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熱中症警戒アラートは警告ではない:10万510人と1,803人。2025年の夏が現場に残した2つの数字と、朝5時の地図

熱中症特別警戒アラートは警報ではない。訪問ルートを書き換えるための地図です ※写真はイメージです

前日14時、17時、当日5時。福祉用具貸与の勤務表を熱中症警戒アラートで組み替える


今回のNOTEは、環境省の、熱中症警戒アラートを「毎日必ず確認したい」で終わらせないための、現場運用の作り方を扱います。2025年の救急搬送は10万510人、うち住居発生が38.1%、職場の死傷者は1,803人。数字の重さと、2025年6月からの労働安全衛生規則改正、2026年度に見直された特別警戒の判定基準を踏まえ、いつ、誰が、何を判断するのかを、四つの時点と八つの確認項目、住環境チェックの実物に落とし込みます。

セオドアアカデミー独自まとめ

どーも、セオドアアカデミーです。

前日午後2時に環境省のサイトを開く人と、当日午前5時に開く人と、両方を開いても勤務表を書き換えない人がいます。三者の差は、知識ではなく、動かせる権限と手順の有無です。熱中症警戒アラートは、そのどこで詰まっているかを毎日突きつけてきます。

福祉用具貸与の朝、倉庫の温度計はもう28度を超えている。特殊寝台の搬入が3件、車いす回収が2件、モニタリング訪問が4件。前日17時のアラートは「危険」、翌日は特別警戒アラートの発表対象になるかもしれない、と朝礼で共有した。そこまでは、多くの事業所ができています。

そこから先を、決めているかどうか。

数字は「住居」と「職場」の2か所に集まっている

2025年5月から9月の熱中症による救急搬送は、全国で10万510人。総務省消防庁が2008年に統計を取り始めて以来、初めて10万人を超えました。前年より2,932人多く、月別では6月が17,229人で単月として過去最多です。65歳以上が5万7,433人で全体の57.1%。発生場所は住居が3万8,292人、38.1%を占めています。消防庁「令和7年(5月〜9月)の熱中症による救急搬送状況」

一方、職場での2025年の熱中症による死傷者数は1,803人。前年から546人、約43%の増加で、2005年の統計開始以来最多となりました。ところが、死亡者は19人で、前年の31人から約39%減少しています。厚生労働省は、2025年6月1日から施行された改正労働安全衛生規則により、報告体制の整備や対応手順の作成が義務化されたことが、重篤化の防止に一定の効果を与えたと分析しています。厚生労働省「2025年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」

この二つの数字は、介護、医療、障害福祉、福祉用具の現場に、別々の宿題を出しています。

住居38.1%の意味は明快です。エアコンを使えていない、暑さを感じにくい、水分を手に取れない、体調変化を言葉にできない人が暮らす自宅こそ、最大の発生現場だということ。訪問介護、訪問看護、居宅介護支援、福祉用具貸与、相談支援は、その住居に入れる数少ない職種です。

職場1,803人の意味は、こう読み替えられます。搬入、送迎、入浴介助、屋外移送、倉庫作業を担う職員自身が、労災の対象になっている。しかも死亡は減った。つまり、早く見つけて作業を止め、冷やして運べば、命は救える可能性が高い。仕組みで救えることを、法改正が証明しつつあります。

アラートは「二段階」ではなく「四つの時点」で使う

熱中症警戒アラートは、府県予報区などのいずれかの地点で日最高WBGTが33以上になると予測された場合、前日17時と当日5時に発表されます。特別警戒アラートは、都道府県内の判定対象となる全地点で翌日の日最高WBGTが35以上と予測された場合に、前日14時ごろ発表されます。

2026年度からは、標高が高いなど地形の影響を受ける観測地点を、特別警戒アラートの判定対象から外す運用に見直されました。全地点が対象という条件は残しつつ、判定対象そのものの範囲を実態に寄せた形です。運用期間は2026年4月22日から10月21日まで。2025年度の警戒アラート発表は延べ1,749回で、過去最多を更新しました。特別警戒アラートは2024年度の導入以降、まだ一度も発表されていません。環境省・気象庁「令和8年度の熱中症警戒アラート等の運用について」

現場が押さえるべきは、名称ではなく確認時点です。

前日14時、特別警戒アラートの発表時刻。翌日の外出、送迎、屋外イベント、大型福祉用具の搬入、屋外歩行訓練を中止するのか、延期するのか、縮小するのかを決めるタイミングです。事業所の管理者だけでなく、ケアマネジャー、家族、送迎先の医療機関にも影響します。

前日17時、翌日の警戒アラート。勤務表、訪問順、送迎時間、二人対応への切り替え、休憩場所の確保を決めます。翌朝一番の搬入を、暑くなる前の時間帯に寄せられるか。回収を1日延ばせるか。ここで決められないと、当日朝の混乱に飛ばされます。

当日5時、当日の警戒アラート。前夜の判断を維持するか、欠勤者や体調不良を踏まえて最終調整するか。ここは早朝の当番制でしか回りません。

そして業務中、事業所、倉庫、送迎車、浴室、利用者宅の実測WBGT。アラートは都道府県単位の広域情報で、同じ市内でも日陰の事務所と屋上、西日が入る利用者宅では暑熱環境がまったく違います。環境省も、身近な場所の測定と、必要に応じた黒球付き測定器の使用を勧めています。

つまりアラートは業務停止命令ではなく、測定と運用変更の開始トリガーです。

今回概要まとめ図

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