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候補予定者のSNS、どれから始める?最初に育てるのは1つ

駅前に立ち始めて3週目の、夜11時すぎでした。

スマホのホーム画面には、Instagram、X、Facebook。3つとも入っている。3つとも、最後の投稿が11日前で止まっている。

指でスクロールして、また戻して、結局アプリを閉じて充電器に置く。明日の朝も5時半に起きるので。

「投稿しなかった」が、その日の唯一の実績になる

初挑戦の方からよく聞くのが、この「開いて閉じる」の話です。

書くことがないわけではありません。

その日、駅前で50人に挨拶をした。市の広報を読んで、気になる数字を見つけた。地域の夏祭りの準備会に顔を出した。

素材はあるんです。

止まるのは、どこに、どのような形で書くかを、毎回決め直しているからです。

Instagramなら写真が要る。今日撮ったのは、ブレた駅の写真1枚だけ。Xなら短くまとめたほうがよさそうだ。Facebookは知り合いが多く、真面目な政策の話を書くと少し気恥ずかしい。

3つ並んでいると、この判断が毎晩ふりだしに戻ります。

反応が4件、全員が高校の同級生

思い切って上げた投稿に、いいねが4件付く。

開いて確認すると、全員が高校の同級生でした。ありがたい反応です。ただ、その4件だけでは、選挙区内の人に活動が届いているのかは分かりません。

そのうち、投稿の内容より、数字を見る時間のほうが長くなります。

フォロワーが1人増えた。1人減った。誰が減ったのかを確かめようとして、また30分。

もっとこたえるのは、同じ選挙区の別の候補予定者のアカウントを見てしまったときです。

写真がきれいで、投稿に統一感があり、コメントにも丁寧に返している。自分のホーム画面に戻ると、更新が止まった3つのアカウントが並んでいる。

そして、書きかけて消す文章が、いつも同じところで止まります。

「応援よろしくお願いします」

そこまで打って、指が止まる。これは事前運動ではないか、と。

言いたいことがある人ほど、言えなくなる。

このあたりで、多くの方がこう考え始めます。

自分は、発信に向いていないのかもしれない、と。

本当の問題は、発信の才能ではありません

3つ同時に始めた方の更新が、すべて止まってしまう。これは、能力の問題ではありません。

3つ運用するというのは、単純に作業量が3倍になるだけではないんです。

投稿する前に、「どこに、何を、どの形で書くか」という判断が何度も発生する。

ここが効いています。

一番体力を使うのは、文章を書く作業ではなく、決める作業です。決めることが増えれば、疲れて閉じます。当然です。

3つに投稿を分散すると、それぞれの媒体で何が反応されるのかも分かりにくくなります。

一方、1つの場所に一定期間投稿すれば、

  • どの話題が読まれるのか

  • どの写真が伝わりやすいのか

  • どの時間帯に反応があるのか

  • 地元の人から、どんな声が返ってくるのか

を観察できます。

1つに絞れば必ずフォロワーが増える、という話ではありません。

ただ、改善に必要な材料は集まりやすくなります。

つまり、こういうことです。

問題は「発信力がない」ことではなく、「主軸を決めていない」こと。

決まっていないから毎回迷う。迷うから止まる。止まるから手応えが得られない。手応えがないから、自信がなくなる。

順番はいつもこれです。

逆にいえば、最初に1回だけ決めてしまえば、あとは同じ場所に記録を置いていく作業になります。

肩の力を抜いていい部分をひとつ。

選ぶ基準は、流行だけでも、自分の好みだけでもありません。

「自分の活動を届けたい人が、実際にどこを見ているか」

まず確認するのは、この1点です。

決めたあとに残る、「書けない」という壁

ただ、1つに絞れば、すべてがうまく回るわけではありません。

次の壁が来ます。

主軸が決まると、「どこに投稿しようか」と迷うことは減ります。その代わり、週に何度か、白い入力欄と向き合うことになります。

駅立ちと仕事と家庭のあいだで、文章を書く30分は、なかなか出てきません。

私たちは、地方議員・候補予定者向けのクラウドの仕事場をつくっています。

センタイ(sentai)といいます。

名簿、住民相談の記録、議会の準備、広報の下書きが、ひとつにつながった道具です。

この記事に関わるのは、広報の部分です。

その日にやったこと、見たこと、気づいたことを箇条書きで3行入れると、SNS投稿文の下書きが出てきます。

複雑なプロンプトは要りません。

「今日は駅前で挨拶をした」「市の広報で待機児童の数字を見た」といった短い入力から、投稿のたたき台をつくれます。

公職選挙法上、確認したほうがよい表現が含まれる場合には、確認ポイントも整理します。

ただし、センタイが合法・違法を判断するわけではありません。センタイが行うのは、あくまで確認が必要な点の整理までです。最終的には、所管の選挙管理委員会や弁護士等の専門家に確認してください。

