると、全く太刀打ち出来なくなる可能性がある。立ち位置をよく考える必要が出て来る可能性がある。
AI企業が狙うのは恐らく大きな池、個人は小さな池のニッチ狙い?
AIは知の民主化・コモディティ化によるニッチな領域における個人の活躍を促進するベクトルも働いている一方で、知の独占による大手AI企業への富の集中・寡占化側を誘因するベクトルも大いに働いているようにも思う。
特にAI企業の1兆2兆、10兆20兆円といった金額スケールの投資対リターンとして見合うような市場規模・収益規模の大きな分野については上述のような知の独占によるAIの収益化と言う方向は比較的現実的な方向感としてあり得るように感じている。
個人や小規模企業側としては、兆円単位の投資のROIとして見合わないような比較的ニッチな市場で月3万円のAIを可能な限り工夫してレバレッジして稼ぐ、と言う方向感になるのかも知れない。
兆円単位で投資しているAI企業各社からしても、幾らAIにやらせればよいと言っても余りに細かい収益機会を逐一刈り取るのは面倒であろうし優先順位としても後回しになる可能性がある。そう考えると、個人が幾らかお金持ちになれる・トライしても成功するか分からない・人間側のアイデア勝負、位の規模感のニッチな市場の収益化に活用出来る程度の機能のAIは引き続き月3万円なりの価格で提供する事でキャッシュ回収を図る事にAI企業大手の合理性はあるようにも思われる。
そうした中で、AI企業の中の人も思いつかないようなアイデア勝負でごく稀に月3万円のAIフル活用で1人ユニコーン企業等を立ち上げ・売却等出来る人も幾らかは出て来るだろう(既に出ている面もある)。実際には月額3万円のAI機能で大儲け出来る可能性はごく僅かであるにせよ、これはAI企業とっても非常に良い広告・マーケティングになると思われる。
しかし1000億円単位の収益を生みうる新薬開発や10 Bil USD単位の資金でαが取れるトレーディングアイデア創出等まで可能なAIが出来たとして、その機能を月3万円でAI企業各社が優しくも開放してくれると考えるのはナイーブに過ぎるようにも感じている。
何だか夢のないマネーマネー、ROI、ROIの世界の話で何とも言えないが、こうしたポジショニングは良く考えておく必要性を感じている。
投資に関しては人間側の基本的資質が引き続き重要な面もありそう

AIが台頭する話を先述した一方で、ウォーレンバフェット氏の上記の名言もあるのも確かである。氏の名言から考えると、例えば「優良な安定成長企業の株を保有してじっとしている忍耐力」「経済危機等が起きても狼狽売りしない、或いは追証等で売却せざるを得ないような状況に追いつめられない事」と言ったベーシックな所がより重要になるのかも知れない。
投資に関して言えば、AIが幾ら発達しても、結局はポジションテイクした損益結果に責任を負い、利益の便益を享受し損失の苦痛を受けるのは人間である。自身が運用者をしていた頃も、結局の所日々損益が出る、一定以上損失が出ると退場になると言う状況下でのメンタル面の管理やリスク管理等は非常に重要であった。
まとめ
ニッチとしての個人投資環境もAI台頭の中で変化していくだろうと思われる。個人的には今後も継続的にAIの投資への活用に取り組んでいきたいと考えている。また、その際には企業、財務等のデータの確保もポイントになるように感じている。この点も引き続き個人として取り組んでいきたいと考えている。
AI社会における人間の価値について少し考えてみた。AIが何処まで出来るようになるかと言うのは議論のある所ではあるが、少なくとも、IQ・地頭力そのもの、大量のデータの分析や財務モデリング等の専門的なタスク遂行能力はAIが人間を既に追い抜いている、或いはそう遠くないうちに追い抜いていく事は既に見えている。また、新薬開発や大手HFの実戦のトレーディングで使用可能な投資・トレード戦略の考案まで出来るレベルのAIが今後開発されたとして、AI企業大手各社はそれを安価に外部提供する事はないと考えるのが現実的であろうとも思われる。こうした点を踏まえたキャリア構築なり子供の育児に関連して言えば育児方針なりが重要だろうと考えている。
一方で、投資に関して言えば幾ら分析能力やモデルポートフォリオ作成能力、売買執行能力等がAIにより高度化しても、結局はポジションテイクした損益結果に責任を負い、利益の便益を享受し損失の苦痛を受けるのは人間である。そう考えると、投資におけるメンタル面の管理、ポジションのリスク管理等の重要性は引き続き人間の役割として重要であり続けるのかもしれない。
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