あなたの世帯所得は?平均所得575万2千円でも、55.4%が「生活は苦しい」物価・税・社会保険料で差し引く、2025年日本の家計と可処分所得
名目所得は7.3%伸びた。消費者物価は8.7%上がっていた
平均575万円で価格を設計すると、なぜ日本の顧客の過半数を外すのか
2025年国民生活基礎調査で、世帯平均所得は575万2千円、前回調査から39万円ほど増えました。ところが、生活が「苦しい」と答える世帯は55.4%です。名目が伸びたのに体感が動かない理由を、物価、社会保険料、世帯構造の三つに分けて読み直します。平均、中央値、最頻帯、稼働所得、可処分の残りが、それぞれ別の物語を持っていることが見えると、自社の顧客像や価格設計の前提を一度見直すきっかけになります。読み終える頃には、平均575万円という数字が、市場の代表値としては使いにくいことがはっきりします。

どーも、セオドアアカデミーです。
平均所得575万2千円、前回調査から39万円の増加。中央値も410万円から451万円へ、率にして10.0%上がっています。同じ調査の別ページには、生活が「苦しい」と答えた世帯が55.4%と記されています。
普通、平均も中央値もこれだけ動けば、体感の数字はもう少し柔らかくなるはずです。ところが実感は動きません。この2つの数字のあいだで、何が相殺されているのか。今回はそこを分解します。

平均575万円は、誰の年収でもない
まず、575万2千円という金額は、日本人一人の年収ではありません。世帯の年間総所得です。世帯人員一人あたりに換算すると259万2千円まで下がります。同じ2024年について、国税庁の民間給与実態統計調査が示す一人あたり平均給与は478万円です。三つの数字はそれぞれ違う対象を測っており、比較のときはどの単位で話しているかを先に決めておく必要があります。
もう一つ、平均は分布の右側に引かれます。所得金額階級別に世帯数の分布を見ると、200万〜300万円未満が13.5%、300万〜400万円未満が13.0%、100万〜200万円未満が12.2%と、下から中央付近に厚みがあります。平均575万2千円を下回る世帯は全体の61.5%です。中央値は451万円で、平均との差は124万2千円、率にして27.5%あります。
平均と中央値の差が大きいのは、統計に問題があるからではありません。上側に1000万円、2000万円を超える世帯があり、それが平均値を持ち上げているからです。市場を平均で語ると、顧客の半分以上を上振れ側に見誤ることになります。
39万円増の中身は、賃上げだけではない
前回2024年調査の平均536万円と、今回の575万2千円との差は39万2千円です。中央値も同時に41万円上がっています。この動き自体は前向きです。所得の押し上げが最上位層だけで起きたのなら、中央値はここまで動きません。
内訳を見ると、全世帯の稼働所得は2021年の399万6千円から2024年には426万2千円へ、26万6千円増えています。総所得の増加の大部分は、給与や事業所得などの働いて得た所得です。ここは春闘や大企業の基本給改定が効いている部分と読めます。
ただし注意が必要です。
2024年調査は3年周期の中間で行う簡易調査で、所得票は約7000世帯を対象に約5000世帯を集計しました。
今回の2025年調査は大規模調査で、所得・貯蓄票約2万8000世帯のうち約1万7000世帯を集計しています。
標本の規模も構成も違うため、39万2千円という差を「すべての世帯の手取りが39万円増えた」と読むことはできません。
所得の水準が上向きに動いたことは確かですが、個々の家計にそのまま乗った金額としては見ないほうがよい、という留保が要ります。
今回概要まとめ図
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