介護現場、労働現場の転倒予防対策!UNTRACKED株式会社、横浜国立大学発のベンチャー企業:CES受賞、StA²BLE 2.0が問いかける。なぜ筋トレしても転ぶのか、感覚機能という盲点とは?
転倒予防に革命を:横国大発ベンチャーが示す「体重計で測る転倒リスク」という未来
体重計が命を守る時代へ:横浜国立大発の転倒予防技術が世界で評価された3つの理由
どーも、セオドアアカデミーです。
横浜国立大学発ベンチャーのUNTRACKED株式会社が開発した転倒予防ソリューション「StA²BLE 2.0」が、世界最大級のテクノロジー展示会CES 2026でイノベーション賞を受賞しました。
今回のNOTEでは、なぜ今この技術が世界から注目されるのか、競合との違いは何か、そして介護・医療の現場にどのような変化をもたらすのかを、統計データと現場視点を交えて解き明かします。
転倒予防の本質を理解し、高齢社会を生き抜くヒントを得られる内容です。
転倒が招く「人生の断絶」:統計が示す重い現実
70代の母親が自宅の廊下で転んだ。救急搬送され、診断は大腿骨頸部骨折。手術は成功したものの、退院後は歩行に不安が残り、外出を避けるようになった。そして半年後、要介護認定を受けた。こうした光景は、決して珍しいものではありません。
厚生労働省の令和4年国民生活基礎調査によれば、要介護になる原因の第3位は骨折・転倒で13.0%を占めており、要支援では第1位が関節疾患19.3%、第3位が骨折・転倒16.1%となっています。つまり、転倒は寝たきりへの入り口として、認知症や脳血管疾患に次ぐ位置を占めているのです。
さらに衝撃的なのは、転倒による死亡者数の多さです。2018年の人口動態統計調査では、不慮の事故死41,238人のうち、転倒・転落・墜落による死亡が9,645人(23.4%)を占め、特に65歳以上が8,803人にのぼります。これは同年の交通事故死者数2,646人の3倍以上です。高齢者にとって、転倒は交通事故よりもはるかに身近で、深刻な脅威なのです。
そして転倒が恐ろしいのは、身体的ダメージだけではありません。一度転ぶと「また転ぶかもしれない」という恐怖心が芽生え、活動量が激減します。すると筋力はさらに低下し、認知機能も衰える。この負のスパイラルが、自立した生活を奪い、要介護状態へと人を追い込んでいきます。
現場で長年、企画に携わってきた経験から言えば、転倒リスクを早期に発見し、適切な介入につなげることは、介護給付費の抑制だけでなく、本人と家族の人生の質を守ることに直結します。しかし、その入り口となる「リスク評価」に、これまで大きな課題がありました。
従来の評価法が抱えていた限界:「なぜ転ぶか」が見えなかった
介護や医療の現場では、転倒リスクを測るために「Time Up & Goテスト」や「片足立ちテスト」といった方法が広く使われてきました。これらは簡便で実用的ですが、いくつかの弱点があります。
まず、測定者の主観が入りやすいこと。「ふらついている」という評価は、測定者の経験や判断基準によって変わります。また、測定結果は「歩くのが遅い」「バランスが悪い」という現象を示すだけで、「なぜそうなるのか」という原因までは分かりません。
人間が立っていられるのは、単に筋力があるからではありません。視覚(目で見た景色との位置関係)、前庭感覚(耳の三半規管が感じる傾き)、体性感覚(足裏や筋肉からの情報)という3つの感覚情報を、脳が統合処理しているからです。
たとえば、筋力は十分あるのに頻繁に転ぶ人がいます。その原因が、視覚に頼りすぎていて暗い場所で不安定になるのか、それとも前庭感覚の衰えで回転動作に弱いのかによって、必要な対策はまったく異なります。しかし従来の評価法では、この「なぜ」の部分が見えにくかったのです。
ある通所リハビリの施設で、利用者のAさん(80代女性)は「筋トレはしっかりやっているのに、家で何度も転びそうになる」と訴えていました。詳しく聞くと、夜間にトイレへ行く際、廊下の照明が暗いと極端にふらつくとのこと。つまり、筋力の問題ではなく、視覚情報への依存度が高いことが原因だったのです。こうした個別の特性を数値化できれば、より的確な予防策を提案できます。
StA²BLE 2.0が切り拓く新次元:「感覚機能」を可視化する技術
ここで登場するのが、UNTRACKED株式会社が開発した「StA²BLE 2.0」です。この製品は、重心動揺計という技術を用いて、立位時の身体の揺れを精密に測定し、その揺れのパターンから「どの感覚機能に問題があるか」を推定します。
StA²BLE 2.0の革新性は、大きく3つの進化にあります。
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