英語ができなくたって
「スミマセ〜ン」
東京メトロ新宿駅の切符売場でチャージをした直後に、片言の日本語で話しかけられました。欧米系と思われる中年の男女でした。
「はい」
私が反応すると、男性からメモを見せられました。そこには住所らしきものが記されていて、彼が指さしたところにはRoppongiという単語がありました。
新宿から六本木へ行くのであれば、都営大江戸線が最も便利です。ただし、大江戸線の新宿駅は遠く、近くにある新宿西口駅に行くのも簡単ではありません。すぐ乗れる東京メトロ丸ノ内線を利用するのがベターでしょう。
「This?」
男性は路線図のRoppongiを指さしました。そこには210と記されていました。
「This」
私は頷き、券売機の210のボタンを指さしました。これで私はお役御免です。霞ケ関駅で乗り換えが必要ですが、車内の路線図を見ればわかるでしょう。
なぜこの話を書いたかと言うと、ちょうど数日前に中学1年生の長女から「英語で道を聞かれた時はどうするの?」と聞かれたばかりだったからです。来週実施される期末テストの範囲になっているそうです。
「そういえば、俺はけっこう外国人から道聞かれんねん。3〜4回はあるかな」
「それでどうしたの?」
私は右腕を水平に伸ばしました。
「これでだいたいなんとかなんねん」
「ジェスチャーはダメ。テストだから」
「そんなん、俺はせいぜいShinjuku stationぐらいしか言われへんよ」
私は英語が苦手で、国語力を生かして長文読解を力業で凌ぐことによってなんとか点数を確保していました。会話において正しい英語で的確に応対することに関しては、中学1年生と同レベルでしょう。
しかし、私はジェスチャーと固有名詞だけでたいていは伝わるということを知っています。中学1年生とは人生経験が違うのです。
そういえば、駅の案内ロボットの開発に携わっている方を取材した際に、興味深い話がありました。道案内をする場合は、まずどの方向に進むかさえ伝えればよいというのです。ならば、英語で難しい説明をしなくても、平易な単語とジェスチャーのみで大丈夫でしょう。
もっとも、私の回答が長女にとって何の役にも立たないのは言うまでもありません。春から何度となく「英語は俺に聞くな」と言っているので、申し訳ないとは思いませんが。
