「用事ないけど来ました」から始まった。移住者が地域に入るまでの話
「田舎に移住したら、近所の人と自然に話す生活になる」
移住前の僕は、そんなイメージを持っていました。
都会では隣に誰が住んでいるかも分からない。
だから田舎に行けば、近所の人と顔を合わせて、くだらない話をしたり、困った時は助け合ったり。
そんな生活になると思っていました。
でも、実際に移住してみると違いました。
仕事で関わる人はいる。
挨拶する人もいる。
でも、今日あった出来事とか、どうでもいい話をできる相手はまだいませんでした。
「これ、都会に住んでいる時とあまり変わらなくないか?」
そう思ったのが、移住して2〜3ヶ月くらい経った頃でした。
待っているだけでは、地域の中には入れなかった
そこから、自分から地域の人が集まる場所へ顔を出すようになりました。
僕が行ったのは、まちづくりセンター。
公民館のような場所です。
最初は正直、かなり緊張しました。
用事があるわけでもない。
誰かに誘われたわけでもない。
ただ、
「来ました」
という感じでした。
むしろ最初の頃は、
「用事ないけど来ました」
と言っていたくらいです。
後から聞いた話では、こういう人は前例がなかったらしく、周りも少し驚いていたそうです。
でも、何度も顔を出しているうちに、
「ここに配属されてるの?」
と言われるようになりました。
最初は知らない人だったのが、少しずつ「いる人」になっていきました。
小さな手伝いが、関係を作っていった
特別なことをしたわけではありません。
ランチ会の手伝い。
掃除。
イベント設営。
重たい荷物運び。
虫の駆除。
一つ一つを見ると、大きなことではありません。
「地域のために何かしよう」と気合いを入れていたわけでもありません。
暇だったから。
できることがあればやりますよ。
そのくらいの温度感でした。
でも、こういう小さな積み重ねで、
「あの人なら頼める」
と思ってもらえるようになりました。
仕事は、突然生まれるわけではなかった
その後、自分でメンマ作りを始めようと思った時もそうでした。
「メンマを作りたいんです」
と、いろんな場所で話していました。
するとある時、
「うちの竹林、見に来てええぞ」
と声をかけてもらいました。
最初から仕事につなげようと思っていたわけではありません。
ただ、自分がやりたいことを話していた。
地域の人が覚えてくれていた。
そして、そこから新しい可能性につながった。
地方で仕事を作る時、最初から大きな人脈が必要なわけではないと思います。
まず必要なのは、
「この人知ってる」
と思ってもらうこと。
仕事の話をする前に、雑談できる関係になること。
地方では、求人情報や広告だけでは見つからない仕事があります。
人との関係の中から生まれる仕事もあります。
移住して分かったのは、地域に入ることは「仕事を得るための手段」ではなく、地方で暮らすための土台だったということです。
