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一般質問の再質問が続かない人へ。答弁を「3つに分類」して返す技術

議長が「再質問はありませんか」と言う。

立ち上がって、こう答えました。

「ご答弁ありがとうございました。ぜひ前向きにご検討いただきますよう、お願い申し上げます。以上でございます」

座る。

時計を見ると、持ち時間はまだ14分ありました。

帰りの車の中でだけ、言葉が出てくる

議場を出て、駐車場で車に乗り込み、エンジンをかけたあたりです。

「あそこ、『関係部署と協議してまいります』と言っていたな。協議の相手が誰なのか、聞けばよかった」

信号待ちで、もうひとつ出てきます。

「そもそも、今年度中に始めるのかどうかも聞いていない」

家に着くころには、聞くべきだったことが4つか5つ、頭の中に並んでいます。

全部、あの14分で聞けたことです。

聞き取るだけで、精いっぱいだった

議場で何が起きていたのかを振り返ると、こうです。

答弁が始まる。長い。前置きが続く。

手元のメモ用紙に単語を書き取ろうとするけれど、書いているあいだに次の一文が流れていく。

書くべきか。聞くほうに集中すべきか。

迷っているうちに、答弁が終わる。

顔を上げると、手元には単語が3つしか残っていません。

「補助制度」

「関係部署」

「総合的」

この3語だけを手がかりに、その場で再質問を組み立てるのは簡単ではありません。

だから、「前向きなご検討を」と言って座る。

傍聴に来てくれた後援会の方が、帰りに声をかけてくれます。

「先生、今日はやさしかったですなあ」

悪気はまったくない。

それが、かえってこたえます。

会議録を読んで、初めて気づくこと

その後、会議録、いわゆる議事録が公開されます。

活動報告に載せようと、自分の質問の箇所を読み返す。

文字で確認すると、答弁には具体的な予定がほとんど入っていません。

「重要と認識しております」

「動向を注視してまいります」

「総合的に検討してまいります」

認識と、注視と、検討。

実施主体も、期限も、次の手続も書かれていません。

あのときは、前向きな答弁をもらったつもりで座っていました。

そして次の議会。

同じテーマをもう一度取り上げようとして、手が止まります。

「検討する」と言われた検討は、始まったのか。

終わったのか。

誰が担当するのか。

何をもって「検討済み」とするのか。

前回の会議録には書かれていません。

追いかけるための足場が、残っていないのです。

本当の問題は、とっさの機転ではありません

こういうとき、私たちは自分をこう説明しがちです。

「自分はアドリブが利かない」

「度胸がない」

「ベテランは頭の回転が違う」

でも、頭の回転だけの差ではありません。

議場でやろうとしている仕事が、多すぎるのです。

答弁を聞きながら、私たちは同時に2つの仕事をしています。

1つめは、流れてくる答弁が何を約束したのかを判定する仕事

2つめは、その判定を受けて、次に返す言葉を組み立てる仕事です。

聞きながら意味を整理し、同時に別の文章を作るのは、負荷の高い作業です。

それを緊張した議場で、一度きりの答弁を相手に行っている。

言葉が出てこなくても、不思議ではありません。

経験のある議員がすぐに切り返せるのは、頭の回転だけが理由ではありません。

返す言葉の型を、あらかじめ持っている。

だから議場では、答弁を型に当てはめる仕事に集中できます。

つまり、問題は能力ではなく、議場に持ち込んでいる仕事の数です。

2つ抱えて行くから、詰まります。

議場でやる仕事を、1つに減らす

やることは単純です。

返す言葉は事前に作っておく。議場では、答弁を分類する。

答弁を一字一句理解してから、完璧な再質問を作ろうとしなくて大丈夫です。

まずは答弁を、次の3つのうちどれかに分類します。

  • 認めた

  • ぼかした

  • 拒んだ

議場で行うのは、この判定だけです。

返す言葉は、すでに手元にあります。

完璧な切り返しを目指す必要はありません。

まずは次の議会で、1つの論点だけ試してみてください。

そのシートづくりが毎回しんどい、という方へ

具体的な作り方は、このあと紹介します。

その前に、私たちがつくっている道具について、少しだけ説明させてください。

私たちは、地方議員・候補予定者のためのクラウドの仕事場をつくっています。

センタイ(sentai)といいます。

住民相談の記録、後援会名簿、議会の準備、広報の下書きなどを、ひとつにつなげて管理できる、インターネット上の事務所のようなサービスです。

この記事に関係するのは、議会準備の機能です。

過去に記録した住民相談や、読み込ませた自治体の計画・予算資料をもとに、一般質問や再質問のたたき台をAIで作成できます。

