科学的介護情報システム(LIFE)移管で現場は何が変わる?5つの変更点と3つの落とし穴を徹底解説:ログイン方法も変わる!(介護保険最新情報vol.1484)
2026年5月、LIFEが「引っ越し」する:利用者台帳の再構築を迫られる全事業所が今やるべきこと
2026年5月11日、科学的介護情報システム(LIFE)の運営主体が厚生労働省から国保中央会へ移管されます。表面上はシステムの「引っ越し」に見えますが、その実態は介護DX基盤(介護情報基盤)への大規模な編み替えです。
今回は、移管の背景にある介護情報基盤構想、現場に直結する5つの変更点、移行期間中に起こりうる二重管理の実務リスク、そして事業所が今日から手をつけるべき3つの準備作業まで、介護保険最新情報Vol.1484の事務連絡を軸に、多面的に掘り下げます。

月曜の朝、事業所のメールボックスに厚労省からの事務連絡が届いた。
件名は「科学的介護情報システム(LIFE)の運営主体の移管に係る周知について」。正直に言えば、多忙な現場にとって「またシステム変更か」という感想が先に立つのは無理もありません。記録業務に追われ、利用者対応に奔走するなかで、事務連絡をじっくり読む余裕がある人はそう多くないはずです。
ところが、この1枚の通知が意味するものは、単なるログイン先の変更ではありません。利用者台帳の再構築を伴う移行であり、しかもその裏側では、介護情報基盤という新しいインフラとの接続が始まろうとしています。準備を怠れば加算算定が途切れるリスクすらある。読み飛ばすには、あまりに大きな転換です。
なぜ厚労省はLIFEを手放すのか
最初に押さえておきたいのは、今回の移管が「組織再編の都合」ではなく「インフラ統合の必然」から生まれている点です。
2026年4月1日、国保中央会の運営により介護情報基盤が稼働を開始します。この基盤は、要介護認定情報、ケアプランデータ、請求・給付情報などを電子的に共有する全国規模のネットワークです。
2023年5月の健康保険法改正で法的に位置づけられ、全国医療情報プラットフォームの一翼を担う仕組みとして整備が進んできました(厚生労働省「介護情報基盤について」(2025年))。
LIFEは2021年のスタート以来、厚労省が直接運営してきました。しかし、介護報酬の請求は国保連合会、資格確認も国保連合会、そして新たに介護情報基盤も国保中央会が運用する。であれば、LIFEもそこに乗せるのが合理的です。今回の事務連絡では、国保中央会運用LIFEに提出されたデータの一部が介護情報基盤に連携され、介護保険資格確認等WEBサービスを通じて関係事業所間で参照可能になると明記されています(厚生労働省「介護保険最新情報Vol.1484」(2026年3月23日))。
ここに、移管の本質があります。LIFEを「閉じた加算提出システム」から「情報連携インフラの一部」へ切り替えるという設計思想です。
介護情報基盤と重なるもう一つの文脈
もう少し視野を広げると、今回の動きは医療DXと対になっていることが見えてきます。
医療分野では、オンライン資格確認、電子処方箋、全国医療情報プラットフォームといったインフラが段階的に稼働してきました。介護分野は長らくその後ろを歩いてきましたが、介護情報基盤の稼働によって、認証・資格確認・データ連携・フィードバック活用を一体化する方向に舵を切ったことになります。
社会保障審議会・介護保険部会の議論では、2028年4月の全国本格運用を目指す一方、保険者のシステム改修状況にはバラつきがあることが確認されています。2025年2月時点の調査では、2025年度末までに導入が見通せると回答した保険者は約33%にとどまっています。大規模保険者ほど遅れが目立つ状況です(GemMed「介護情報を共有し良質な介護サービス目指す【介護情報基盤】」(2025年3月17日))。
つまり、LIFE移管は先に動ける部品から動かしている、という側面もあります。介護情報基盤の全体像が完成を待つより、LIFEの運用を先に国保中央会へ寄せることで、データ連携の接続ポイントを一つ確保しておく。この判断は技術的にも制度的にも理にかなっています。
現場に直結する5つの変更点
事務連絡に記載された変更点は5つです。それぞれ、現場への影響を具体的に見ていきます。
バックアップファイル授受の廃止
従来のLIFEでは、利用者の個人情報が事業所の端末内に保存されていました。管理ユーザーが情報を更新しても、操作職員が別の端末を使っている場合は、バックアップファイルを取り込まないと個人情報が表示されない仕組みでした。
新LIFEでは、
利用者情報がサーバ上に保持されます。管理ユーザーの更新内容が別端末にも自動反映されるため、バックアップファイルのやりとりは不要になります。
地味に見えるかもしれませんが、複数端末・複数職種が日常的にLIFEを操作する施設では、この変更だけで月に何十分もの手間が消えるでしょう。ある老健施設の管理者は「バックアップの取り忘れで情報が反映されず、入力をやり直した経験が何度かある」と話していました。こうした小さなストレスの積み重ねが、LIFEへの不信感につながっていた面は否定できません。
電子証明書の導入
国保中央会運用LIFEの利用には、介護保険証明書または介護DX証明書のインストールが必要になります。ID・パスワードだけでは、ログイン画面にすら遷移できない設計です。介護保険資格確認等WEBサービスと同様の仕組みであり、介護DX共通の認証方式への統一でもあります。
ここに実務上の落とし穴があります。事務連絡では、電子請求受付システムでレセプト請求をしているか、ケアプランデータ連携システムを利用しており、かつ同一端末でLIFEを使う場合は証明書の新規取得が不要、とされています。しかし、この「同一端末」という条件を見落としがちです。請求は経理のPCで行い、LIFEは相談員のPCで操作しているケースは少なくありません。その場合、証明書の取得・インストールが必要です。
電子証明書のセットアップ手順は、介護情報基盤ポータルサイトで公開されています(国保中央会「介護情報基盤ポータルサイト」)。
今回概要まとめ図
ここから先は
ありがとうございます!引き続きよろしくお願いいたします!
