Agentic RAG実装ツールの選び方
前回はAgentic RAGの概念と活用イメージを整理した。今回はその実装段階、つまり「実際にどのツールで作るか」について書く。この分野はツールの入れ替わりが速いので、資料に明記されていた通り、情報の時点は2026年8月時点であることを前提として読んでほしい。
「誰が次の一手を決めるか」でツールが変わる
同じAgentic RAGでも、「次に何をするか」を誰が決めるかによって向いているツールが変わる、というのが今回の資料の切り口だった。私はこの整理の仕方がわかりやすいと感じたので、そのまま紹介したい。

私なりに言い換えると、LangGraphは「決められた手順を厳密に守らせたいとき」、CrewAIは「役割さえ決めれば動き出す手軽さが欲しいとき」、Claude Agent SDKは「事前に道筋を決めきれない探索的なタスクを任せたいとき」、という使い分けになるのではないかと思う。
検索特化ならLlamaIndex
上の3つとは少し立ち位置が違うツールとして、LlamaIndexも紹介されていた。49,000以上のGitHub Starsを持つ(MIT license)検索特化のツールで、単独の対立候補というより、LangGraphやCrewAIと組み合わせて使われることが多いという。
例として、MarsDevs社が「LangGraphでオーケストレーション+LlamaIndexで検索」という構成を2026年のデフォルトとしている、という記載があった。私はこれを見て、「全体の制御はオーケストレーション用ツール、検索の質はLlamaIndexに任せる」という役割分担が、実務上は現実的な落としどころになりつつあるのかもしれないと感じている。
土台にある3つの推論パターン
これらのツールの根っこには、共通する推論パターンが3つあるとされていた。
ReAct
Plan-and-execute
Multi-agent
どのツールを選ぶにしても、最終的にはこの3パターンのどれか(または組み合わせ)に行き着く、という理解でいる。
なお、以前よく名前が挙がっていたAutoGenは、2025年にMicrosoft Agent Frameworkへ統合され、新規開発では非推奨とされている。この事実は、ツール選定において「今動いているか」だけでなく「今後もメンテナンスされ続けるか」も見ておく必要があることを示していると思う。
まとめ
実装ツールの選び方は、「誰が次の一手を決めるか」という制御の所在で整理すると見通しが良くなる、というのが今回の学びだった。次回は、自律性の話から離れて「モダリティ」——画像や音声も扱うMultimodal RAGについて書いていきたい。