想定答弁を置いて、「この答弁が返ってきた場合、次に何を聞くか」と壁打ちする使い方もできます。

白紙の状態から3つの返しを考えるより、AIが作ったたたき台を自分の議会に合わせて直すほうが、準備を進めやすくなります。

ただし、AIがあなたの自治体特有の答弁の癖まで正確に把握しているとは限りません。

「本市におきましては」で始まる言い回しや、特定の部長がよく使う表現を知るには、その議会の過去の会議録を確認するのが確実です。

センタイができるのは、あくまでたたき台づくりまで。

最後に「うちの議会なら、こう答えるだろう」と直す作業は、議員本人に残ります。

議会質問のたたき台づくりを見る

ここから先は、紙とペンだけでも実践できます。

答弁を「認めた・ぼかした・拒んだ」の3つに分ける

再質問は、答弁が終わってからゼロから考えるものではありません。

答弁を、

  • 認めた

  • ぼかした

  • 拒んだ

の3つに分類し、それぞれの返しを事前に用意しておくものです。

これは法律や議会規則上の正式な分類ではありません。

議場で素早く判定するための、実務上のラベルです。

見分けるときは、答弁の内容をすべて覚えようとするのではなく、言葉の形に注目します。

いちばん多いのは、真ん中の「ぼかした」です。

そして、いちばん取りこぼしやすいのも「ぼかした」です。

「重要と認識しております」という答弁は、重要性を認めてはいます。

しかし、実施や期限を約束した答弁ではありません。

認識は、予定ではない。

ここを分けて聞く必要があります。

分類別の返し方|再質問で使う3つの型

家で作っておくのは、次の3つです。

1.「認めた」なら、期限と対象を確定させる

実施する方向が示されたら、次に確認するのは具体性です。

  • いつまでに行うのか

  • 何か所、何人、どの地域が対象なのか

  • どの部署が担当するのか

  • 予算は、どの議会に提案されるのか

たとえば、次のように聞きます。

実施するとのご答弁でした。具体的な開始時期と対象範囲について伺います。

必要となる予算は、どの時点で議会に示される予定でしょうか。

ここまで会議録に残しておけば、次の議会で進み具合を確認できます。

反対に、ここを詰めないまま終えると、「実施します」という答弁が、その後どこまで進んだのか分からなくなります。

2.「ぼかした」なら、抽象的な言葉を分解する

「検討します」と言われたら、その検討を次の3つに分けます。

  • 誰が検討するのか

  • いつまでに検討するのか

  • 何を基準に判断するのか

たとえば、次のように聞きます。

ご答弁に「関係部署と協議」とありましたが、具体的にどの部署を想定しているのでしょうか。

その協議は、いつごろ開始する予定でしょうか。

実施の可否は、どのような資料や条件をもとに判断するのでしょうか。

抽象語を、そのまま通さない。

それだけで、答弁の解像度が上がります。

3.「拒んだ」なら、理由と実施条件を聞く

「困難です」「予定はありません」と言われたら、まず理由を分けます。

困難とされる主な理由は、予算、人員、施設上の制約、法令上の制約のうち、どれでしょうか。

理由が分かったら、次に条件を聞きます。

それでは、国や県の補助制度が活用できる場合には、実施を検討する余地があるという理解でよろしいでしょうか。

人員体制が確保できれば、実施できる可能性があるのでしょうか。

今回は動かなかったとしても、何が変われば動くのかが会議録に残ります。

それは、負けではありません。

次の提案につながる材料を得た、ということです。

なお、「研究」と「検討」のどちらが前向きかという序列が語られることもあります。

しかし、言葉の使い分けは自治体や答弁者によって異なります。

言葉の格付けを覚えるよりも、

  • 誰が

  • いつまでに

  • 何を判断するのか

を確認するほうが確実です。

想定問答シートは、A4用紙1枚でいい

前の晩に作るのは、次の表だけです。

最初は、論点を3つ以内に絞ります。

1つの論点につき、返しは原則1つで十分です。

返しを3つも4つも書くと、今度は議場でどれを使うか迷います。

議場でのメモも、文章にしようとしないでください。

紙の左端に、

  • ○=認めた

  • △=ぼかした

  • ×=拒んだ

と書くだけです。

あとは、判定の根拠になった言葉を1つだけメモします。

「協議」

「今年度中」

「困難」

その言葉を引用して再質問すれば、直前の答弁とかみ合った質問になります。

実例|同じ答弁への、2つの返し方

論点は、「小中学校の体育館への空調整備」です。

答弁は、次のような内容でした。

体育館の空調整備につきましては、災害時の避難所機能の観点からも重要と認識しております。国の補助制度の動向も注視しながら、関係部署と協議し、総合的に検討してまいります。

