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1741市町村に医療の地図を描けと言われた日。新たな地域医療構想が突きつけた「期待」と「限界」:第186回市町村セミナー資料より

急性期拠点は人口30万に一つ、と国が線を引いた日


今回のNOTEは、令和8年3月19日にとりまとめられた新たな地域医療構想と医師確保計画の二本の報告書、そして令和8年6月の市町村セミナー資料1を重ねて読み、市町村に何が求められ、何が求められすぎているのかを整理します。医療機関機能の五類型、急性期拠点の人口30万人基準、病床稼働率の上方修正、精神医療の参入、外来医師過多区域に指定された九つの都市、重点医師偏在対策支援区域、そして令和9年4月の社会福祉法改正までを、医療・介護・障害福祉の三方向から重ねて読み解きます。2028年度の決定期限と2035年の成果目標までを射程に置き、明日の業務に効く視点を、静かに置いていきます。


病床の話だったはずの構想が、生活圏の話になる

これまでの地域医療構想は、ざっくり言えば病床機能をどう分けるかの話でした。高度急性期、急性期、回復期、慢性期。2025年を目標に、都道府県が主導し、調整会議で病床数の整合を取る。そういう設計でした。

新たな地域医療構想は、ここから対象範囲を一段広げます。入院だけでなく、外来医療、在宅医療、介護との連携、医療人材の確保、かかりつけ医機能、医療アクセス、災害時の継続まで含めて、地域の医療提供体制を一体で見る。三月にまとめられた地域医療構想及び医療計画等に関する検討会のとりまとめは、これまでの病床の機能分化と連携だけではなく、医療提供体制全体の課題解決を図るものとして地域医療構想を位置付ける、と明記しています(厚生労働省「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」令和8年3月19日)。

この一行が、今回の構想の入口です。範囲が広がるということは、登場人物が変わるということです。病床の話なら病院と都道府県の話で済みました。生活圏の話になれば、住民、ケアマネジャー、訪問看護、薬局、歯科、介護施設、そして市町村が、テーブルの内側に座らないと前へ進みません。さらに今回、地域医療構想は医療計画の一記載事項から、医療計画の上位概念へと位置付けが変わります。第9次医療計画は、地域医療構想の実行計画として組み直されることになります(厚生労働省「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」)。

なぜ、いま市町村なのか

理由は人口の地形が変わるからです。

とりまとめは、2040年に向けて医療と介護の複合ニーズを抱える85歳以上の高齢者が増え、高齢者救急や在宅医療の需要が増え、生産年齢人口が減る、と整理しています。地域類型ごとに課題は異なります。大都市型は高齢者救急への対応、地方都市型は高齢者増と担い手不足の同時進行、人口の少ない地域では効率的で持続可能な提供体制の維持そのものが課題です(厚生労働省「新たな地域医療構想に関するとりまとめ」)。

高齢者が増える地域と、高齢者すら減る地域。同じ国の中で、別々の坂を下っていく地形です。前者では救急、在宅、介護需要が積み上がり、病院も介護も足りない。後者では、診療所や訪問看護ステーションが一つ閉まるだけで、地域全体の在宅医療が成り立たなくなる。同じ処方箋では効きません。

ここで市町村が必要になります。住民の生活圏を一番細かく知っているのは、都道府県ではなく市町村だからです。誰がどこに住み、どの病院にかかり、どのデイサービスに通い、どのバス停を使い、誰と暮らしているか。この粒度の情報は、都道府県の保健医療計画では拾えません。

今回概要まとめ図

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