そして、どのSNSを主軸にするかは、センタイは決めてくれません。

効くのは、その後にやってくる「書けない」という壁です。

センタイの広報下書き機能を見る

ここから先は、道具の話は出てきません。

手順1:どのSNSを主軸にするか決める

候補予定者のSNSにおける「主軸」とは、投稿の8割程度を置く、中心となるアカウントのことです。

8割は厳密なルールではありません。「迷ったら、まずここに投稿する」と決めておくための目安です。

残りのSNSは、無理に毎日動かす必要はありません。プロフィールや告知の置き場として、最小限に使います。

決め方は3ステップです。

紙とペンを用意すれば、目安30分でできます。

① 活動を届けたい人を10人書き出す

名簿がゼロでも、10人は出てきます。

親戚、前の職場の先輩、地域の集まりで話した人、消防団、保育園で顔を合わせる人。

名前の横に、次の情報を書きます。

  • おおよその年代

  • 普段使っていそうなSNS

  • どのような情報なら読んでくれそうか

  • 実際にSNSを使っているか確認できるか

ここで大切なのは、年齢だけで決めつけないことです。

60代でもInstagramを毎日見る人はいます。30代でもFacebookの地域グループを使っている人はいます。

想像だけで決めず、話せる相手には直接聞いてください。

「普段、地域の情報はどこで見ていますか」

この一言で、全国平均より役立つ情報が得られることがあります。

② 同じ選挙区の現職議員や過去の候補者を実際に見る

自分の市区町村の議員や、過去に立候補した人を5人ほど検索します。

確認するのは、フォロワー数だけではありません。

  • どのSNSを継続して更新しているか

  • どのような投稿に地元らしい反応が付いているか

  • 地域行事、政策、日常のうち、何が読まれているか

  • コメント欄で、どのような会話が生まれているか

  • 投稿が現場での活動につながっていそうか

市議のFacebook投稿に、地域の人と思われるアカウントから継続的にコメントが付いているなら、Facebookがその地域で使われている手がかりになります。

ただし、コメントした人が本当に選挙区内に住んでいるとは限りません。

これは実態を知るための手がかりであって、得票を予測するデータではありません。

全国の年代別利用傾向を確認したい場合は、総務省情報通信政策研究所の「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」も参考になります。

ただし、全国平均と自分の選挙区の実態は別です。

全国調査は補助線として使い、目の前の10人と地域内の反応を優先してください。

③ 自分が続けられる形式で最終決定する

ここを無視すると、3か月後に止まります。

文章を書くことが苦にならず、地域の実名のつながりがFacebookにあるなら、Facebookが候補になります。

写真を撮る習慣があり、活動の様子を視覚的に伝えたいなら、Instagramが候補になります。

政策やニュースへの短いコメントを継続でき、報道関係者や専門家、市外の人にも届けたいなら、Xが候補になります。

大事なのは、「一般的にどれが正解か」ではありません。

自分の地域、自分が届けたい相手、自分が続けられる作業。この3つが重なる場所を選ぶことです。

手順2:主軸以外は「やらない」ではなく「置き場」にする

主軸から外したSNSも、すぐに削除する必要はありません。

プロフィールと告知の置き場として残す方法があります。

やることは3つです。

  1. プロフィールに、活動地域と立場を書く

  2. 主軸アカウントや公式サイトへのリンクを置く

  3. 固定表示できる場所に、自己紹介や活動方針を1本置く

余裕がある日だけ、主軸に投稿した内容を短く再編集して掲載します。

すべてのSNSで反応を追う必要はありません。

「検索したときに、本人の情報へたどり着ける状態」をつくるための、オンライン上の名刺だと考えてください。

手順3:最初の30日でやること

1〜3日目:プロフィールを埋める

ここは、おろそかにされやすい一方で、興味を持った人が最初に確認する場所です。

最低限、次の5つを入れます。

  1. 本人だと分かる写真
    スマートフォンで、自然光の入る場所で撮れば十分です。スーツでなくてもかまいません。

  2. 名前とふりがな
    読み方を間違えられやすい姓や名には、ふりがなを付けます。

  3. 活動している地域名
    少なくとも市区町村名まで書きます。地域名がなければ、その地域の人が自分に関係のあるアカウントだと判断できません。

  4. 背景が分かる一言
    前職、子育て中、Uターン、介護経験など。肩書きだけでなく、その人の背景が伝わる言葉を入れます。

  5. 関心のあるテーマを2〜3個
    「地域のことを何でも」ではなく、「子育て」「防災」「商店街」など、具体的に書きます。

なお、特定の選挙への立候補予定をどのように表現するかは、投票依頼と受け取られる書き方になっていないかを含め、事前に所管の選挙管理委員会や専門家へ確認してください。