以前の私なら

ぜひ前向きなご検討をお願いいたします。

これで終わりです。

会議録には、「検討してまいります」という言葉だけが残ります。

分類してから返すと

実施主体も時期も示されていないので、判定は△、つまり「ぼかした」です。

そこで、用意してきた返しを使います。

ご答弁に「関係部署と協議」とありましたが、具体的にはどの部署との協議を想定しているのでしょうか。

答弁を受けて、さらに聞きます。

その協議は、今年度中に開始する予定でしょうか。あわせて、整備の可否を判断する際の基準について伺います。

ここで、たとえば次のような答えが返ってきたとします。

来年度の実施計画の策定に合わせて、整備の優先順位も含めて整理してまいります。

「総合的に検討する」が、

「来年度の実施計画の中で、整備の優先順位を整理する」

に変わりました。

この答弁は、会議録に残ります。

次の議会では、こう聞けます。

前回の答弁では、来年度の実施計画の策定に合わせて整理するとのことでした。実施計画の中で、体育館の空調整備はどのように位置づけられたのでしょうか。

追いかけるための足場ができました。

派手なやり取りではありません。

でも、半年後、1年後に効いてきます。

一般質問の再質問で、つまずきやすいところ

通告した論点から離れると、止められることがある

一般質問は、多くの議会で質問要旨の事前通告を前提に運用されています。

また、標準市議会会議規則では、発言内容が範囲を超えないことや、質問の要旨を議長が定める期間内に文書で通告することが示されています。

ただし、再質問としてどこまで認めるかは、各議会の会議規則、申し合わせ、先例、議長の議事運営によって異なります。

再質問で、当初の通告から離れた新しい政策分野や事実関係に移ると、「通告の範囲を超えている」として議長から整理を求められることがあります。

この記事で紹介した3つの返しは、いずれも通告した論点の中を掘り下げる方法です。

新しい話題を持ち出すのではなく、すでに出た答弁の主語、期限、理由、判断基準を確認します。

とはいえ、実際の運用は議会ごとに異なります。

準備の段階で、議会事務局に確認しておくのが確実です。

相手を追い込むことが目的ではない

具体的な答弁を求めるのは、職員や首長をやり込めるためではありません。

次の議会で、自分が政策を追いかけるための足場を作るためです。

関係を壊してまで取る必要のある言質は、そう多くありません。

期限や判断基準まで確認するのは、自分が本気で追い続ける論点に絞って構いません。

すべての答弁に再質問しなくていい

3つの論点があっても、再質問するのは1つか2つで十分です。

○の「認めた」に分類できた答弁は、無理にその場で細部まで聞かず、会議録が公開されてから次の議会で使う方法もあります。

大切なのは、毎回答弁を打ち返すことではありません。

次に追いかけられる形で、記録を残すことです。

よくある質問

Q.答弁が長くて、分類が追いつきません

A.全文を書き取ろうとせず、まずは答弁の結びの動詞に注目してください。

  • 実施する

  • 検討する

  • 注視する

  • 困難である

  • 予定していない

といった言葉です。

理由が重要な場合は、「予算」「人員」「補助制度」など、根拠になる単語を1つだけ追加で書きます。

前半の説明をすべて記録するよりも、「最終的に何をするのか、しないのか」を拾うほうが分類しやすくなります。

Q.再質問は何回までできますか

A.議会によって異なります。

確認しておきたいのは、主に次の点です。

  • 一問一答方式か、一括質問・一括答弁方式か

  • 再質問の回数制限があるか

  • 持ち時間に答弁時間を含むか

  • 再質問から一問一答に切り替わるか

たとえば、岡山市では一括質問方式と一問一答方式で質問回数の扱いが異なります。一方、仙台市では会派ごとの持ち時間や質問方式が定められています。

自分の議会の会議規則、申し合わせ、一般質問要領を確認し、不明な点は議会事務局に問い合わせてください。

回数制限がある議会では、想定問答シートに書く返しも、最も効果のある1つに絞ります。

Q.想定とまったく違う答弁が返ってきたら、どうしますか

A.中身が想定外でも、答弁の形は3つのどれかに分類できます。

  • 実施内容や時期が具体的なら「認めた」

  • 認識や検討だけで具体性がなければ「ぼかした」

  • 実施しない、難しいという結論なら「拒んだ」

用意した文章を一字一句そのまま読む必要はありません。

担当部署や制度名などの固有名詞だけ、その場で入れ替えてください。


次の議会では、1つの論点だけでいいので、前の晩にこの表を書いてみてください。

書くのは、3つの返しです。

議場では、紙の端に○、△、×を書く。

それだけです。

14分を残したまま、何も聞けずに座ることは、きっと減っていきます。

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2026年8月末まで無料で始める

登録は約3分です。

初期費用0円、カード登録不要。すべての機能を含むBASICプランは、月額5,000円(税別)です。2026年8月末まで無料で試せます。

※一般質問の方式、再質問の回数、発言時間、通告範囲などは議会ごとに異なります。実際の運用については、所属議会の会議規則・申し合わせ・一般質問要領を確認し、最終的には議会事務局へご確認ください。

出典・確認先

#地方議員 #議員活動 #一般質問 #再質問 #議会


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