4日目:固定投稿を1本書く

「なぜ、この地域で活動しているのか」を、300〜500字を目安に書きます。

上手にまとめる必要はありません。

ただし、具体的な出来事を1つだけ入れてください。

「地域をよくしたい」だけでは、読み手が場面を思い浮かべにくい。

「実家の前の道で祖母が転んだ」

「子どもの送迎で、毎朝同じ交差点の危なさが気になった」

「商店街で、店を閉めるという話を3軒続けて聞いた」

このような場面がひとつ入ると、活動を始めた理由が伝わりやすくなります。

5日目以降:週3回の型を回す

毎回ゼロから考えないために、3種類の投稿をローテーションします。

  • 見たこと
    駅前、行事、道路、公園、地域の風景。写真1枚と3行から始める

  • 調べたこと
    市の広報や議会資料、統計で気になった数字を1つ紹介する

  • 考えたこと
    見たこと、調べたことを踏まえて、自分がどう考えるかを書く

最初の目安は、見たこと2回、調べたこと1回です。

「考えたこと」は、毎回書かなくてもかまいません。月に1〜2回でも十分です。

すべての投稿で大きな政策を語ろうとすると、文章を書く負担が重くなります。

発信を「自分を売り込む作業」ではなく、活動を報告し、地域の変化を記録する作業として捉えたほうが続きます。

週3回が難しければ、週2回から始めてください。

大切なのは、一時的に投稿数を増やすことではなく、止まらない頻度を見つけることです。

落とし穴は2つ

1.「よろしくお願いします」の線引きは、投稿前に確認する

公職選挙法第129条では、選挙運動ができる期間を、原則として立候補の届出があった日から投票日の前日までとしています。

したがって、立候補の届出前に、特定の選挙について投票を依頼するなど、選挙運動に当たる行為をすることは、事前運動として禁止されています。

一方、政策の普及や日々の政治活動について発信することが、直ちにすべて選挙運動になるわけではありません。

ただし、政治活動という名称を付ければ何を書いてもよい、ということでもありません。

個別の投稿が選挙運動に当たるかは、

  • 投稿した時期

  • 記載した内容

  • 誰に向けて発信したか

  • 投票依頼に当たる表現があるか

  • 前後の投稿や活動を含め、どのような方法で行ったか

などから総合的に判断されます。

公職選挙法は全国共通です。「自治体によって法律が違う」ということではありません。

ただ、具体的な投稿について一律に安全な言い回しを示すことは困難です。

始める前に、プロフィールや固定投稿の案を用意し、所管の選挙管理委員会に一般的な考え方を確認してください。判断に迷う場合は、選挙実務に詳しい弁護士等の専門家にも相談してください。

2.フォロワー数だけを目標にしない

フォロワー1,000人と、得票1,000票は別のものです。

選挙区外からの反応も、認知を広げるうえでは意味があります。ただし、その数字がそのまま選挙区内の支持を示すわけではありません。

確認するなら、次のような反応です。

  • 地域の人と思われるアカウントからのコメント

  • 地域の課題に関する具体的な質問

  • 地元の行事や活動への参加につながった件数

  • 「SNSを見ました」と現場で言われた回数

  • 投稿を見た人から寄せられた相談や情報提供

「SNSを見ました」と言われた回数は、手帳やセンタイに記録しておくと、発信を続ける支えになります。

よくある質問

Q.すでに3つアカウントを作ってしまいました。閉じたほうがいいですか

消さなくてもかまいません。

主軸以外のアカウントは、プロフィールに主軸アカウントや公式サイトへの案内を入れ、自己紹介の投稿を固定しておきます。

そのうえで、無理に更新せず、告知や検索されたときの案内先として使います。

ただし、古い肩書きや終了した選挙の情報が残っている場合は、プロフィールだけでも更新してください。

Q.LINE公式アカウントを主軸にするのはどうですか

LINE公式アカウントは、すでに接点を持った人との継続的な連絡に向いています。

友だち追加用のURLやQRコードを発行でき、SNS、ウェブサイト、チラシなどから登録へ案内できます。認証済みアカウントなど、検索から見つけてもらうための仕組みもあります。

ただし、公開SNSと比べると、投稿が偶然広く拡散されることを期待する媒体ではありません。基本的には、友だち追加してもらうための導線づくりが必要です。

そのため、最初はFacebook、Instagram、Xなどで活動を知ってもらい、接点ができた人との連絡手段としてLINE公式アカウントを追加する流れが現実的です。

Q.顔を出すのが、正直まだ怖いです

最初から、すべての投稿に顔を出す必要はありません。

プロフィールに本人だと分かる写真を1枚置き、通常の投稿は、

  • 地域の風景

  • 資料を読んでいる手元

  • 駅前の様子

  • 行事の会場

  • 道路や公園の状況

などから始める方法もあります。

Instagramでも、顔出しは必須ではありません。

ただ、候補予定者の場合は、「誰が活動しているのか」が伝わることも信頼につながります。慣れてきたら、行事や活動中の自然な写真を少しずつ増やしてください。

続けられる形を選ぶことが最優先です。


3つのアプリを開いて閉じていた夜に足りなかったのは、根性でも文才でもありません。

「今日は、ここに書く」

そう決まっている、1つの場所でした。

主軸を決めるのは、目安30分。

あとは、見たこと、調べたこと、気づいたことを、3行ずつ置いていくだけです。

SNSの目的は、毎日大きな主張を発表することではありません。

地域で何を見て、何を考え、何をしている人なのかを、少しずつ伝えることです。

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※センタイは法的な判断を行うサービスではありません。公職選挙法に関する最終的な確認は、所管の選挙管理委員会や弁護士等の専門家へご相談ください。

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